今回は目くるめくトリビアの溜池――
●道順は自己暗示
まず店の場所――「わかりづらい」「迷った」などの前情報を聞かされていたのだが、ところが地図見りゃ何のこたぁない、「千代田線赤坂駅5b出口から限りなく一本道じゃない」と思った途端、近い近い!磁力に吸い寄せられるように辿り着いた。"難"と覚えるか"易"と覚えるか、要は自己暗示如何。
●いかにも麻布・赤坂・六本木
しかし賑やかな赤坂通りから一本も二本も入り込んだ場所なのは確か。
山とも丘とも呼べぬ小さな起伏の間を細い坂道が行き交う、いかにも麻布・赤坂・六本木的な狭隘な地形の中に在る。お向かいはけっこう年季入ったアパートで、これまたいかにも。こんな細道が江戸の頃からずっとココを通っていたのだろうかと古地図を調べると、今オーセンティックのある場所は、かつては筑前福岡藩五十二万余石・黒田家の中屋敷だったんですな。店の前の道を六本木通りの方に少し下ると、すぐ池があった模様。
今は地図にはローソンと出てくる(縮尺を1/1500にして見てね)。入り口の自動ドアがその名残り。えっ?この狭さでどんなローソン?……とお思いだろうが、ローソンの跡を壁で仕切って2店舗に分けたんですな。で、奥半分はバーになり、手前はコノ店になる前はジンギスカンだったと。ダクトはその名残り。
●運命の始まり
オーセンティック・佐藤マスターは、本郷の名店ファイヤーハウス(以下「FH」と略)でマネージャーをしていた。
'02年、会社勤めを辞めて飲食を始めようと思い立ち、なんとなく和カフェ系を見て回るうちに、当時FHがやっていたカフェに行き着いた(今のデリバリーの店舗が在る所)。このときFHの本店にも寄り、そこで初めて非ファストフードな、本式なハンバーガーを食べて強い衝撃を受けたのが運命の始まり。
猛烈においしいんだが「どうしておいしいのか解からなかった」と佐藤マスター。味もさることながら、スタッフのテキパキとした動き、さらにはオーラのある店の雰囲気まで、FHという店の魅力に強く惹かれて、「ここならば」と働くことを決意。このときの店長が今のARMSのマスター。UNCHAIN FARMのマスターは佐藤さんの後輩に当たる。
4年半働いて、辞めたのが昨年'06年の10月末日。オーセンティックのオープンが11月18日……ってエッ!?たった18日で始められるモノなの?もちろん並行して準備は進めていたわけだが、それにしても尋常でない短期間であることに変わりはない。佐藤マスターが惹かれたという「スタッフのテキパキとした動き」と併せて考えるに、このファイヤーハウスというハンバーガーショップ、極めてプロフェッショナルな作り手の集団なのではないかと……って、FHに一度しか行ったことのない私が言うのも何ですが。本家に同じく赤レンガのビルに入っているのは単なる偶然か。
●オーセンティック・スカ
「authentic」という言葉を辞書で引くと「真正の、本物の」と出てきて、たとえばオーセンティックバー(authentic bar)なんて使い方はよくするのだが、コノ店の場合、マスターが大好きな「オーセンティック・スカ(authentic ska)」なる音楽のジャンルが、その名の由来である。
オーセンティック・スカとは、'60年代ジャマイカで誕生したスカミュージックの中でも源流、発祥に一番近い、誕生当時の空気を最も含んだスカのことで、現在聴かれるスカよりずっとスローで、のんびりした曲調が特長。そんなマスターお気に入りの音楽に掛けつつ、「源流、発祥に最も近い」という想いは、FHへの言わばオマージュでもある(今風に言えばリスペクト?しかし軽い言葉遣いですな)。
そんなワケでジャマイカ的、「石」や「鉄」をほんのりコンセプトにした店内。スティールブルーに塗った天井に付けられたサイコロ型スピーカーからは、レゲエミュージックのルーツを辿ったドキュメンタリー『Ruffn' Tuff』(監督:石井”EC”志津男)のサントラ盤が。ちなみに天井のSoundeviceのスピーカーはFHからのお下がり。
●夜も迎撃態勢
