
◆ 第17回 ◆ AUNTY-MEE burger [滋賀・大津] ≪後編≫ (行程6:帰途)
◎今回の行程
◆2日目:9月24日(月)
1914 AUNTY-MEE BURGER発 [AMBマスター自家用車]
2154 名古屋着
2210 名古屋発 [のぞみ52号]
2328 新横浜着
2340 新横浜発 [横浜線]
2355 長津田着
→帰宅
●片道"崩れ"
当初「滞在124分」を予定し、15時43分南滋賀発の列車で帰る計画だった。待ち30分、食べるのに30分かかっても、1時間は話しできるわけだから、十分余裕のスケジュールだろう。しかしみるみる時間は迫り、この場で食べてゆくことが険しい情勢に。では持ち帰って車中で食べますか……はるばる訪ねて、それも無かろう。
そこで予定の列車は諦め、数本後の接続を調べ始めたのだが、それでも追い着きそうにない。エーイ、もういいヤッ! ここまで来ておいて、そんなセワしない撤収では竜頭蛇尾。まだショップカードの授受さえ終わっていないのだ。観念して草津線回りの最終を見ると、「南滋賀18時02分→草津18時41分」が柘植・亀山経由の名古屋行き最終とわかった(名古屋着21時16分)。
とにかく「新横浜行のぞみ最終、名古屋22時10分発」にさえ間に合えばよいのだ。そうした意味では「京都から新幹線」「草津−名古屋間を東海道本線」など、当初予定した経路にこだわらずとも、名古屋へ辿り着く手段は他にいくらもあるワケなのだが、しかし片道乗車券を買った上、さらに数千円単位の出費が余計に発生するのもどうか……と思案しているところへ、マスターから間に合うかと声が掛かった。
予定の列車にはもう間に合わないこと、本当の意味のデッドラインは「名古屋22時10分」であることを話すと、マスターの口から、こんなとんでもない代案が飛び出したのである――「わかった。名古屋まで送るワ」。
●ただの偶然
この日は特別異様な賑わいだったそうである。
前日の日曜など余裕なもので、その気になれば多少早く店を閉めることも出来たぐらいだったのに、それが何の因果か、同日同時刻にこれだけの人が広い日本のこの一点目指して集結し、それで一気に供給不足に陥ったと。「エライすまんかったなぁ」というのだが、しかしこればっかりはマスターにだって予測不能のこと。マスターが悪いわけでも何でもない。すべてはただの偶然――。
マスターもゆっくり話せる時間が欲しかったのである。後続の注文をこなし続け、材料が無くなり「SOLD OUT」の札を出した辺りで、やっと話しのできる体勢になった。もう空はだいぶ暗くなっている。
●符丁
オープンエアのテーブルを囲み、他のお客さんも巻き込んで、もっぱらバーガー話でひと花ふた花。
各店より預かったカードを差し出すと、今回の件のための特別仕様、チラシの下に「AS」「FELLOWS」「GORO's」、3店のロゴを配した「関東バージョン」のチラシが登場。「どこの店のカードを持って行く」とは一切知らせていなかったにも関わらず、「せーの」で出し合ったものが、符丁が合うごとくピタリと一致したのには正直驚いた。
途中常連さんが飛び入り。土産のサブレを居合わせる全員でごちそうになり、バーガー話でさらにひと花ふた花。「オシリ」を気にしなくてよくなったので、私も心置きなく話することが出来た。
●出発
「そろそろ片付けにかからんと、名古屋に間に合わん」ということで、それでもなおオシャベリに未練を残しながら、マスターは独り店じまい。日もとっぷり暮れた少し肌寒い屋外で、虫の音に包まれながら最後までお付き合いただいた常連某氏と、今日初めて訪れたという麗しいカップルに別れを告げ、マスターの愛車に乗って店を出たのが19時10分過ぎ。写真は閉店後のアンティーミーバーガー――レアもの。
●19時14分、西大津バイパス
店を出てびっくりするぐらいスグが西大津バイパスの「南志賀ランプ」で、クルマのアクセスは抜群。
これより名神高速へ。大津ICよりも京都東ICの方が近いというので、山科方面へ向かう。
雨の降りしきる名神高速。この辺りの「我が身を取り巻く否応無き環境の変化」はとにかく凄かった。あれよという間に助手席上の人になり、気が付けば夜の高速を名古屋へ向けてひたすら突っ走っているのだから。カーステレオからは何か流れてはいたが、何だったかは思い出せない。夜の高速にはドナルド・フェイゲンの「NEW FRONTIER」('82)など陶酔系でオススメ。
この間もずーっとバーガー話でひと花ふた花。「フェローズ」のコールスローがおいしいとか、「ゴローズ」はあんな家賃高い場所なのに600円のバーガー出しているのはスゴイとか、西宮にある「Esquerre(エスケール)」という、パン屋が始めたハンバーガーカフェがイケテルとか、夏に半田の「オリエントバーガー」まで行ってきたとかetc....
