2007年05月18日

# 174 LATINO HEAT [神奈川・茅ヶ崎]



 センター南のカリフォルニアダイナーBu(ブー)が、立派なホームページを残したまま忽然と姿を消したのは去年'06年の9月の末。以来多くの人が「一体何が起きたのか」とずいぶんと不思議がっていたのだが、今年'07年1月、Buの"流れを汲む"店が湘南茅ヶ崎にオープンしていたことを、ふとした偶然から突き止めた。

●Buを継ぐ者

 オープンからわずか1年2ヶ月――母体である会社の事情でBuの閉店が決まったとき、キッチンスタッフの1人だった田辺さんが「それなら僕にやらせて下さい」と手を挙げてみたところ、「そーかそーか、それならアレもやろう、ほらコレも持って行け」……と言われたかどうかは定かでないが、机イスをはじめ食器類一式、外灯やビリヤード(……の何か)に至るまで、Buにあった殆どのものがそのままラティーノヒートへと運び込まれたのである。これぞまさに渡りに船、ネギがカモ……逆か。

●パティの一語


 バーガーメニュー17品もBuから継承。メニューを開いただけで、Buの常連ならきっと目を潤ませて懐かしむに違いない。Buバーガー¥1,100も当然のように顔を見せている。チーズバーガー¥1,100。表面を覆うセサミがつぶつぶ・プチプチと心地好いバンズの裏にはマスタード、チェダーチーズが2枚、パティ、シュレッドオニオン、リーフレタス、マヨネーズ、下バン(heel)。

 このバーガー、なにしろパティの一語に尽きる。150g。挽き粗く、グズッと崩れるような食感でありながら、しかしモロモロにほぐれ去ってしまうことなく、紙一重の線でワイルドな肉らしさを強調。崩れるほどに滲み出す肉汁は、肉好き諸兄諸姉を満足させることだろう。2枚のチェダーチーズとの粘着質な絡みは絶品!

 これならオニオンは生よりグリルして載せた方が絶対合うだろう――と思ったら、グリルド・オニオン・バーガー¥1,100なるメニューが計ったように用意されていた。しかもまた無鉄砲にもオニオンが採算度外視の極厚――このバーガー絶対間違いナシ! 付け合せはきゅうりのピクルスにご存知クリスフライ。

●ドリップ


 お供はアイスのストレートティー¥450にしたのだが、聞けばコーヒーはマシーンでなくて、なんと一杯ずつ手でドリップしているというから驚いた。「うちはカフェなんで」せめてコーヒーくらいは……ということだそうなのだが、しかし立て込んでいる時に「カフェラテ!」なんて注文入るとちょっと大変――牛乳は鍋で温めていますから。ブレンドは酸味や苦味のくどくない、すっきりとした飲み口。脂分多目のバーガーを食べた後には丁度よい口直しだ。

 "LATINO"とは「ラテンアメリカ系のアメリカ人」のこと。物事にこだわらず、お気楽に生きてるようでいて、秘めたる情熱家。こう見えてもヤルときゃぁヤルぜ! とまで能天気な店でもないが、そんな肩に力の入らない、スローな空気の中で店をやりたいという想いが込められている。実は店名にはもう一つ別な意味もあるのだが、コレはマニアにしかわからないオイシイ目くばせということで、まぁ語らずに置きますか……。


●サービスを極める

 以前はアパレルの販売をしていた田辺さん。日ごろ心がけるサービスの「至上」を突き詰めて考えるに、それが叶うのは「飲食」をおいてほかにないと、思い切って活躍の舞台を移した。

 とにかくお客さまに満足してもらいたい。だからお客さまと常に接していたい――Buのキッチンは四方を壁で囲った造りだったが、今度の店はオープンに造ってあるためキッチンから店内の様子がよく見渡せて、より"密"なコミュニケーションがとれるようになった。カウンターも5席設置。「カリフォルニアの夢」がまたひとつ叶った恰好だ。

 カリフォルニアといえば、Buから受け継ぐ濃い茶色のウッドを多用したこのインテリア。由来を聞いたところ、イメージとするのはカリフォルニア辺のサーファー達がよく行く落ち着いたカフェ。それをわかりやすくアレンジしたのが今の店であると。背もたれの高いダイニングチェアが並ぶ様は、創作料理か何かの店にも見えなくもない。




●ナイフとフォーク

 場所は「桜道」という昔からの住宅街の間を抜ける道筋をしばらく進んだところ。外観のアピールがやや弱いため、ともすれば行過ぎてしまいそうだ。茅ヶ崎と言えども海まではまだ10分は歩くか。のんびりと大らかな、スローな空気の流れる街並みで、それがココの場所を選んだ理由の一つでもある。

 場所と言えば、「ナイフとフォークでいただくか、袋に入れて……」とふだん聞き慣れぬ順番でハンバーガーの食べ方を説明されたものだから、ナゼかと尋ねたところ、ナイフとフォークを使って食べるお客さんが意外なくらい「多い」というのである。茅ヶ崎市民23万人に提案――いっぺん袋に入れて素手で持って食べてみて下さい。味が全然違うと思いますから。

 BGM――店の雰囲気を象徴するような、カフェ調のスローな曲が延々。デヴィッド・ボウイの「モダン・ラヴ」をバラードにした女性ヴォーカルが印象的だった――誰?




