# 片道切符とハンバーガー ◆ vol.18 むすび: ハンバーガーストリート　（ブログ版）

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2007年10月27日

# 片道切符とハンバーガー ◆ vol.18 むすび

◆ 第18回 ◆ むすび

　二日間の、長い旅が終わり……

●感想

　私がやったことは、要するに各店の情報を書いた紙を東から西、西から東へと運んだという、ただそれだけのことである。しかしネット全盛の時代だからこそ、こんなアナログな動きがかえって大事なのではないかと、私はそう考える。結局最後は人と人。顔と顔の見える"生"な付き合いこそが、最後の最後に大きくモノを言うのである。

　今回、初日にデジカメが壊れ、二日目にはAMBの予想外の混雑から、予定した列車に乗ることができなくなった。この連日のアクシデントには「ここまで体を張らねば、我が取材は成就しないのか」と正直愕然とさせられたものだが、しかし私とまだたった３度しか会ったことのないセッキー＆岩波両マスターが、それこそ「体を張って」助けてくれたおかげで、私はこの旅先のピンチを無事乗り切ることが出来たのである。まさに「負んぶに抱っこ」、ひとの厚意に甘えどおしの取材旅であった。

　「偶然にもAMBが混雑していた」ことについては確かに不運だったが、しかし同時に、偶然にもAMBが「翌日から３連休だった」幸運のため、マスターも名古屋まで送るなどという無茶をやってくれたわけであって、とにかくいつもこんなに都合よくゆくというものではない。その点よくよく肝に銘じておかねばなるまい。

　いずれにせよ、こんな無茶がかろうじて許されたのは、過去２度のわずかな出会いの時間の中で、誠心誠意、互いの思いを伝え合うことが出来たからこそだろうと、私はそう思っている。その場ですぐに分かり合えるにせよ合えぬにせよ、常にもって臨むべきはただ一点、嘘偽りのない「心」だろう。心有るものは人を動かし、心無いものは何ものをも動かさない。

●反省

　現にデジカメが故障してしまったことを踏まえれば、特に今回のような「撮り直しの効かない」遠征には、もはや本職張りに「予備機」を持って行くことが必要不可欠ということになる。

　また往復の行程についても不測の事態に対応出来るよう、極論すれば事前に一切のチケットを押さえてさえいなければ、岩波マスターにわざわざ名古屋までご出動いただくようなことも無かったわけである。

　カメラにせよ移動方法にせよ、もっと十分な費用を当てる必要があることが、今回の取材旅行においてはっきりしたわけであるが、正直その辺りの対応については最早個人で出来ることの限界に達しているようにも思われて、どうしたものか……と最近悩むことがとみに多い。

●その後

　10月2日、大津のアンティーミーバーガー岩波夫妻が、岐阜のセッキーズダイナーを訪ねた。彦根のサンバーガーからは、セッキーズのカードを見たお客さんから「この店知ってる」との反応があったと報せが入った。関ヶ原(不破関)を挟んでの「近江⇔美濃」の交流の芽もありそうだ。

　私は10月1日までにAMB、セッキーズ、サンバーガーのカードをAS、GORO's、FELLOWSの都内３店に配り終え、峰屋さんにもパンを無事セッキーさんに渡したことを報告、その週のうちに借りたデジカメをセッキーさんに送り返した(人形町「重盛」のゼイタク煎餅付)。

§　§

　ハンバーガー／ダイナーの分野は情報がまだまだ不十分と言うか、好きな人はともかく、近所にそんな店があることも知らなければ、近所以外にこんなにたくさん店があることも知らない――という人がまだまだ多くいるのが現状である。それは店にとっても同じことで、何処でどんな人がどんな店を出しているのか――それを知り得る機会も現状なお限られたものでしかない。

●紙片の力

　そんな中、ショップカードの持つ効力は測り知れない。

　ショップカードは、言わば店の「扉」である。どんなに遠く離れていても常に店の「扉」となって、カードを手にした人との「距離」をグンと縮め、まだ知らぬその店への興味と親しみを起こさせる――ショップカードはそんな力を持っている。雑誌や本に載るのとはまた違った、店の入り口に直結するような「近しさ」が、この一枚の紙片の内に秘められているように思うのだ。だから私が紙とともに運んで回ったものは「近しさ」であるかも知れない。

　そこから先の情報の「扱い」は受け止めた人(店)それぞれだろうと思うので、押し付けがましいことを言うつもりもないが、少なくとも日々自分と同じ気持ちで同じようなことをする人を近しく感じることができたということは、何らかのチャンスではあるだろう――とまでは言えると思う。

　だから今回私がしたことは、そんな知らぬ者同士の間を渡り歩いて、彼らに知り合う機会をもたらした、良く言えば「みつばち」、悪く言えば「ハエ」のようなことなのである――まぁどちらか言えば「みつばち」であることを本人は望みますが。