横浜・本牧を拠点に、60年代よりPOWER HOUSE('68〜70)、POWER HOUSE BLUES BAND('71〜)、CHIBO & The Bayside Street Band('80〜) 、2004年からはTHE MOJOS'を率い、実に40年にも亘り活動を続ける本牧のロッカー/ブルース・ミュージシャン、CHIBO氏の店。本牧ロック化計画を目論む氏の店の、入口に輝く赤いネオン管の下をくぐると、入ってすぐ左手に黒い扉がある――この扉の向こうは「BOOGIE STUDIO」というリハーサルスタジオになっており――つまり店とスタジオは扉一枚でつながっているのだが――ココを"ホーム"に目下旭日の勢いで音速稼動する横浜本牧が生んだ東洋一のサウンドマシーンと言えば――そう、クレイジーケンバンドである。
横山剣にとってCHIBOは「師匠とも言うべき人」であるという(一度読んでミテ)。全国的な人気を博す以前からCKBに相当入れ込んでいた友人が、私の周りには(少なくとも)二人いた。ブレイク前のローカルバンドの名を、友人は懸命に教えてくれたのだが、しかし私は聴く耳なく……誰ソレ?
ところがある年の12月、"例の曲"の大ヒットを足がかりにバンドは一躍メジャーに踊り出、以後その地位を揺るぎないものにしていった。それこそ"アッ"という間の出来事である。元々が相当な実力者だったのだから、当然と言えば当然の結果だろうが。さて事ココに及んで私はと言えば……今さらながらに長者町のライヴを間近で観られたら……などと思ったりしているのだが……ソレって甘チャン?
そんなワケでCKBのファンにとって、この店およびこのスタジオはある種「聖地」のような、ないしは合言葉のような存在であっておかしくないのだが、しかしソレ目当てのお客さんの数というのは全体比で見ればさほどでもないらしい。外人サンは多い。本牧通りを挟んですぐそこが接収地だったのだが、オープンから18年or20年弱……という話なので、ソノ時代にはまだコノ店は無かったろう。そのオープン来の歴史が滲み込む黄ばんだ壁、ヒョウ柄のくたびれたソファ。一見汚〜く思えるも案外と居心地が好い。カウンターを中心にした狭い店内は床は白黒チェッカーズ模様、壁の下半分はお決まりのように薄緑に塗られ、天井四隅にはサイコロ状のスピーカーAURATONE 5Cが配されて、60's辺のロックンロールを鳴らしている。
チーズバーガー¥700、ブレンドコーヒー¥400。上バンをはずし、トマトとレタスを外にやったオープンフェイス。スウィートレリッシュがシュレッドオニオンの上にちょんと乗り、下はケチャップ、マスタード、どこかにマヨネーズ、チーズ、パティ、下バン。クシュッとつぶれたバンズ。皮が薄くライトな感覚。密集する白ゴマが軽く焼けて、香ばしいアクセント。パリパリのレタスと直径の大きな甘〜いトマトは実に新鮮。良いものを使っている。細長く切ったシュレッドオニオンは中華で言うなら白ネギ風、シャキとした歯応えでこれまた良いアクセント。これら野菜に比べるとパティはやや少量だが、質感が良く、甘目の味でバーガー全体を下支えしている。ウェンディーズ系、マヨ&ケチャで味のしっかり整った甘めバーガー。バンズも心地好く甘め。迫力や質量を求めるとやや物足りないかも知れないが、でもほんわり甘く、実にライトで、口にするとフワーッとした食感に満たされる。付け合せはポテチ――舶来モンだったネ。
そんな次第で特にCKBなど関係ナシに、何だか良さそうな店があるナ……とフラと入ってみて、何だかとってもイイ時間が過ごせましたっ! ――って利用の仕方が好ましいお店。何てぇか……革ジャンにサングラス、上から下まで黒ツヤ消しのコワモテロッカーどもは、見た目イカツクて近寄り難い感じがするけど、話してみたら優しくて、ちょっとシャイなところのある、とってもイイ人たちでした……って感じのお店かな? 本牧の店は概して態度に余裕のある、温かいサービスのところが多いように思う。何だかリラックスした気分になれるRETRO FUTURE GARAGE TOWN.
2006.1.30 Y.M