2007年08月08日

# 181 HOBGOBLIN




 ホブゴブリンとは英国ウイッチウッド・ブルワリー(Wychwood Brewery)社が醸造するビールの銘柄である。

●エール

 このエールタイプのビールの名を冠したパブは、イギリス国内に30店舗以上展開しており、日本においても2000年11月、港区赤坂にHobgoblin Akasakaがオープンして、これで日本のビールファンは豊富なブリティッシュビールの数々を都内で楽しめるようになった。


 客層は都内在住の英国人や米国人が過半。地下特有の、湿り気を帯びた冷気を漂わす赤坂店は、黄色の壁、赤いクロスの天井に一段上がったダイニングエリアは木のフロアで暖色系の組み合わせ。その黄色い壁を大小無数の額に入った写真が埋め尽くし、華麗なランプが天井から下がるヴィクトリア調の店内に、全長7〜8mはあろうかというカウンターが店の奥へと延びていて、生ビールのタワーがざっと10台、ニョキニョキと中に聳え立っている。これが本場のオーセンティックなブリティッシュパブなのかどうか、私にはまるで判断が付かないのだが、「そうだ」と言われれば「そうね」とも思える佇まい。こうなると入り口頭上の「非常口」の3文字がひと際ミョウだ。

 フットボールや大リーグなどのスポーツ中継で盛り上がる……のは今や「基本」ですな。奇しくもサッカーアジアカップ準決勝の行われた当夜、赤坂の街は至るところ、店頭に「LIVE」の文字を掲げた店ばかり。これぞ奪い合いの様相……。


●サークルマスター


 さて名代のホブゴブリンの生を飲もうとしたら、これが品切れ。別日六本木店に行っても同様だったので、まぁそういうことなんでしょう。しょーがないので瓶ビールサークルマスター¥1,000を頼んだら、グラスに注いでくれたまではいいが、空になったビール瓶は無常にもその場でゴミ箱深く捨てられてしまい、出て来たのはグラスだけ。ビール好きなら、ラベルをしげしげ眺め回しながら、しみじみと舌の上でホップの苦味など味わう場面だと思うのだが……ムゥ〜、てんで人情てぇもんをわきまえておらぬなぁ……などとも思いつつ、ま、いっかと。

 ちなみに六本木店は赤坂店よりはるかに大きな店構え。カウンターもズドーンとさらに長く、その奥のダイニングエリアがこれまたずい分大きく間取りされていて、日本人である私にとっては広々していて大変居心地よく思えたのだが、本場のオーセンティックなパブが果たしてこんなに広いものなのかどうか判らないので、その点良いとも悪いとも……スイマセン、煮え切らぬコメントばかりで。

 お隣は系列店のLEGENDS SPORTS BAR背中合わせと言ってよい関係で、ひょっとすると両店、キッチンはつながっているかも知れません。……アレ? LEGENDSにもバーガーあるじゃない。



お隣はLEGENDS SPORTS BAR

●ブリティッシュフード

 さてサイトには「日本で最高のブリティッシュフードを」などと書いてあるのだが、メニューを見れば「ブリティッシュフード」とあえてくくるほどの偏りも特段なくって、バッファローチキンであるとかトルティーヤであるとかナチョスであるとか、毎度の面々が要所を固めている。それにこっそりと乗るカッコウで、ハンバーガー。

 100%ビーフ バーガー、フライドポテトとサイドサラダ添え¥1,600。ポテトは今まで食べた中では一、二を争う太さ

 グラハム系の扁平バンズにマヨネーズ、シュレッドしたレッドオニオン、ビーフパティ、トマト×2、レタス、下バン。パティはアチラ好みに焼き方かなり強めの固めブラックペッパーが少量振ってあり、コレとコゲの香りで食べさせる。その他、特別何を挟んでいる感じでもないのだが、一点、バンズにやや特徴があって、少しばかりおいしく感じられた。

 ビスケット、ないしはスコーンのような水分少な目のポクポクとした印象で、コレが果たしてどんな素っ気のない、ソッポ向いた味を披露するかと思っていたところが、意外や噛むほどに粉の甘味が僅かずつながら滲み出してきて、他店では味わえない、グラハムらしい風味と食感(=外国人好み)を味わうことができた――ちょっとだけネ。まぁこのバンズが食べたくて足を運んだワケなんですが……。

 ただこの内容でいくら何でも¥1,600はないだろう。サンドイッチなんか200円も300円も安い値段で、取り分けることを前提としたかのようなボリュームでドデンと出てくるというに、なぜハンバーガーの方が高いうえ、量が少ないのか? 実に貧相である。見劣りがする。どうにも不思議でならなかったのだが……あんまり出したくないのかな? バーガー……。

 ちなみにぐるなびには「ゴブリン バーガー、ベーコン&チーズ入り¥1,600」と出ているのだが、現地ではそのようなものは見当たらず、あるのはただ「100%ビーフ バーガー、フライドポテトとサイドサラダ添え¥1,600」のみ……ん? サラダなんて付いてたっけ?

●限りなき戦い


 行った時間が早かったせいも大いにあるだろうが、店内分布としてはテーブル派は極少数、みんなしてカウンターに鈴なりの、大盛り上がり。片肘付いてざっくばらんに話し込むその姿に、日本の立ち飲み屋ともまた違う、一種大らかな空気が漂っていた。「パブとバーの違い」といった辺りのことについては、北千住「蜂の巣」の高橋オーナーに訊いてあるので、またいずれ……。

 BGMはチャンネル不明のダンス系……と思っていたところにツッェペリンの「限りなき戦い(The Battle Of Evermore)」が鳴り出して(MSGではありません)、そこでもぅワケが解らなくなった。TFF(ティアーズ・フォー・フィアーズね)も良かったが、やはりロッド・スチュワートの「You Wear It Well」辺りがかかると、非常にソレっぽく聴こえますな。あーあと話飛びますが、ジャマイカ産のシガーが置いてあります。


― shop data ―
●ホブゴブリン赤坂
所在地: 東京都港区赤坂2-13-19 多聞堂ビルB1F
     東京メトロ千代田線 赤坂駅歩3分 地図
TEL: 03-6229-2636
URL: http://www.hobgoblin.jp/
オープン: 2000年11月
営業時間: 11:00〜25:00
土・祝: 17:00〜25:00
定休日: 日曜日(要確認)

●ホブゴブリン六本木
所在地: 東京都港区六本木3-16-33 青葉六本木ビル1F
     都営大江戸線・東京メトロ日比谷線 六本木駅歩5分 地図
TEL: 03-3568-1280
オープン: 2002年7月
営業時間: 16:00〜25:00
定休日: 無休(要確認)
※ほかにホブゴブリン渋谷もあり

2007.8.8 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 23:57 | TrackBack(0) | 東京編◆西部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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