しまった……! 100店目前の秒読み体勢に入り、残り3店はココとココとココ……と、全部決めていたのである。ところが……
配達記録付きの郵便物を管轄の座間郵便局まで取りに行くことになり、無事その用を遂げた後、さてもうちょっと足を延ばして小田急電鉄相武台前駅でも撮りに行きますか……と純粋に「駅写」的興味から、未だ降りたことのない駅へと自転車を走らせた。まだ昼食をとっていなかったし、折からの小雨が少し強くなってきたところでもあったので、撮影を終えたらファミレスでもどこでも目に付いた店に入ってゆっくり休もうと思っていた。やがて目的地・相武台の駅前と思われる街に入った。と……、目に飛び込んで来たオレンジ色の看板には「Sasebo Burgers」とある……ん? サセボ? ……えっ、佐世保!? 残り3店の綿密なる計画のことが一瞬頭を過ぎったが、しかし相武台前なんて滅多に行く場所では無い。店を目の前に引き返す手も無い。これを機に行っておかねば二度手間……と計画の変更を決定、昼食はココで。
西口駅前、降りてすぐ。変わった造りで、建物1階・長方形の店舗面積の一角にタバコ屋があって、その部分だけお店の面積としてはしっかり欠けている。つい最近までハンコ屋さんだったところで、店を閉めた後すぐの今年9月初旬にオープン。なかなかに狭く、席数は14ほど。カウンターの前に立つと内部をすべて見渡せてしまうキッチンは最近オープンした割に新しくないので、きっと中古で買い揃えたのだろう。体を入れ替えてどうにか作業できるほどの細ーくて狭ーいキッチンで、かつホールとの間に壁も仕切りも何も無いので、これではスタッフは逃げも隠れも出来ないわなぁ。ちょとカワイソ……。壁の所々にサインボードなど貼ってあるが、全体としては殺風景。逆にこの狭さといい、安い造りといい、かつタバコ屋の存在も手伝って駄菓子屋テイストでイイ感じ。小学生の女の子3人が宿題している姿がまさにぴったりハマる、これこそが佐世保テイスト。
ベーコンエッグバーガー¥360に+50円でチーズ。紙に包まれて登場。なので開けるとベチャ〜っとケチャップやらマヨネーズやらが内側に付いていて、いかにも佐世保的。コノ熱さとゴチャマンとした感じも佐世保的。表面何もないバンズ、裏マスタード、レタス、エッグ、マヨネーズ、オニオン、トマト、ベーコン、チーズ、ケチャップ、パティ、下バンズ。黒胡椒がかかる。伊藤パンのバンズはふんにゃりと柔らか過ぎて芯がない。ちょっと力入れて持てばそのまま千切れてしまいそうなバンズだ。パティの持つ塩味が余計なのか、佐世保バーガーという意味では甘味に欠ける。パティは中が薄赤く良い焼き加減だが、しかし表面のコリコリしたコゲの感じは……やっぱりハンバーグだなぁ。本場に比べ、全体にも一つ締まりが無い……かな? でもこの価格設定と駄菓子屋的店の雰囲気に免じて(?)良しとしますか。「『らりるれろ』系の手作りバーガーです」とあるのだが、それは中野の「ZATS BURGER CAFE」が佐世保の「LOG KIT」から指導と材料の提供を受けている――というのと、同じような関係にあるということなのだろうか。その辺訊いてみたかったのだが、割りと絶え間なく客が来るものだから、結局チャンスを得られなかった。確かに「らりるれろ」もこんな方向性ではあったかな? ちなみに「アンクルサム」という店……そう言えば佐世保の街を歩いていて確かに前を通りがかった"ような"気がする。が、佐世保の方は居酒屋、相武台のコノ店との関係は不明。"見せ方"にしろ"名乗り方"にしろ、端々に何かこう、もう一つずつ思慮の足りないようなところが見え隠れするのは大変気になる("系"はどうかな)。しかしまぁ「始めて2ヶ月」と言えばそろそろ問題が浮き彫りになってくる頃でしょうから、その辺の見直しも含めて今後に期待いたしますか!
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さて店から300mも行けば、そこは外国=キャンプ座間なのである。確かに駅前には米国人の姿が少なくない。駅からベースまでの途中にある店ということで、米兵とそのファミリーたちを意識している部分もきっとあるだろう。と言うかコノ立地、それ以外の理由は考えられない。あるいは「基地編」に加えても良かったのだが、しかし「基地編」は米軍からハンバーガーの作り方を教わった跡や、米国文化が周辺地域へ及ぼした影響の様子などを窺う企画であって、キャンプ座間の入口に佐世保バーガーを輸入してきたような状況ではコノ場合、むしろ話は逆である。また佐世保の○○の支店――ということなら当然「佐世保編」も考えたが、どちらでもなかったので結局「地方編」と。
2005.10.29 Y.M