いよいよ問題児の登場だ。これまで6店、今回の旅の成果を渾身の力を注いで←ウソ。真夏の体力の落ち切ったさ中、息も絶え絶えどーにか書き連ねてきたが、その間も「アンティーミーどうしよ……」と、コノ店をどう書くかということが常に頭から離れなかった。それくらい始終悩んでいたのである。悩んだ末、コノお店にはやはり真っ向から当たるのが正解ではないかと、今はそう心を決め、以下臨むことにした。
京阪石山坂本線の南滋賀と滋賀里の間。JR湖西線西大津でも良いのだが、そちらの方が少し歩く模様。ホントいい場所に在る。湖畔とまではゆかぬが、叡山の裾野が湖に向かって落ちてゆく傾斜の途中に在って、道を挟んだ向かいは緑鮮やかな田んぼ。
この一帯、古来稲作地帯として知られるが、近年は宅地化が進み、初め「田んぼの中に住宅」だったのが、一部逆転して「住宅の間に田んぼ」、それもエラク本気な水田が家と家の間を埋めるという、一風変わった光景が目にされる。
緑まばゆい水田を目の前に黄色いキッチンカーと、その上を囲うように納屋のような、或いは野菜直売所のような小屋が建っている。コレこそアンティーミーバーガー。この小屋、全部ご主人の手造り。農家である父上の畑の一角を借りて建てた。なので小屋の裏には大豆が植わっている。
元々正面全開な小屋なのだが、季節柄、二方の窓も開け放てば(残る一方は車)、こんな真夏の昼下がりでも水田を渡る涼し〜い風が小屋の中をすり抜けて気持ちイイ〜ったら! シリシリ鳴く蝉の声にキッチンカーから洩れるジュージュー鉄板の音……そうキャンプに来たような気分。小屋には大きなテーブルひとつ。相席で座ったお客さん同士自然と会話の始まる、実に和やいだスローな空気だ。
農家の息子であるご主人。独りで何かしてみたかったのが、6年ほど前、仕事でよく出ていた東京で「ハンバーガー」「移動販売車」という2つのキーワードを目にし、コレや! とついに「何か」を見つける。
'03年オープン。最初は車のみ。現在の小屋はお客さんの要望のまま、イートインの規模を大きくしていった結果という。火が点くまでに5年はかかると見ていたが、開業2年目の昨年辺りから一気に客が増え始め、今では開店2時間で売り切れること暫し。
本当はアメ車のもっと大きいのが良かったと言う車は、これまたご主人自ら黄色く塗ってなかなかの愛らしさ。キッチンカーと言えば戸頭のコチラも黄色。当初「イベント等に出張しやすいように」移動販売車を考えていたのに、常連のたくさん出来た今では、かえって「動きたくない」と。
この小さな車の中でバーガーを焼くワケだが、腰を屈めるぐらいでは収まらぬ狭さ。鉄板の真上は頭で擦れて、天井の塗装がすっかり剥げている。
さてここからがコノ店の本領。まずメニューが解りづらい。訊けば「わざとぱっと見て解りにくいメニューにしている」。
故に開業3週目から注文のある度30分、メニューについての説明を開始。さすがに去年の夏に封印したが、しかし補足説明必須の不便なメニューを敢えて使い続けるのは、特に「非ファストフードなハンバーガーは初めて」という人のため、その導入の良ききっかけとなれば……という作り手の熱い想いから来ていることなのであるが、しかし……説明封印されててよかった!!
私の場合、仕事終えた後、空腹も絶頂の、指先まで酸素が行き渡らないようなフラッフラな状態でお店に転がり込むことが多いので、バーガー食べるときは大概がアタマ空っぽ、放心状態なワケですよ。そんな状態で30分、何聴かされたって馬耳東風……。
てか、こんなに頭使わない食事もそう無いのですよ。ガバーッと素手で掴んで、大口開けてガブーッとゆけばイイんだから、何から順に食べよかな……なんて頭さえ使う必要無いのです。それを目一杯アタマでっかちにさしてから食べさせてどうすんの?
