アメリカ北西部、マウントフッド――カスケード山脈の中ほどに位置する標高3,426mのこの山は、ソノ道の人なら知らぬ者なきスノーボードのメッカである。長野五輪出場を目指す後藤麻里さんは、このマウントフッドで毎夏トレーニングに励んでいた。
●標高3,000mで食べるサンドイッチ
長野オリンピックで初めて公式種目となったスノーボード ハーフパイプは、当時まだできたばかりの新しいスポーツで(詳しくはWiki参照のこと)、とにかく国内に「いいパイプが全然無かった」ことから、その"いいパイプ"求めて、マウントフッド(Mount Hood)の麓、オレゴン州ガバメントキャンプ(Government Camp, Oregon)に文字通り「キャンプイン」するのが、後藤さんの毎年6月の恒例だった。
「北半球で夏でも滑れる」数少ない山の一つであるマウントフッドには、この時期、世界中のトッププロが大挙集結して綺羅星の如き輝きに満ち溢れる。ガバメントキャンプは、そうした世界のボーダーたちの一大トレーニング拠点として機能する小村落である。
後藤さんの定宿はハックルベリーイン(Huckleberry Inn)。ココのレストランで食べたハンバーガーの味(ユニークな名前のオムレツも6品)、そして毎朝、食パンの間に適当に具材を挟んで携え、マウントフッドの山腹で、まるで鏡のように空を映す湖面を眼下に見ながら、温かい飲み物とともに食べた標高3,000mのサンドイッチ――コレが美味しくないワケないでしょ!
究極に美味しいシチュエーションとともに記憶された料理の味は、ときにレシピを越える宝物になる。庭先のバーベキューで作るハンバーガー、家庭の朝食に登場するパンケーキ――"本場"アメリカで後藤さんが体験したものは、作り方ではなく、美味しい食べ方。カタチでなく、ニオイ。こうしたアメリカの活きた体験が、CoCochiのメニューの原点になっている。
●常に雪の上
雪のなくなる8月半ばまでマウントフッドで過ごし、日本への帰途、ニュージーランドに寄って10月まで1ヶ月ほどまた練習。帰国後は旭川などを拠点に、国内の大会を4月まで転戦し、そして6月にはまたオレゴン……と「ほぼ1年中雪の上」の生活を4〜5年の間繰り返した。ほとんど「明け暮れ」というレベル。
ある年、後藤さんは長野県・白馬のロッジにひと冬住込みでトレーニングしたことがあった。一日の大半をゲレンデで過ごすかたわら、ロッジの食堂を手伝い、夜中には翌日の仕込みをこなす――以来後藤さんは、こうした宿所や飲食店での仕事を続けてゆくのだが、中でもこのとき白馬のロッジで覚えたことが、いま大いに役立っているという。ココチ開店への伏線は既にこのとき敷かれていた。
●ランチビール
さてココチの話――
バーガー8品、パンケーキは食事系3品にデザート3品の計6品。サンド3品、ロコモコほか。当初23時まで営業していた名残りでアルコール多数(今は19時まで)。生ビールはサッポロのエーデルピルスという、コレまた変わったチョイスでジョッキ¥600。広くて明るい店内にハワイアンがゆる〜く流れて、これは昼間っからビールっしょ! と思ったらランチビール¥400にランチワイン¥300もあって、なかなかに心得ていらっしゃる。
●カリンの木と個室
ハンバーガーショップと呼ぶにはあまりに広い店構えは、かつてイタリアンレストランだった物件を内装ごとそのまま引き継いだもの。床壁、そして一枚ものの立派なダイニングテーブルは、是皆すべてカリン(花梨)の木を使用した高級品。厨房も贅沢なほど広く、そこにマスター独りぽつんと立っていることがむしろ寂しく思えるほどである。
しかも……30席あるホールの奥にはなんと! 着席で8名入る個室が!! パーティーや会議・集会、英会話やフラワーアレンジメントなどの会場として多目的に提供している。トイレも車椅子サイズだし、ホールにはYAMAHAの電子ピアノにMABO ROYALのロングボードまで置いてあるしで、都内各店垂涎モノの贅沢なスペース――これぞ郊外の為せる利点というものだ。
