2005年04月13日

# 049 TROUBADOUR [横浜・たまプラーザ]



 神奈川県および首都圏以外にお住まいのみなさんのために一応注釈――以下に紹介する店のある東京急行田園都市線たまプラーザ駅は、横浜は横浜でも港も見えなければ海もない、市の最北西に位置するベッドタウンである。横浜市はとにかく広いのだ。

 たまプラーザと言えば『金妻』(未見)の舞台となった高級……あぁそんな説明つまんないやネ……まあそんな東急謹製住宅街の只中に忽然と現われるならず者の館。店の上空をそれこそ鷲が旋回していてもおかしくない、実際筋金は入ってないけど筋金入りの木造二階建一軒家。そう、まさに"一軒家"という言葉がふさわしい。



 こういう店が田舎の国道沿いにあったところで別段どうとも思わないのだけれど、閑静な住宅街の中に構えている辺りが意外性。ところが地価があまりに高額なるゆえか、この駅の南口は整地済みの空き地・土日だけ賑う駐車場・同モデルハウスと、生活臭のきわめて薄いものばかりが空間を占めている。人は住んでいるのにひと気は少ない――駐車場とモデルハウスの間を抜けるメインストリートを歩く刹那は、確かにある種荒涼・殺伐とした想いに駆られるかも知れない……ウ"〜ン、淋しい……でもごらん、この先に灯りが……

 今までアメリカンダイナーだのアーリーアメリカンだのとテキトーな言葉で数多の店の説明を誤魔化してきたが、コノ店ばかりはそんな形容では様子を正しく伝えることができない。

 コノ店がイメージするのは70年代ウェストコーストロックの世界――カウボーイハットにジーンズ、ブーツ。首にバンダナ、肩からガンベルト。馬にまたがり、幌馬車を駆る――そんなスピリットをまんま店構えにしてしまった、そんな店なのである。テラスとカウンターのある1Fもカッコイイが、圧巻は2F――天井のファンが物憂げに回る暗がりは、禁煙なのに漂う空気が妙にスモーキー、隣の席すら霧がかって見える。赤いクロスのかかった丸テーブルの周りには荒くれ者どもがふてぶてしく足を組み、よそ者の一挙手一投足をじっと見つめている……そんな光景が目に浮かんでくる、刺激的空間。

 不勉強で申し訳ないのだが、店名"トルバドール"(中世の「吟遊詩人」の意とか)は西海岸で有名なクラブの名に因っているらしい――LAのミュージック・クラブ。ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタット、ザ・バーズなど、ここの出演者で後に有名になったアーティストは多い。イーグルス、ドゥービー、CSN&Yはじめウェストコーストロックの王道からカントリー、ブルース、ハワイアンミュージック……結局はジャンル不問で、とにかく心地好いアメリカンミュージック心地好い大音量で流れる。

 出て来る料理はもちろんタコスにナチョス、バッファローウィング、ジャンバラヤ、ミートローフ……



 バーガー7種。本日のご注文チーズバーガー\1,100。柔らかいバンズは表面白ゴマいっぱい。中はレタス、トマト×2、オニオン、ピクルス×2、チーズ、そして香ばしいパティ。

 ココのパティもミンチと言うよりやや粗目の感がある。しっかりした噛み応え、そしてクドからずジワーッと微かに溢れ出す旨味。かなりはっきりとした塩味が付いていて(しかし甘味と旨味を併せ持つ。岩塩か何かだろうか)、この味と濃厚なチェダーチーズの味とで全体を引っ張ってゆけてしまうだけのパワーを持っている。

 これくらい塩が効いているとオニオンの辛さやピクルスのスースーした酸味がむしろ活きてくる。強い味同士のバランスとして絶妙。まったく他の調味料を欲しない。大味過ぎないアチラ風味としてお気に入りの逸品。付け合せはフレンチフライ。お供は例によってラムベースのキューバリバー(リブレ)。

§ §

 同じ田園都市線の市ヶ尾に姉妹店Bubble Overがある。が、いかんせん駅から随分離れた、しかもニュータウンからも適度に外れた辺りにあるらしく、足を運んだことはない。'86年オープン。トルバドールは'91年から。

 でさらに両店には母体となるMOTHER LUCYなる会社があって、他にSURGEという、やはりCALIFORNIA COAST STYLEの洋服・雑貨・サーフィン用品などを扱う店を持つと。でたまに実は有名なアチラのアーティストが両店に演奏しに来たりする。ステージと客席の距離がブルーノート級に近い(しかも高低差なし。そして安い!!)狭い空間でのプレイなので、こりゃオイシーぞ!

2005.4.13 Y.M

トルバドール ダイニングバー / たまプラーザ駅あざみ野駅
夜総合点★★★★ 4.0

posted by ハンバーガーストリート at 22:44| Comment(4) | TrackBack(0) | 横浜編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ここのマッシュルームバーガーもお薦めです
Posted by KONEV at 2006年01月25日 01:00
KONEV様、
コメントどうもありがとうございました。
まさかコメントいただけるとは思っていなかったので、少し驚いております。

暗がりの中でロック聴きながらゆっくり過ごしたいお店ですね。
Posted by ハンバーガーストリート at 2006年01月25日 12:49
懐かしい…もう10年前、学生で横浜に住んでる時にたまに行ってました。
友達の彼がバイトしてたな(^_^*)
ハンバーガー懐かしい〜
Posted by マヤ at 2007年01月24日 17:20
マヤさま

現在、たまプラーザは再開発の真っ最中でして、記事に書いたような荒涼殺伐たる風景から大きく変わろうとしています。

ただ住宅街の一角にある店ですから、再開発に釣られて隣も向かいもお店だらけ…ということにはならないでしょう。なのでアノ「一軒家」的佇まいは健在です。もう16年も続いているんですね。根強い人気があります。


今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by 2年後カフェ計画 at 2007年01月27日 18:29
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/392275745
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック