ル・カフェ・ベルトレ(注:語尾の"T"は発音しません)――某誌編集・N氏ご紹介の店。かつて『料理の鉄人』で勇名を馳せたフレンチシェフ・柳舘功のカフェ/レストラン/バー。青山通りに面したビルの奥のまた奥の半地下。昼なお暗い店内、両端が合わせ鏡のソファ席は、背の後ろからホリゾントライトが赤い光を壁に投げ掛け、この光の陰影が織り成す"空気感"が絶妙な空間演出になっている。白タイルのビル壁面をそのままガラスで囲ったテラス席は、見上げると真上は"空"。BGMは案外とひねりなく、ひるどき洋楽ポップス有線。
コノ店の注目メニューはフォアグラバーガー トリュフソース¥2,650――2枚のフォアグラの間に牛肉のパティを挟んで……って違う! (ソレじゃまるっきり友人G.Iの受け売り)冒頭のN氏も、そして当サイトの常連O氏も食したソノ味、さて如何なる哉――とはゆかない。まず基本から押さえるのが当"隧"道の流儀と心得よ! (ナンチャッテ)。ランチメニュー、チーズバーガー“スペシャル”¥1,300、コーヒーor紅茶付。ケシの実いっぱいのフランスパン系バンズ、皮はパリパリと砕けるが身は飽くまでぷるんと、野菜の水分も吸い込んでパンプディングかのようにしっとりウェット。裏バター、オニオン、トマト、またオニオン(多分)、チーズ、パティ、レタス、バンズ。白いオニオンは一見すると"生"風だが、軽く火を通してある――かな……多分。薄く伸びた白いチーズが時おり良いタイミングで顔を覗かせる。
パティは中に刻んだタマネギが入っているので、ま、ハンバーグですな。中心が最も分厚く、コロンとしている。しかしミンチでなく、肉を何遍も叩いてはまた叩き、軟らかくしていったもののようで、ココなどとよく似た食感。このパティの塩味がバーガー全体の味になっている。マスタード、ケチャ、タルタルが別途器に入って置かれるが、例によって肉の静かな旨味だけを何も付けずに味わう。フランスパンバンズ表面の"カサッ"とドライな感じが全体を強く貫き、カッサリした印象のバーガーに。しかしガサガサが過ぎて消化不良を起こすこともなく、適当。量は見た目以上。衣の付いたフレンチフライもどっさり盛られ、こちらは食べ切れず。てっぺんに串が刺さっているのだが、これだけではバランスは保てず、食事半ばで崩壊。後半はナイフ・フォークで食べたが、やっぱり感じ出ないよネェ〜。
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"カフェ"と冠しているコトでもあり、しかし場所がそれなりであることを考えれば、そんなにも高くない値段で柳舘氏直系の味(多分)が楽しめる、リーズナブルなお店。とにかく赤い壁の前の白いソファへ。
2005.6.6 Y.M