2005年07月03日

# 074 U.S.S. SEAMEN'S CLUB [横浜・本牧]




 本牧(ほんもく)――鉄道が通っておらず(かつては市電があった)、その知名度のわりに公共交通機関はバスしかない陸の孤島またはちょっとした穴場スポット。桜木町駅から市営バス海づり桟橋行き――この行先からして何となくさみしい――で20分、バス停船員センター前のホント目の前


 元の組織はUNITED SEAMEN'S SERVICE――「55年以上にわたり船員と港に集う方々にサービスの提供をしている非営利団体です。当センターの全ての収益は、船員福祉、ポートサービス活動のために役立てられております」――そのUSSが運営する海員のためのレクリエーション施設 USS INTERNATIONAL SEAMEN'S CENTERの通称がシーメンスクラブかな? ――「ニューヨークに本部を置き、世界各地にあるシーメンスクラブ。ピンボール、ビリヤードやダーツのある店内はアメリカそのもの」……ピンボール、ビリヤード、ダーツ、バーカウンター、テニスコート……と聞いてとてつもなくオシャレな空間を想像してはいけない。ノリとしては築云十年の国民宿舎1階ロビー+大浴場入り口のゲームコーナー

 タイル壁に四方鏡で囲った柱が印象的な天井の高い殺風景な空間を、ココは玉突き場、コッチにピンボールとダーツ、ココはインターネット見放題……と、かなり無理矢理に場所を決めた感が。どう使って良いのかわからない……って感じで持て余し気味に置いてある隅っコのテーブルとか。

 照明は暗〜く落としてあり、バーカウンターとビリヤード台の灯りのみ煌々と、かつ渋〜い光を周囲の闇に放っている。トイレは昔の学校並み……そう、"施設"という言葉を念頭において考えた方が実物に近いと思う。ついでに言うと、確かに海の近くにはあるものの、この店の後ろには本牧ふ頭が大きく突き出ており、よって窓から港は一切見えない。まあ海員が陸(おか)を楽しむ場なのでしょうな。

 とは言えそこはさすがに国際貿易港ヨコハマにある海員施設(そうそう、奥には外貨の両替所も)、そこはかとなく漂うグローバルなイキと香り。テーブルには臙脂(えんじ)色のクロスが掛かり、築云十年の室内の古び方と相俟ってグッと落ち着いたクラシカルな空気を醸している……コレまさに小学生の頃に親に連れて行ってもらったレストランの風情そのもの! メニューもステーキにフライにハンバーグに……とオーソドックスな洋食のオンパレード。しかもどれも美味しそ〜! 一角に申し訳程度の小サラダバーもあり。

 さてUSSチーズバーガー¥850。付け合せはフレンチフライ。白ゴマふんだんの白バンズは裏バター、白レタス、甘い輪切りオニオン、トマト、ピクルス、黄色いチーズ、ベーコン、パティ、下バンズ。

 バンズの白ゴマは、かつてこんなに効果的に感じたコトはなかった……というくらいにナイスアクセント。ベーコンはそう呼ぶには妙に生々しい味のする、健康的塩味。パティはハンバーグ。ギューギューに捏ねられておらず、肉と肉の間に空気を含んだ、ホワッと柔らかくて温かい食感。塩味が絶妙に効いていて美味!

 みずみずしいレタス=オニオン=トマトに、パティ=ベーコンの塩味が嫌味なく効いて素直な組み立て。そして直感的な美味しさ! マヨ&ケチャ一切不要! オニオンの上品な余韻がたまらない。ついもう一個いきたくなる。

§ §

 BGMは一瞬、地元ヨコハマのクレイジーケンバンドが聴こえたが、アレはジュークボックスだったか、時おり響く玉突きの音以外、あとは終始無音だったように思う。場所はちょっとさみしいが、"僕らがこどもの頃の"オトナな空気に満ちた、好スポット。

2005.7.3 Y.M
posted by ハンバーガーストリート at 20:57 | TrackBack(0) | 横浜編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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