2008年08月22日

# 200 Bigmamacafe [横浜・北山田]




 以前、この辺りに住んでいたのである。小学一年、初めての遠足は山田富士だった。まだこの一帯が港北区だった頃の話である。

●港北ニュータウン

 港北ニュータウンという、美しく整備された、文字通りの「新しい街」が造られるという計画を、課外授業などで幾度となく聞かされ、こども心に胸躍らせていたものである。と言うのも、我が家の隣家は敷地の端に豚小屋を有する農家であったし、玉子は鳥小屋がある別の農家に買いに行っていたし、裏ヤブにはマムシも青大将も棲息していたし、外に出ればヤブ蚊に刺され、走れば肥溜めに落ち、都市ガスも下水道も無論来ていない――わずか四半世紀前の話なのだけれど、天下の横浜市とて、ちょっと内陸に入ればそんな環境だったのである。

 なので「ニュータウン」という言葉に当時小学生の私は、まばゆいばかりに明るい「未来」を夢見ていいたのである。


 学年が進むにつれ、何もなかった周囲の山々の造成が進んだ。計画に関わる立ち退きで、仮設住宅に住んでいたクラスメイトも何人か居た。裏山を分け入ると突如視界が開け、人造の奇怪なる地形が現れて、それはこどもたちにとって格好の探検の場ではあったのだけれど、しかし虫取りが出来るでもなし、草木一本生えない、ミョウに「カクカク」としているだけが取り柄の土地でしかなかったので、好んでまた遊びに行こうという話にはならなかったことを記憶している。

●グリーンライン

 コレは「私の履歴書」ではないので、いい加減、話を本題に移す。


 この北山田(きたやまた)の辺りも大同小異、昔はそんな場所だった。草「浅からぬ」コノ地に、コノ店は10年前から既に在ったのである。実はその名はかねて知っていたのであるが、よもや10年選手とは……大変長らく失礼致しておりました。

 交通手段が限られていたこともあり、なにぶん行く機会を得なかった。ところが今年3月にグリーンラインが開通し、北山田駅が開業したことにより、店の立地は駅歩2分の好アクセスへと一変したのである。

 そんな駅開業計画を知ってか知らずか、オーナー織茂さんは代々地元の人である。

 店を始めたきっかけは、"ものごころ"付いた頃、「周りにカッコイイ先輩が居たから」。彼らに着いて方々回るうち、「Boogie Cafe」「MOON cafe」「イタリアンガーデン」「BUBBLE OVER」「TROUBADOUR」、そしてそれに続く世代の「STOVE'S」……横浜・本牧の名だたる店々に親しんで、やがて自分のやりたいスタイルが解かってきた――だから後は「出せばいいんだ」と、一気呵成に出したのがコノ店である。

●どこにあってもカッコイイ

 「横浜の店って好きなんで」という織茂さんは、横浜の街と店々の変遷を、一人の「客」として、身をもって体験してきた人である。


 「カッコイイお店って、どこにあってもカッコイイじゃないですか」――町外れに在ったり、やや判りづらい場所に在ったりと、横浜にはその立地や構えからも、ある種の「粋」を感じる店が多い。そんな在り方に学び、織茂さんも敢えて場所にはこだわらず、人里離れた(?)コノ地元で店を始めることに決めた。なのでクルマやバイクの方が行きやすい。もちろんどちらも織茂さんの趣味である。ノマドとか。ハーレーとか。


 ハンバーガーは絶対出そうと思っていた。但し、ただ頬張り、かぶり付くだけが目的の場所としてでなく、食べているその姿、取り巻く雰囲気も含め、何より店"トータル"のスタイルとビジュアルに重きを置いてコノ店を造った。


 席数34。ゆったりとした、そして「世界」に集中できる良い空間である。スツールの並ぶ白黒チェックのフロア。一段上がった板張りのフロアにはダーツとピンボール。プロジェクターがモーターショーの映像を映し出し、ネオンに赤く照らされたカウンターには、仕事帰りに(あるいは仕事を中抜けして)オーナーと会話を楽しむ常連歴々。BGMは割りとイマドキなロックch。

 アメリカにも何度か渡った。唯一おいしいと感じたハンバーガーは、サンディエゴの街中に在る……ベースボールキャップかぶったファットなオヤジが焼いてる……って、それ「ホーダッツ(Hodad's)」でしょ? 川越「オートマンダイナー」の大将もその名を挙げている。「古くさいラーメン屋っぽい香りがした」とのこと。

