横浜市中区海岸通1-1。大さん橋の入口、開港広場前。真っ直ぐ走る海岸通りがちょっとだけクイッと折れ曲がるココのカーブは、異国的な港町の情緒をとりわけ強く漂わす一角。その異国情緒の発散元たる古いビルヂングの並び――当"隧"道を始めて以来、ずっとコノ並びにバーガーの気配を感じ続けていたのだが、よりによって横浜国際花火大会の当夜、つい近寄り過ぎてそのまま中に吸い込まれてしまった。
外は今さらながらにベストポジションを確保しようと躍起の見物客の右往左往、車道は歩行者天国になり、ドンパン打ち上がる花火の轟音をすぐ目と鼻の先に聞きながら、花火客諸氏よりずいぶんお先にお店入り、我独り貸し切り状態にての快感、この上なし。神奈川県警交通課の大さん橋入場規制の案内、喧しく。
今宵はたださえ暑い上、ココは海際、蒸し蒸しと湿気一層高く暑さ更なる中、入るとナチュラルタッチなジャズヴォーカルが響き渡る涼しげな店内、内装は例によっての60'sアメリカン×2! ――しかし多少ワザとらしかろうともココはみなと横浜、コノ街なら全て許せてしまう空気……。
高い天井から強目のスポット光、床の白黒模様は壁まで及び、軽い平面的錯覚を呼び起こす。クーラーボックスまで白黒! お約束のピンボールに、黄色いバイクは何処社製か、青い塗装のペプシの自販機上に西洋人形と見えしは……ん? アミダラ?!
昭和8年建築のジャパンエクスプレスビルディング1F、中央階段を挟んだ両翼に、それぞれ"EAST" "WEST"と称してこのカフェバーが入ったのは8年ほど前とか。2Fはビリヤード……う〜ん、波止場のちょっとキザでワルな気分に満ちている。
ハンバーガー・レギュラー(ビーフ100% 200g)¥1,470。ココはバンズが命! オーブンで焼き上げた大〜きな大〜きなパンの一部を切り出して使っている。何分の一だろ? 八分の一くらい? なので正円でも楕円でもなく、弧を描くのは一辺だけ、残り二辺は見てのとおりの直線。置きざらしにされたパンの姿がまた美味しそう。ザラッとした表面にはゴマもケシもなし、ややフォカッチャ寄りの素朴でホクホクした味わい。裏面バターと合わさったお味が何とも美味!
中身はピクルス×2、トマト×2、辛い生オニオン、サニーレタス、パティ。ココでひとつ粗相……モツァレラチーズのトッピングをお願いしたのに入っておらず……まぁ良しとしますか。
ピクルスを刻んだマヨソースが小鉢に。ケチャップはHEINZ、マスタードはCrystalのスパイシーブラウン……コレ、ソーセージなんかに使うタイプで、正直バーガーには向かない。パティはマヨソースの味と融合すると白身魚を食べてるのでは……というくらいあっさり淡白、上下を挟むぶかぶかバンズの大きさと迫力に圧倒されて、200gという量の割りには目立ってこない。バーガーというよりはバンズを頬張っている感覚。この手作りパンなら、生ハムなどを挟んだサンドウィッチを食べてみたい。
§ §
付け合せはフレンチフライ。直に海こそ見えないものの、国際港の賑わしい"音"と空気を肌で感じられるロケーションが魅力。隣の隣がハマの名店スカンディヤ。
2005.7.24 Y.M