2005年08月29日

# 086 イート・ラン [十条]




 2005年8月24日、全国で(←正確にはウソ)イタリアンレストランをチェーン展開している株式会社サイゼリヤ(本社:埼玉県吉川市)は、新業態であるファストフードに参入。その第1号店を東京都北区十条にオープン――。

 ナゼ十条? 商店街の盛んな所とは聞いていたが(未踏之地)、北口出てすぐ、十条銀座なるアーケード街に真新しいお店を発見。構えや造りは既存のファストフード店と変わりなく、上にアーケードの架かる利点を活かして入口全開。左右壁&窓面にカウンター席が十数席ほどあって、突き当たりにレジ。その奥がキッチン。さらにキッチンの奥には第一パンの緑色のパン箱が積み重ねられている。雰囲気よりも明るさとくつろぎやすさを求めた店内。椅子も一応ソフトな合皮張りで、ちょっぴりコンフォータブル。BGM――ジャズヴォーカルなのだが、どこかサイゼリヤのカンツォーネを連想させる滔々とした調べ。

 「サイゼリヤ農場は福島県白河市郊外に位置し、100万坪の敷地内で、店舗で使用するレタス等の栽培を行い、また、自ら土壌の研究や種や苗の開発にも取り組んでいます。そして、同農場で採れた新鮮な野菜を新鮮なままで運ぶために、「コールドチェーンシステム」を取り入れ、畑からお店のテーブルにのるまで、その鮮度と品質を保つことを実現しました 」いやーそんな真摯な取り組みの店とは知らなかったよ。失礼しました! サイゼリヤと言えば、かつて店員から極めて不快な思いをさせられたことがあり、それ以来滅多に足の向かなくなった店である――たとえどんなに安くとも。う〜ん、真摯な取り組みも接客ひとつでパーというワケですナ。おい>アン時の店員! 謝れよ! 自分の会社によ!

 「ハンバーガー・タコスに合う野菜を、種の開発、農場の開墾から。ハンバーガーにぴったり、と思えるようになるのに丸5年」「安心できる牛肉を求めてオーストラリアに。自分たちの工場を設立し、パテができるまで丸3年」――この辺の言い回しには「仙太郎」に通じるものを感じる。野菜の件については真にその通り。採りたて野菜バーガー¥200は表面白ゴマ、甘味のある第一パン製バンズに中身は薄いマスタード、サウザンドレッシング、新鮮レタス、トマト、薄いパティ、下バンズ――が立派過ぎるバーガーパックに包(くる)まって出て来る。

 サイゼリヤ5号という品種を独自開発し、肥料も専用の指定肥料サイゼリヤヘルシーレタスを使っているというレタスは、去年不作で泣いた人々が見れば、もぉ〜羨望のヨダレが止め処無く滝の如く……というくらい贅沢に、ふんだんに挟み込んである――コノ値段にして。酸味の心地好いトマトとひとつになれば向かうところ敵なし! 野菜の美味しさは折り紙つき!

 一方でパティは挽肉と言うより安い肩ロースでもしがんでる感じで、バーガーと称しながらこのバーガーの力点は、どうも牛肉には置かれていない。あとはサイゼリヤドレッシング(サウザン風特製ドレ)。コレ一発の味で味付けが決まってしまっているところがあり、その点は残念(「ロッテリアプラス」みたい)。

 さらにイート・ランチーズバーガー¥150を。こちらは普通の包み紙。バンズの間にマスタード、ケチャップ、刻みオニオン(いや、ピクルスも刻まれていたかも)、チーズ1号、パティ、チーズ2号、下バンズ。チーズがパティの上下に2枚、45度にズラして挟まっている。標準装備でダブルとは、なかなかに心得ている。ケチャのだるい甘味と、妙に粘ってはっきりしないチーズの食感が特徴。ややモッチャリ。

 設立昭和48年5月、例によって70年代前半の開業で最近まで何してたんだろ? って印象だが、'04年8月現在717店。「まずは、地域の皆様に親しまれ、繰り返しご来店頂く店舗を目標としております。今回の出店は、本格的チェーン展開に向けての未だ実験的な位置づけにあり、商品内容や店舗運営につきましては、お客様の反応に応じて今後改善してまいります」とのことなので、ま、ひとつ長い目で見てゆきましょう。

§ §

 してコノお店、やはり「ロッテリアプラス」と同様な感想を持った。素材は優れている。雰囲気も良い。なのにバーガーは1個200円までに収まる。私の思ったことはこうである――素材を活かしてもっと美味しいバーガーを食べられるチャンスがある。しかし「いくらまで価格を下げられるか」というベクトルだけで商品開発の判断をしていたのでは、折角のチャンスと"需要"の芽も活かされずに終わるだろう。だから「いくらまでなら払うか」という方向に発想を変える必要がある。

 変なコストの削り方は結局安い評価にしか転ばないと思う。内容が伴っていれば私はむしろもう少し高いバーガーに手を出したい。しかも基本のバーガーは"M"など軽く一蹴する内容である。ならば少し高いバーガーだって味は確かな筈……ちょっとだけ経済学入ってマス? そうね……要はもう少しお金出すから、もう少しちゃんとしたの作ってくれる? って感じかな。

 ちなみに店名はウサギが人参くわえて畑の中を走る姿をイメージしてとのこと。ピーターラビットの世界ですな。

# 写真提供した清野とおる著『ゴハンスキー 1』、10月9日発売


2005.8.29 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 21:48 | TrackBack(0) | ファミレス・外食編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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