●10年ひと昔

 「昔はこんなじゃなかった……」と言うのは、今でこそネット調べりゃ「何か出てくる」世の中だが、10年前は仮に気に入った椅子や雑貨を見つけても、どこで買ったらよいのやら、それがまず判らない。おまけに高い。どうもこの10年で事情は一変したようである――それこそニュータウン並みに。そういう時代の「変化」を、織茂さんは見てきている。


 料理もインテリアも、それこそ雑誌(しかも「POPEYE」などの一般誌)で小さな写真を見つけては切り抜き、それをほぼ唯一の貴重な情報源としていた(福岡「SEA DINER」の馬場さんも同様の経験を語っている)。

 そんな状況だから、アメリカンな内装に慣れた業者というのも特に居らず、床にタイルを張るのひとつとっても、それこそ切り抜きを見せながらの作業だったという。そんなこんなで総費用は現在の相場の3倍はかかっているだろう、との織茂さんの試算である。しかしおかげ(?)で、長持ちのする良い造りの店ができた。

●Bud & Burger

 メニューはバーガー6品のほか、ナチョスやタコス、数人で取り分ける量のサイドディッシュが主。ドラフトはバドワイザー、夏には最適。サンドとロコモコはランチのみ。そのランチ、夜より安い値段で何やかんやと付いて、非常にお得である。


 チーズバーガー¥1,125。添えられたタルタル(マスタード+マヨネーズ)はむしろポテトでゆくのが効果的か。野菜は積まずに"外"に並べて、生オニオン、リーフレタス、トマト。チーズはチェダー。最初からソースなどのかかっていない、「好きに味付けて下さい」というスタイルの、至ってシンプルなバーガー。「王道」とも呼べようか。

 パティは90g。かつて「お酒と楽しむ」スタイルを志向した名残から、やや軽めである。バンズとの量差、直径差をまず解消したい。そのバンズも生地にコシとバネがあれば、なお良いものになるだろう。あともう少しセサミを乗せても良いか。付け合せにピクルス、そしてフレンチフライ(シューストリング)どっさり。口に運んでいる時間としてはコチラの方が長いので、どうしてもポテトの印象が強く残る。

 ただ目下、パティからバンズから、パーツ全般の見直しを鋭意遂行中と聞くので、次回行く際にはきっと様子が一変していることと思う。さてさて、どうなりますやら……。

●次の10年

 オープンから10年。だが10年という歳月を感じさせない、しっかりとした良い造りの店である。「古いのと汚いのとは違う」――10年続けることが出来たので、次の10年は「年季を出してゆきたい」と織茂さん。

 なぜビッグママ「カフェ」と付けたのか――と言うより恐らく、当時「ダイナー」という言葉は、まだあまり使われていなかったのではないか。「ハードロックカフェ」「ムーンカフェ」「ブギーカフェ」「アロハカフェ」「フラッシュバックカフェ」「ジャックカフェ」……横浜の老舗はどこも「カフェ」と付く(この場合「酒場」といった意味合い)。横浜は「ダイナー」でなく「カフェ」――そんな土地柄なのかも知れない。そしてそんな横浜のカフェは例外なく、年月を越え、いつまでも末長く付き合える店ばかりであるようだ。



この入り口手前からの眺めが見事!

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― shop data ―
所在地: 神奈川県横浜市都筑区北山田2-4-20 ヴァンクレールU1F
     横浜市営地下鉄グリーンライン 北山田駅歩2分 地図
TEL: 045-592-3331
URL: http://www.bigmamacafe.com/
オープン: 1998年1月25日
* 営業時間*
ランチ: 火木土日のみ 11:30〜15:00(LO14:30)
ディナー: 19:00〜26:00(LO25:30)
定休日: 月曜日(要確認)

2008.8.22 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 18:43| Comment(2) | TrackBack(0) | 横浜編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
素敵な内装ですね!
ピンボール、大好きです!!
是非、近いうちに訪問したいと思っています。
ナイスな情報を、いつもありがとうございます。
Posted by Moo at 2008年08月24日 01:18
Moo さま

コメントありがとうございます。

とにかく総工費、現在の物価の優に3倍は掛かったろうというだけあって、その分、お店の造りは大変しっかり・カッチリしています。その辺りが評価されてか、実はNHKの英会話の番組の、ロケ地に使われたりもしています。7月中放映。

クルマで行っても停めやすいですし、今や「駅から2分」ですし、どちらで行っても行きやすい場所へと本当に一変しましたね。

居心地の大変すばらしいお店ですので、ピンボール含め、きっと満足されることと思いますよ。ダーツも盛んです。


そんな次第で
またよろしくお願いいたします。
Posted by ハンバーガーストリート at 2008年08月24日 12:44

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