はっきりしたテーマが一本あるとやはり強いやネ。「ノンノンの国の健康パンは ●ノンオイル・ノンバター ●保存料不使用の厳選素材 ●低塩分」「ノンノンの国のパンはこんな方におすすめ ●ダイエットに役立てたい ●血液をサラサラにしたい ●高脂血症・糖尿病の予防に」……言われてみれば確かに気になるキーワードをふんだんに配した、秀逸なコピー。事実私もそれイイね、イイね……とすっかりその気に。だって、食べ続けると血液がサラサラになるパンがもしあったとしたら……やっぱりイイよネェ〜!
一見童話チックなお店の名前には実は駄洒落が入っているワケだが、しかし誓ってオイルとバターは入っていないという健康パンショップ。おいしくヘルシーな家庭料理を提唱する健康料理創作家・茨木くみ子先生は港区三田にキッチンスタジオを構え、健康パンを通販し、そして自由が丘にこのキッチンカーの直販店を出している……堅固だ。
南口の改札を出て……おーっと! 探す楽しみ無くすぐ視界に飛び込んでくる赤いキッチンカー。'03年6月オープンというから今年で3年目。こんなトコに在ったっけ……我が心の白地図にまた色が着いた。すぐそこがお馴染みの緑道なので、座る場所には事欠かない。ただこれからの時期(雨期)は売る側も買う側もややツライでしょうが。ボディにメニューと効能書きが大書――確かにサイトでも良いこと言ってんだよネ……「少しの小麦をイーストフードで無理矢理膨らませ、嘘の香りで誤魔化し、添加物の力で作り上げたパン・・・それを美味しいと思う日本人の味覚を不安に思う毎日です」……大量消費・冷凍食品な味覚にすっかり慣らされた我々生半な現代人にとっては、まさに耳の痛いお言葉。
お値段お手頃、チーズバーガー¥300、トッピングトマトは+¥50。チリソースも+¥50。パックには丸いほっぺのノンノンキャラ。打ち粉たっぷり、北海道の地粉を使用したバンズはもちろん裏ノンバター、ノンマヨネーズ。イーストフードなど使わないと謳うだけあり皮硬め、ふわふわせずしっかりした作りで、コレが小麦本来の味なのか、噛むと砂糖とは別種の淡い甘味がしみ出してくる。白いチーズ、マスタード、ケチャップ、ピクルス、白いオニオン、パティ、その下にトマト、下バン。ご想像のとおり、至極あーっさりした味である。
低カロリー、低塩分――こうなるとパティの味よりバンズの甘味、ケチャップよりもマスタードがよく利いてくる。ピクルスは水分少なめ、はっきりした噛み応えとスウィートな味を持ち、印象的。噛み応えと言えば、大きく刻んだ白いタマネギもこれまた甘くて美味しい。白いチーズはパティの熱に溶けてもっちりした食感。家庭で作るハンバーグと同じレシピのパティも、されどナツメグをブンブン効かせているワケでなし、軽い風味で食べやすく出来ている。
細かーい胡椒がササと振られているようなのだけど、素材それぞれの特長を大きく変えてしまうものではない。香辛料の過激な用い方が無い反面、締めのお塩のキュッ! も無いので、ふわふわ〜っと甘く軽〜く漂い流れてしまいそうな辺りが少し頼りないけれど、お店のイメージを裏切らないナチュラル&ヘルシーなバーガー。なるほど……自由が丘の食の志向ってある種こういう感じかも知れない。そうそ、自由が丘らしく? バナナカスタードバーガーとあんこカスタードバーガーの2品のスウィートバーガーがある……って、ノンパティはバーガーじゃないんだけどサ。
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まぁ大量消費・冷凍食品な味覚にすっかり慣らされた我々生半な現代人は、反動でスゴク塩っカラ〜イものを食べたい衝動に駆られるやも知れない。しかしそれじゃあまるで逆効果。飲み物も着色料&香料バリバリのコーラや何やは避けて、オーガニックなコーヒーや紅茶と合わせることが出来たら尚良しでしょう(そんな店、近くに在ったかな)。にしてもこんなヘルシーなパンを擁して、またよりによってハンバーガーなどという、ときに不健康の"権化"とも目される食べ物をわざわざ作ろうってこと自体、いきなり&思いっきり敵の首領に攻めかかってる感じで、考え様によっては"スゴイ"です。だってわざわざバーガーに限らなくたって、的を広めに「サンドイッチのお店」としといても良かったワケじゃない?
一方で「街角でハンバーガーを売る」というのは、バーガー本来のあるべき姿として、ひとつの理想形のようにも思えるので――端で見てるとなんか楽しそうなんだよネ、売る姿がサ。しかもその街角が自由が丘だなんて、まさしく絵に描いたような! ――チャレンジャー精神半分/夢半分をミックスしたお店です。
もともとファーストフードのスローフード化をしたくて、わが子を連れて入れる安心なファーストフード店がほしくて、ここまできてしまいました。
世界の中でたぶん、小麦粉から作ったパンで作ったハンバーガーショップはないことでしょう。作り手の顔が見える安心なお店が『ノンノン』です。
なかなか何屋かわかりにくいお店なのですか、採算度外視のお店であることは確かです。
茨木くみ子
いやぁ、びっくり!
まさかご本人からコメントいただけるなんて、本当にありがとうございます!
私が訪ねたときはカスガさんという女性が作っておられて、照れながら料理教室の話などお聞きした記憶があります。
健康食とバーガーというのは「相反するもの」というのがこれまでのイメージだったと思うのですが、それを一つに合わせてしまったという試みが非常にユニークで、また大手にはなかなか(本気では)取り組めないだろう部分と思っていますので、そうした意味でも「ほほぉ〜」と興味深く感じました次第です。
これから季節が良くなりますね。しばらくはノンノン日和が続くのではないでしょうか。
力強く、自信に満ちたお言葉を頂き、心より嬉しく思います。ありがとうございました。