2006年02月21日

# 113 DEMODE DINER [福生]


[福生]

 23区以外の東京のことをよく東京「都下」と呼ぶ。この理屈でゆくと八丈島や沖ノ鳥島も皆「都下」になるわけだが、以下の説明における「都下」とは東京西部・多摩地域の市町村のこと。我が周辺でリサーチしてみたところ、都下の地理や自治体の位置関係に明るい人はほぼ居らず、さらに横田基地が何処にあるのか、正しくその所在地を把握出来ている人はまるで居なかった。実は私もその一人……。

 調べてみた。さすが現役の基地だけあり、横田基地については資料も多い。とりわけ詳しいサイト(多謝)から得た情報をまとめると、


◆1940年、旧日本陸軍立川飛行場の付属飛行場として開設され、多摩飛行場と呼ばれた。当時地元では福生飛行場と呼ばれていた。

◆1945年9月4日、米軍占領。横田という名称は当時飛行場の東(現武蔵村山市)にあった小さな村の名前に因んで付けられた。

福生・立川・昭島・武蔵村山・羽村の5市と瑞穂町の1町にまたがる。本州最大の米空軍基地(つまり沖縄が国内最大)。3,353mの滑走路1本を有す。

◆在日米軍司令部、第5空軍司令部、第374空輸団司令部の3司令部が置かれる極東における主要基地。極東地域全体の輸送中継ハブ基地(兵站基地)としての機能を有している。戦闘部隊はいない(……と聞いて攻め込まないよーに)。

◆基地総面積:約713万6,413平方メートル
……狛江市より大きい(6,390,000u)。但し狛江は都内の市では最も小さく、全国でも蕨市、鳩ヶ谷市(ともに埼玉県)に次ぐ3番目に小さい市である。とは言え基地をすべて宅地化すれば、ざっと7万人は住める計算になるので(狛江市の人口から算出)、全く軽視出来ない面積である。ところがその7万の住宅地に居住する現在の人口は……↓

◆横田基地の人口:約11,000人 ――悠々!


 というワケで横田基地第2ゲート前にある"門前町"福生。戦後の歴史を米軍基地とともに今なお歩むコノ街は、基地に面した国道16号沿いを中心に、輸入雑貨屋、ミリタリールックなどの古着屋、古家具屋(あと自転車屋が多かった)、そしてアメリカンなダイナー/レストランなどがチョイチョイと連なって、かなりコアな異文化体験をすることが出来る。その特有な空気に惹かれ集まったアーティストも多い。忌野清志郎もその一人であることは恥ずかしながら今回初めて知ったが、しかし兎にも角にも福生と言えば大滝詠一作品ちょとしか聴いたことないけど、でも尊敬する大滝詠一福生の何処かにスタジオ持ってる大滝詠一……と想像するだけでウズウズ・ワクワク行ってみたくなる福生……となりゃあ行動有るのみ! さぁ〜、福生行きの切符買って

§ § §

DEMODE DINER



 とは言え、行くは遥か福生――なので今回は"都下"八王子在住の友人GIのクルマで現地入り。ネットを検索していると、バイク乗りの集会場ないしは中継地的存在として謳われることの多い店。確かにこの日もハーレーで乗り付けた不良中年グループが和気藹々、楽しくお茶した後、ドゥ、ドゥ、ドゥ、ドゥ……と店内にも響くエンジン音(と言うか地響き)を残してヘイヘイ去って行く姿が見受けられた。

 16号を挟み、目の前が横田基地。ファサードのほぼ全面に及ぶ、機能的なサッシの折れ戸がまず目に入る。店外に積み上げた石壁、グレイに塗った内壁、床は黒と赤茶のチェック(CLUB HARIEみたいな色使い)。少し黄ばんだ感じの天井からは円筒形・3灯のモダンなペンダントが下がり、アンティークな家電・玩具・無線機などの類が壁に飾られている。

 わりと整然とテーブルが配されたモダンなセンスのダイナー。バイク乗りの……というところからもう少し荒くたいものを思っていたのだが、イメージするほどワルでワイルドな造りではない。天井に埋まるBOZEが意外なほどの良い音でブライアン・セッツァー・オーケストラをジンジン鳴らしまくっていて、もぉ〜ゴッキゲーン!

