何でも集グループというのがあって、都内要所に現在15店ほど店を出している。確か銀座で見かけたかな? 「炭火BAR 集」「炭火Restaurant&Bar 集」「Dining Cafe SHU」「Grill Wine 集」あとピッツェリアがあるのだが、このラインナップに今夏新たに加わったのが「バール集」。
「南欧バ−ルさながらのカジュアル空間で楽しむ絶品の釜焼きピッツァと小皿料理タパスをワインと共に」てぇことで、店のテーマは「南欧」←しかし感慨深いものがあるネ! ついに南欧料理の店でもバーガー置くようになったかと!
「南欧」と言いつつ、ほの暗い黄色い照明の店内は国籍不詳のインテリア。臙脂のビニール皮の椅子に合板・金属フレームの机の組み合わせは町の食堂風。
ホールの周りにはぐるりガラス戸を廻らし、動線および厨房との隔てとなっているのだが、その木製の戸には波状の模様の入った型板ガラスがはまっていて、昭和40年代的レトロを感じさせる――昔はこういうガラスがよくあった(今は生産中止が殆どとか)。このガラス戸と格子が"日本風"。
店奥の梁が椅子と同じ臙脂色、その奥の壁は薄緑に塗られ、化粧室への細い通路にはなぜか赤いランプが2つ――コノ辺りが何だか香港のようでもあり台湾のようでもあり、しかし流れるBGMは「南欧」「釜焼きピッツァ」に合わせ、ジプシーキング"風"(←あんま聴いたことなくて)であったり、フラメンコであったり、その辺りでよく解からなくなってくるのだが、この店の空間設計、個人的にはワクワクするものがある。季節柄、オモテ全開。
さすが渋谷、ちょっと放っとくと途端に周囲を諸国語が飛び交う。着席するとまずグリッシーニが(お通しか)。周囲のテーブルからニンニクの匂い、チーズの匂いがプンプンと美味しそー! な中、グリルハンバーガー¥980。付け合せはキャベツの酢漬けにポテチ。お供は「ここでしか飲めない気楽なJugスタイル!」ということで本当に初めて口にするレッドワインジャグ¥530なるを。
バンズはカイザーロール"風"……だとドイツか。とにかくコレ、バンズじゃないなぁー。口にすると、なるほどイタリアのパンらしい、モチッとした高密度食感。下にゆで卵(半分)、ケチャップ、"紛れもないハンバーグ"、サラミ? 、緑濃いレタス(ルッコラ?)、下バンズ。パティは"紛れもないハンバーグ"。しかもしっかり硬めの焼き加減。
バーガー口にした最初の味覚が「ナツメグ」だった。ナツメグと塩のキツイ味にケチャップ、これが全体の味の構成。サラミ? は特に印象ナシ。串を軸線に構成されるヒョロ高いバーガーの容姿に、ふとココを思い出した。郷に入らばで、美味しそうな小皿料理やマルゲリータを頼んでおくのがやはり賢明かつ人情だろう。
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悩んだ挙句、"非バーガー"とした。1. 上下がバンズであるか、2. 肉がハンバーグでなくパティであれば――と思うのだが、片方違うだけでも合格ラインから遠ざかるのに、両方違うものの代用だったので、違うと。
しかし「ガスト」の回でも触れたように、どこの店もバンズさえ何とかすれば、厨房にある食材を集めてどうにかバーガーのカッコを作ることが出来るのである。実は。たとえそれが本格的でなくても。
さあそこで――本格的なモノは出せないにせよ、それでも「メニューにバーガーを載せたい」と世の店の多くが考えるようになったってコトはつまり、それはやはりバーガーブームは来ているということの何よりの証であると、私はそう思うのである――来テマス! 来テマス!
しかし何だネ、ブームの伝播に連れ、コノ「番外編」の厄介になるバーガーも増えようってモンだ。イナセだねぇ……(って意味違う)。