こと21世紀に入ってからの日本のハンバーガーは、今までなかった、まったく「新しい食べ物」と言ってよいでしょう。だからまったく新しいモノをイチから紹介するつもりで、食べ方や楽しみ方、醍醐味などをもっと積極的に紹介し、アピールしてゆく必要があるのかな――というのが私の意見です。そしてそのアピールは現状まだまだ足りないのかなと……。
これが本当に新しい食べ物を紹介するのなら、苦労はないのです。ハンバーガーの難しさは、既に一定の評価が出来上がってしまっているというところでしょう。
ご存知のようにマクドナルドに代表されるファーストフードのイメージが、40年近くもの長きの間にすっかり定着してしまっています。本当は他にもっといろんな語りようがあったと思うんですが、ファーストフードという一側面ばかりが強調されて、やがてそれがハンバーガーを象徴する「強過ぎる」イメージとして固定化してしまったわけです。
そんな中、今までのものとはまた違う、別の味わいのハンバーガーを紹介しようとするとき、すっかり根付いたそのイメージがどうしても邪魔をすることになります。まずはその片寄ったイメージを壊すところから始めないといけません。
しかし「壊す」という作業には大変な労力と時間がかかります。容易なことではありません。なので壊そうとするのでなく、今までのイメージとは別にもう一つ、まったく新しいハンバーガーのイメージを築き上げたらよいと思うのです――まったく新しいハンバーガー文化を提案してゆくわけです。
ただ「ココに行けばおいしいハンバーガーがあるよ」というだけでは、この新しい食べ物の紹介としては不十分だと思います。「どうやって食べるのか」「どうすればおいしく食べられるのか」「どんなときに食べるとおいしいのか」――まぁ八百屋や魚屋のおやじみたいなもんです。食べごろやおいしい食べ方までアドバイスしてくれるのが、ただ陳列しているだけのスーパーとは違う「味」。食べ方や楽しみ方まで含めた、新しい「食のスタイル」としてのハンバーガーの魅力や醍醐味を、もっともっと強くアピールしてゆく必要があると思います。
今はまだ食べ方や楽しみ方に特に決まった型があるわけではないようです。みなさん「今までの基準」に照らし合わせて、探りながら食べているように見受けられます。なのでそこは「その味を知っ(てしまっ)た」私のような愛好者や、そして誰よりも作り手であるお店自身が、もっと積極的になって「われ思うところの」楽しみ方を提案し、発信してゆくべきしょう。
ハンバーガーに合うドリンクは本当にコーラなのか、ギュッと潰して食べるのが本当においしい食べ方なのか、手で持って食べるのとフォーク&ナイフを使うのとでは、どう味が違うのか――そんなこともイチから考え直してみてよいのかなと思います。「アメリカでは……」というのもこの際一度はずして考えてよいでしょう。「今までの基準」だって、どんないわれがあって、誰が言い出したことか、その辺のこともよくはわかりませんので、それらも一度クリアにして、まっさらな状態から、本当においしい「日本のハンバーガー文化」を見つけ出してゆけたらよいと思っています。
最後になりましたが、ハンバーガーは21世紀日本の新しい食文化です。いまはそれが形作られる途上にあるのだなと、私はそう感じています。都知事選への立候補はさすがに見送りましたが……そんな次第で。
2007.3.30 Y.M