●バーガーに魅入られた少年

 かくしてBuを受けて、Buより出発したLATINO HEATは、茅ヶ崎のハンバーガーカフェとして、ここに新たな歴史を刻み始めていた――。

 ところで田辺さんは高校時代、たまプラーザにある名店「トルバドール」のカッコよさにシビレて、初めてのバイト代を握り締め、ハンバーガーを食べに行ったことが……って、それと同じような話を名古屋でも聞いたなぁ。

 さらに遡ってこどもの頃、親に連れられて馬車道にあった「珈琲屋」というコーヒースタンドでハンバーガーを食べた記憶があるというのだ。

 この珈琲屋、米軍接収当時の空気を深々と吸った店で、ゆえにハンバーガーも限り無く当時の姿形を留めていたのではないかと推測されるのだが、しかし私がその名を知ったときには既に無く('94年閉店)、なので今となってはその味を知る由もないという……そんな在りし日の珈琲屋にさえしっかり行っていたとは田辺マスター、実はそんな頃からハンバーガーに魅入られていたのかも知れない……おそるべし、LATINO HEAT(ラティーノ・ヒート)!


# LATINO HEAT [神奈川・茅ヶ崎] のサルサバーガー
# LATINO HEAT [神奈川・茅ヶ崎] のパイナップル・チーズ・バーガー
# LATINO HEAT [神奈川・茅ヶ崎] のグリルド・オニオン・チーズ・バーガー
# 110 California Diner Bu [横浜・センター南]

― shop data ―
所在地: 神奈川県茅ヶ崎市若松町6-20
     JR茅ヶ崎駅歩15分 地図
TEL: 0467-85-9898
URL: http://cafe.latino-heat.net/
オープン: 2007年1月7日
* 営業時間 *
ランチ: 11:30〜16:00
ディナー: 18:00〜21:00
定休日: 水曜日(祝日を除く。要確認)

2007.5.18 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 12:48| Comment(6) | TrackBack(1) | 東国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは、TBありがとうございます。
こちらからもいただきましたので、
よろしくお願いします。
念願の店に来られて、良かったですね♪
また茅ヶ崎に来てくださいね。
Posted by sugaree at 2007年05月19日 13:23
はじめまして、こんにちは。
コメントありがとうございます♪
Buがまだ現役な頃に行ってみたかったです・・・

TBさせていただきます。
どうぞよろしくお願いします。
Posted by はづき at 2007年05月19日 17:08
Buは店の雰囲気・味ともに大好きなお店で、色々食べ歩いたハンバーガーのお店の中で一番思い入れのあるお店でした。
似たような味の店がなく、もう一度食べたいな〜と思っていたのですが、先日ラティーノ・ヒートを見つけ、食べに行く機会がありました。
バンズが違うのとマヨネーズの量がBuより多めな気がしましたがパティの特徴はBuそのままで、とてもおいしいハンバーガーでした。
ちょっと現住所からは遠いのですが、また行きたいお店です!
Posted by えす at 2007年05月23日 00:34
sugaree 様

コメント&TBありがとうございました。

「また茅ヶ崎に来てくださいね」と言われるほど、遠くはないことに前回気付きまして。電車移動だけなら40分程度でしょうか。次回はグリルド・オニオン・チーズ・バーガーでいきます。これはもう決まり。


またよろしくお願いいたします。
Posted by ハンバーガーストリート at 2007年05月27日 11:45
はづき 様

コメントありがとうございます。

どちらもTB不調のようですね。最近私の方もTBうまくゆかないのですよ。なぜだろ……。

「Bu」というお店は、わずかに1年ちょっとだけの営業でしたから、しかも順調にやっていたように見えたので、みなさん「なんで?」と戸惑われたワケです。「伝説」など築くいとまもない短命な店に終わってしまった――というのが実際のところでしょう。

まぁでも過去は過去です。

これからは「茅ヶ崎にLATINO HEATあり!」ということで、ぜひ湘南の話題を独り占めして欲しいなと強く思っています。
Posted by ハンバーガーストリート at 2007年05月27日 11:56
えす 様

コメントありがとうございます。

きっとこれからもっとおいしくなると思いますよ(エラそうで、すいません)。

Buはあくまで出発点であり、それを礎としながらも、これからはLATINO HEATの味を追求してゆく――そうあって欲しいなと願っております。


これからもよろしくお願いいたします。
Posted by ハンバーガーストリート at 2007年05月27日 12:08
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