店長(奥様)のことを訊くと、春先から体調が思わしくなくて、しばらく店はお休みしているとのこと。なんと……お会いできると思っていただけに、二重の驚きである。早く良くなって来年にはまた……などと話すうちに養老、羽島とかっ飛ばして、一宮ICで名古屋高速へ。時刻は21時前。のぞみ最終まであと1時間余。
●20時57分、名古屋高速16号線
快調に飛ばしていると思っていたら、清洲JCTでふと降りた。
「こっから下道を走った方が名古屋駅に近いやろ」ということなのだが、正直ここからが修羅場。元長距離運転手の勘を頼りに進んでみたものの、常にコースから逸れて逸れて走っている感で、ついに行く道を失って止まってしまったのが左の写真。21時22分。あと48分。
「ナビに目的地を入れよう」となったのだが、モノが古くて、いくらボタンを押してもリモコンの中でピーン、ピーンとバネが鳴るばかりで、一文字も入力できない。「しゃあない、地図見ながら……」というも、いま見ている縮尺では拡大し過ぎで名古屋駅まで入らず「なんのことやわからん」、小さくすると今度は広域過ぎて「ますますわからん」ということで、ちょうどよい尺なし――なんのナビですか。
ナビは諦め。焦燥に駆られつつ、それでも枇杷島→助七→新川大橋と活路を見出し、途中何度か曲がる道を間違えて名古屋駅を完全にやり過ごすも、それもリカバリー。桜通口ではタクシーに邪魔されてロータリーに入れず一度旋回、やっと乗り付けた時刻は21時54分――ギリッギリ! セーフ! 岩波マスターとの別れを惜しむ間もなく、改札に向かって駆け出した。
●22時10分、名古屋(愛知県名古屋市中村区)
直線に鞭入れながら自由通路をひた走り、改札さえくぐれば、これでひと安心(よく考えたら名駅を行き過ぎた際、太閤口に付けてくれたら新幹線の改札に近かったのだが)。最終一本前に間に合ったが、ひと息入れたかったので、324号はスルー。当初予定ではみやげ物などゆっくり見る時間があったのだが、それもかなわず、かろうじてホーム売店に、名古屋・東海みやげの優等生「赤福」が置いてあるのが目に留まり、数点を購入。まだ事件の発覚前だった――レアもの。
●23時28分、新横浜(神奈川県横浜市港北区)
そのまま23時40分発の横浜線へ。
●23時55分、長津田(神奈川県横浜市緑区)
ついにまた出発駅に戻ってきたわけである。駅員に「無効」印をもらって、これで片道乗車券経路は、無事ではなかったものの、ともかくも終了――旅は終わった。
結局、自宅の最寄り駅に着いたのは0時16分だった。明日は仕事――まぁ飲んで帰って来たと思えば。 【つづく】
2007.10.26 Y.M