 経営はアノ紅虎餃子房の際(キワ)コーポレーション。福生の街には紅虎こそ無いけれど、DEMODE DINERはじめグループ店が多数点在。'99年に目黒に移転するまでの7年間、本社はココ福生にあったというから、福生とはきっと浅からぬ関係にあるのだろうが、沿革ではそこまでのことは触れられていない(一体どういう関係が……)。

 そんな有力外食企業の経営ゆえ、DEMODEと名の付く店は渋谷・札幌・京都・深川・相模原……不意を突くように全国各地に在る。'98年オープンの福生店こそきっとその発祥だろう。バーガー8品。B.L.Tプラスチーズのチーズバーガーダブル¥1,050を。お供はアイスマンゴーティー¥530。

 パティは注文が入るたび捏ねているらしい。待ってましたとばかりキッチンから音が聞こえてくる。やがて運ばれて来たのは……オヒョ〜! 紛れもなく当企画最高峰のその上背に、思わず拍手手拍子……。これでビック! ビック! ダイナーのタワーハンバーガー¥2,950(3〜4人前)ともなれば一体どうなることやら……。

 白ゴマの少量乗ったフカ系バンズのてっぺんには串が2本刺さっており、「MOS's-C」の再来。単に見た目だけのことかと思っていたが、そうではなく、これだけ高く積まれたバーガー、2本使わないと到底安定しないのである。

 もしコノ迫力に臆することなく、果敢にカブり付こうと思うなら、この2本の串を決して抜いてはいけない。一度串の抜かれたバーガーは、どう工夫したって串抜きには再び一列縦隊に復することはないのである。パックは供されないので、串を刺したまま素手でゆくか、道具を使うか、二択になる。しかし串を刺したまま食べたとて、そのうち挟んである順番などどうでもよくなるくらいグヂャグヂャになってしまうので、最終局面における道具による収拾は不可避。

 中身は濃厚なるハンバーグソース1、チェダーチーズ1、ベーコン1×2枚、分厚いトマト1、パティ1、またハンバーグソース2、チーズ2、ベーコン2×2枚、パティ2、トマト2、レタス1枚、そして下バン。

 熟したトマトはホットになって乙な美味しさベーコンも至極適当な食感と塩味。レタスは少量で影が薄い。そしてパティ――ベースの真ん前という立地から、ワイルドで大味なアメリカンテイストを想像していたら左にあらず、これは良質なハンバーグである。ぎっしりギュッと身の詰まった食感で、ふわふわっとしたモノとはまた違う重量級の美味しさ。刻んだオニオンの入った濃い目のソースは、あたかも台風の目が如く食材一同をご覧のとおりのドロドロ大洪水の渦中に巻き込む。

 このバーガー、バーガーと言うよりハンバーグを食べている感じ純粋にハンバーグとして美味しいので、シューチレス(無羞恥)にもカッと大口開いてドロドロに手を汚してまでハンバーガーとして食べる必然も無いと思った。自然体で楽しみたい。付け合せはピクルス×2、ドレッシングのかかったレタス、フレンチフライ。

§ §

 さて……友人と話し込むうち外はすっかり暮れて、夕陽に映える"YOKOTA MIDDLE SCOOL"の校舎の後ろから、白い月が昇っていた。おおっ……これぞまさしくナイアガラムーン!

2006.2.21 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 13:33| Comment(2) | TrackBack(0) | 東京編◆西部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ふと、このブログに立ち寄りました。参考になります。突然ですが、中央大学の中の学食にあるトムボーイというハンバーガー屋をご存知でしょうか。実はなかなかお勧めなんです。今年に入り30円ほど値上がりしたんですが、セットで250円から。とにかく安い。その割に食べれる。個人的にはポテトが好きです。一般人も利用可能ですから、ぜひいらしてみては。中大OBです。
Posted by のりお  at 2006年03月13日 02:26
>のりお様、コメントありがとうございます!

いやー、こういうの大好き!
皿の上でお高くとまったバーガーより、何て言うんでしょう…こういう「地に足の着いた」バーガー?普段の生活にヨリ密接しているバーガーの方が私は興味を覚えますネ、実のところ。1,000円超える豪奢なバーガーから、食べ盛りの学生たちの空腹を満たしてくれる誠実なバーガーまで、どちらも見渡せる立ち位置に立って居たいものです。

そんな中でのりお様の情報は貴重!多謝!!ちょうど中大を下った辺りに友人が住んでいるので、連れ立って行ってみることにしますよ。
Posted by 2年後カフェ計画 at 2006年03月13日 23:09

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