●ドゥ・リーブルのソフトフランスバンズ
チーズバーガー¥1,000。グリュイエールとモッツァレラから選択。町田の名パン店ドゥ・リーブルを口説き落として毎日配達させている天然酵母バンズは、香ばしいセサミがいっぱい。ややドライな口当たりのソフトフランス生地で、保湿に優れ、パサつかず、淡白ながらも美味しい余韻を残す。裏がサクッと焼けて気持ちよい食感。中はレリッシュ+オニオン、トマト、チーズ、パティ、レタス、マヨネーズ、下バンにはマスタード。これでもかと折り畳んだレタスは、それゆえにやや安定が悪いが、分厚く切ったトマト共々ボリューム満点。
パティはその野菜陣を軽く一蹴するかのような堂々たる存在感。ソレ単体で「ひとつの肉料理である」という信念の下、肉の粒子を壊さぬよう成形の仕方を工夫して肉らしい食感を表現し、塩コショウは焼くときに振ってステーキらしい味わいを心がけた。その振り塩が脂の旨味と巧みに融け合って、柔らかくジューシーな肉の味わいを引き出しており、またレリッシュのゆるい甘味もパティの味を殺すことなく、よいバランスでコントロールされている。チーズはグリュイエール、モッツァレラとも、縁の下的存在で表立つことはない。
過度な演出を施さずに肉の自然の旨味を軸にバランスされた、シンプルかつプレーンなバーガー。非ソース系として、ある種理想のカタチを誇っている。余韻はレリッシュとバンズの甘味。付け合せはフレンチフライにピクルスの盛り合わせで、CP(コストパフォーマンス)も良好!
●ハンバーガーとパンケーキの店
もうひとつの看板メニュー、アチラの家庭では朝から焼いてるパンケーキ。目下流行りのスイーツだが、時期が重なったのはただの偶然――しかしバーガーといい、食の流行はいま案外とアメリカンかも。
焼くのはpan(フライパン)ではなく、このために用意した銅板のグリドル。生地にそば粉を加えてしっとりと弾力ある食感に仕上げている。ホットケーキとガレットの中間のようなユニークな一品で美味。ただし量があるため、バーガー食後は困難か。一回にどちらかしか食べられないジレンマに陥ること必須。いやコレは悩むヨ……
§ §
これだけ強くアメリカを根底に持ちながら、店名は「心地好いのココチ」と、まったくの日本語であるというオチ着き。郊外の住宅街という場所柄、週末の昼どきともなれば、示し合わせたかのように店内ベビーカーを押した若夫婦一色。平日の3時、4時はグッと落ち着いて、すぐそばの昭和大学病院のドクター辺りが安息の地を求め、ふらりとやって来る。
結局、五輪代表は武山香里・吉川由里の両選手に落ち着き、後藤麻里は五輪を節目に競技生活からスパッと身を退くが、スノーボードは今でも楽しんでいる。「その店に行かないと食べられないものが作りたい」と見据える先に一切迷いが無いのは、過酷な競技生活の間に鍛錬された集中力の賜物か……って、ソレとコレとは別物かな? 定休日無し――それこそトレーニングで得た強靭な体力の賜物だろう(※'07年6月より水休に)。
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― shop data ―
所在地: 神奈川県横浜市青葉区藤が丘2-3-1 桂ビル
東急田園都市線 藤が丘駅歩2分 地図
TEL: 045-972-2848
URL: http://www.cocochi.cc/
オープン: 2006年8月7日
* 営業時間 *
平日: 11:30〜15:00(LO14:30), 18:00〜22:00(LO21:00)
土日祝: 11:30〜16:00(LO15:30), 18:00〜22:00(LO21:00)
定休日: 水曜日(要確認)