「アップタウンダイナー」では、このマンハッタンチーズバーガーに使うミートソースのことを「マンハッタンソース」と呼んでいたと、SOUVENIR DINER(スーベニアダイナー)の福永さんはいうのである。マンハッタンソースを使ったハンバーガーなので、マンハッタンチーズバーガー¥750。
ただしアップタウンダイナーの当時のメニューにはマンハッタンソースの記載は見られない。ミートソースを使ったハンバーガーは「ペギー・スー」といった。当時レギュラー¥870。
サラマンダーを使ってチーズを溶かし焼く。
サラマンダーを使えば、確かにあらゆるものが瞬時に焼けるのだが、ただし決して使い勝手がよいワケでなく、むしろ手間がかかる、ないしは面倒くさいということで、どちらか言うと敬遠されがちな機器のようだ。それでも福永さんが愛用しているのは「アップタウンダイナーで使っていたから」という、そんな単純な理由による。
そんなサラマンダー効果によってチーズと一体化し、もう一枚薄いパティがあるが如き状態になったマンハッタンソースは、キメ細かな甘さがグリルしたオニオンの甘味と和して、穏やかな中にもホットなおいしさ。なにしろこのオニオンがカギを握っている。紛れもなきスーベニアを代表する逸品。
コレ、上下逆さまにして食べると、さらにおいしくなる。バーガーをひっくり返すと、最も下に位置するパティが一番上に来、肉の味と香りがダイレクトに押し寄せて来るので、肉らしさが増す。野菜が上に来るのと肉が上に来るのとでは、明らかにバーガーの表情が変わってくる。
てな話をしてたら、かつてのアップタウンダイナーでは(アメリカ人と思われる)外国人の多くが上下を逆さまにして食べていた――という思い出話が福永さんから飛び出した。そういう食べ方が「アッチぽくてカッコイイ」という意見は、この際とりあえず置くとして、私から言わせれば、折角正面向いて出て来た食べ物をわざわざ裏返しにして食べるくらいなら、はじめから順番を逆にして出した方がよほど合理的であるように思うのだけれど、どうだろう。
この夜はさらに、オープン当初やっていたという自家製フレンチフライが出て来た。でんぷん質全開、ナチュラルな甘味とフクッとした食感(←ホクッとはまた違う)で美味! コレを食べると市販のシューストがグンと劣って感じられる。ぜひまた余裕を作って復活させて欲しい逸品だ。お供はドイツのBECK'S。
実は今月いっぱいで店を閉めるのである。数年後に、かつてのアップタウンダイナーのようなもっと大きなダイナーをオープンさせるための「ステップ」だといっていた。逆に「その日まで(ハンバーガーストリートを)絶対続けてて下さい」と言われてしまったので、そうせねばなりますまい。最後の一週間は連日パーティーだそうである。
→ # 169 SOUVENIR DINER [名古屋・伏見]
― shop data ―
所在地: 愛知県名古屋市中区栄2-1-14 コモングラウンドビル2F
地下鉄東山線・鶴舞線 伏見駅歩3分 地図
TEL: 052-212-2424
オープン: 2004年2月
* 営業時間 *
ランチ: 11:30〜15:00
ディナー: 18:00〜26:00
定休日: 日曜日(要確認)