道具使わず口で直――というダイレクトな食べ方をするハンバーガーは、極めて感覚的な食べ物であると私は思っているので、30分の前説で頭ん中パンパンにさすよりは、お腹ペコペコで感覚が研ぎ澄まされてる方が、バーガー的味わい方としてより適当なように思う。
なので言葉無用! 封印して正解! ……と私は思っている。とは言え土地々々でいろいろと事情もあると思いますから、ま、その辺りいい塩梅に。
それでもお聴した話をまとめると、農家の息子である上、中央市場の八百屋で働いていた経歴と京都市内の居酒屋でチーフを務めていた経歴を持つご主人、素材に対する探究心は殊更に強い。
初めての客に最もシンプルなレギュラー¥500から食べるよう薦めるのも「美味しいごはんでつくるおにぎりのように、シンプルこそ一番」という信念に基づいてのこと。
そのレギュラー、アルミホイルに焼き芋状にくるまれて登場(今回の旅で2度目)。
バンズは唐崎のベーカリーに特注。意見を交わしながら理想のものを作っていった。表面何もナシ、ふっかりドーム型で気泡大きく、ややドライな食感。もう少しウェットな方が私は食べやすい。
中はケチャップ&マスタード、水分少な目・締まった味のピクルスは全体を繋ぐ絶妙なポジション。国産黒毛和牛使用のパティは、みじん切りのタマネギを少し混ぜ、食感に柔らかさを出している。その下に千切ったレタス、そして下バン――以上、ご主人が作りながらしてくれるトークの内容を基に。
確かにシンプルではあるが、これでゆくとケチャ&マスがやや勝ってしまうのと、トマトが居ないため水分が恋しくなるのとがやや難だが、このバンズとパティの感じなら牛乳かカフェラテが抜群に合いそうだ。
素材について食について、より精通した人であればこそシンプルに「素材で勝負!」というのはきっとやってみたいことだとは思うのだが、しかし世間は必ずしもそれを求めていないというのが、作る側と食べる側の意識の差。今のバーガーブーム、求められるのはアゴが外れそうなくらいビッグなアメリカンサイズであり、「パンと肉だけ」という様な、作り手として相当に想いを込めたであろうバーガーを仮に出したとしても、殆ど見向きもされないというのが現実だろう。
とは言えアメリカンサイズなバーガーが人気なのも一時の流れかも知れず、あるいは数年先、シンプルなバーガーが注目される時代が来るやも知れない。私は十分有り得ることと思う。そんな中、コノ店は今売れに売れている。そうした意味ではコノ店、時代を一歩先取りしているのかも知れない。
加えて現在「素材の大切さ」を心より唱える店自体、ことバーガーにおいて余り無い様に思うので、是非このまま一路邁進して行っていただけたらと、心より応援申し上げる次第にございます。但し……どんなにピンで素晴らしい食材であろうと、バンズの間に挟んで食べるのがハンバーガーの定義であり、また個々に優れたそれら素材をバランスよく順序よく積み上げることにより、相乗的な美味しさの生まれる食べ物こそがバーガーなので、ただ「素材勝負!」「余計な味は加えない」という一方向でのみ括るのには無理があると思う。積み上げたときのことについても、考えをひと通り巡らせておく必要はあるだろう。
あと一つ、真に美味しい素材なら言葉でなく舌で味わえるよう計らうべき。と言うのも「天然酵母」「国産黒毛和牛」と聞くだけで美味しく思えてしまうくらい、我々の思考はいい加減なものだからである。折角の美味しい素材が、そのものの味よりも言葉の響きで美味しく錯覚されるとしたなら、それはお店にとってもむしろ幸せなことではないだろう……って上記2語をNGワードにせよって意味じゃないですからね。
§ §
こんなにもムキになって返したのは、如何にご主人が本心で語りかけてきたかということの裏返しだろう。コノ店の魅力はお客さんとの心よりの付き合いと、よろず相談所のような懐の広さにもある。
この日も12時過ぎ、開店から僅か2時間でSOLD OUTになったのだが、その後も訪れるお客さんに「ごめんなさいね、また今度ね」と夫婦して一生懸命頭を下げる姿がいつまでも続いた。……こんな店ないよ。
食材持込み自由、そしてなんと! 飲み物持込み自由という型破りな業界の革命児。琵琶湖から寄せるのんびりスローな風を受けて、何ともスローライフな楽しみを満喫できる、至上のスローフード。
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― shop data ―
所在地: 滋賀県大津市見世1-11-21
京阪石山坂本線 南滋賀・滋賀里駅歩10分 地図
TEL: 080-3761-8480
URL: http://www.cable-net.ne.jp/user/uncle-mee/AMB.htm
オープン: 2003年8月1日
* 営業時間 *
月〜土: 11:30〜22:00
日曜日: 11:30〜18:00
定休日: 火曜日・水曜日(要確認)