席数20+ダークシアンのタイルを貼ったカウンターに4席。建物の形に合わせた三角形の店。元コンビニだけに窓が大きく、昼は明るい(が、窓外は件のアパート)。元々「昼間メインで」という方針があったそうだが、ひと通りお酒も揃えて夜も迎撃態勢。但し現在、店のオモテのアピールが今ひとつ少ないため、バーガー店であることもアルコールの店であることも判り難く、その点は今後の課題。近くにアメリカ大使館の宿舎(信濃松代藩・真田家十万石+陸奥中村藩・相馬家六万石の屋敷跡)などもあり、客層に占める外国人の割合は1/3に迫る。デリバリーはもう少し地歩を固めてからという堅実さ。
●ハートランドとチーズバーガー
バーガー12種。サンド5種。メニューに書かれた個性的な絵はぬぁんとPowerPointで描いたマスターの自作!コノ店の生ビールはハートランドの樽生\630。ハートランドって輸入物とばかり思っていたのだが、それは大きな誤り、れっきとした国産、キリンです。Budよりもしっかりしていて、ラガーよりも軽く飲めるからバーガーにはピッタリ!とはマスターの言い得て妙。
チーズバーガー\1,029。ふっかり大きなバンズはてっぺん白ゴマ、中はオーロラソースにチェダーチー、パティの下にレリッシュとオニオンが刻まれてマヨと絡み、トマ、レタ、マス、下バン。グズッとほぐれる柔らかなパティと柔らかなバンズの組み合わせは非常に食べやすく、スッーと入り込んでゆく感じ。終始オーロラソース(=ケチャップ+マヨネーズ)が全体をリードしており、これにレリッシュとマスタードが合わさって、酸味が強調された味になる。余韻もオーロラソースの味で、全体に柔和な印象。この食感を逆手に取ったメニューがブロッコリーチーズバーガー\1,292。ソフトな噛み応えの中、モントレージャックと合わせたブロッコリーのコリッとした食感に行き当たるという興味をソソる一品。次回はコレで。付け合せはシューストリングカットのフレンチフライ。
英文解説付きの図解「Authenticなハンバーガーの上手な食べ方(How To Eat Authentic Hamburger)」もマスターのパワポ作品。定休日なしの無休とのことなのだが、FH時代の4年半、ずっと封印してきたフジロックに今年こそは!ということで、フジロック期間中はお休み(の予定)です。イイ感じの食べ方は、ハートランドとハンバーガーでまず一杯やって、後はラム酒をチビリチビリ……ってホント酒飲みだよ、このマスター。
→ # ベストバーガーショップ'07
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― shop data ―
所在地: 東京都港区赤坂2-18-19 赤坂シャレー1F
東京メトロ千代田線 赤坂駅5a/b 出口より徒歩5分 地図
TEL: 03-3505-8584
オープン: 2006年11月18日
* 営業時間 *
平日: 11:00〜22:30(22:00LO)
ランチ: 11:00〜16:00
土日: 11:00〜20:00(19:30LO)
定休日: 不定休(要確認)
今日やっと行けたので、トラックバックさせて頂きました。
これからもオススメのハンバーガー店を紹介してください。宜しくお願いします。
コメントありがとうございます。
私も実は昨夜、行って来ました。2度目。
ブロッコリーチーズ、アレ、おいしいです!
ってのをまた記事にすべきでしょうか??
壁のタイルの色が記憶の中のと全く違っていたので、ショックのあまり直しておきました。青と言うよりもシアンでしたね。
と考えております!!
…なぁんて、
別に食べたことがあるワケでもなんでもないんですけど、ある種「イベント的」バーガーなんだろうなと思ってるので。なのでまぁキャラメル気分で……ではなく、「お祭り気分で」楽しめる人ならハッピービーチ……止まり木にはあのハリソン・フォード……って、すいません、いきなり飛ばし過ぎました。
そんなわけで>ttomatom 様、
コメントありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Authentic バーガー格闘編、ぜひアップして下さい……ソワソワして待っております。