天王洲エールという地ビールで有名なお店。「50年前にできた倉庫の建物はそのままに、醸造設備をもったブルワリーレストラン」に改装して'97年オープン。入口に大きなビールのタンクが何槽もあり「運が良ければビールの仕込みが見られる」。天井(と言うか屋根)高14mは確かに高いがヨコの"幅"については、タテ長な倉庫のほんの一部を壁で仕切って使っている感で、まだ奥あるんじゃな〜い?と妙な閉塞感にとらわれる……のは多分、私だけ。でも厨房巨大、働くスタッフも多数。運河に面したデッキは特にこの時期、どう考えても気持ち良さそうなのだが、禁煙席をオーダーしたら屋内の席に。比較的最近改装し直したものか、テーブルもソファもまだ真新しい。"倉庫跡"という言葉からイメージされる簡易的なあるいは特設的な風は一切なく、店内外ともトータルなデザインコンセプトに貫かれて「都市的な水際の」「カジュアルな」おとなの空間を見事に演出し切っている。客層はもちろんカップルあり、女のコばかりでお誕生日の集いあり、男8人多国籍な一群あり、赤ちゃん連れあり、更には国際結婚の赤ちゃん連れ何組もあり――「平和」と「豊かさ」を実感できる土曜の昼下がり――
ココの英国人シェフがかつて手がけた店――ということでマーク(店名自体は前の仕事の関係でよく知っていたが)。"ネオ・アメリカン料理"とか"カリフォルニア・キュイジーヌ"とか、そのような呼び方でその料理を表現しているが、要はその通り、近年台頭著しいアメリカンダイナーなお店のひとつとして、方向性はココやココやココなどと近いのだろうと思う。
ハンバーガーはランチのみ、しかも平日の登場機会は不定期、確実なのは土日のブランチだが、週末は貸し切りパーティーやウエディングの入ることがあるので、思い立ったらまず「営業時間変更」を確認のこと。T.Y.ハーバーバーガー(リアルアメリカンスタイル)170g\1,600。チェダーチーズのトッピング\100。お供にはコノ店の基本=ペールエール、パイント\800。付け合せはバーガーの量の2倍はあるフレンチフライ。それにタルタルソースとケチャの入った小鉢。タルタルは単体だと何と言うか……ちょっと詰まった匂いのクセの強い味なのだが、バーガーに付けて食べるとパティやトマトの甘味を見事引き出すナイスアシスト!バンズは表面白ゴマ、きめ細かな黄色い生地のブリオッシュバンズ。ややくすんだ皮の色が魅力的。上等なバターロールという感じで、ほんのり抑えた甘味と芳しい香りがまた魅力。中身は、派手さはないが深いコクがあって美味しいチェダーチー、ジューシーな塩味が美味しい丸ままのピク、トマ、スクエアな食感のレッドオニ、レタ、パティ、再びレタ、下バン(heel)。パティは表面しっかり焦げるまで、中はゆる〜く赤みが残る焼き加減。繊維質がヨコにぎーっしり詰まった、しっかりした噛み応え。傾向としてカリフォルニア・キュイジーヌを謳っているお店のハンバーガーには整った味が多く、ドッカーンと炸裂するような派手さやワイルドさは少ないように思われる。ココのバーガーも見た目華やかではあるが、ぎゅーっと締まった、しっかりとした食感。「サンフランシスコから技術を導入して作られたビール」は当然米国風に甘口でライト。バーガーにはいつもギネスなど濃い目のビールを合わせていたが、今回のペールエールとの取り合わせは、まさに7月・土曜の昼下がりに相応しく、サッパリ爽やかだった。BGMもオシャレに爽やかに、ブラジル系ジャズvo・ボサノヴァなど。
2005.7.16 Y.M