京葉線は南船橋のショッピング王国TOKYO-BAYららぽーとに今年2月オープンしたパンのテーマパーク「東京パン屋ストリート」。全国から屈指の名パン店が出店する中、佐世保バーガーの代表はBigMan! 昨夏佐世保に遠征した際、穴の開くほど見返したハンバーガーマップを再度復習……長〜い長い四ヶ町アーケードの筋隣、シューズセンター通り角。佐世保駅歩7分、行きやすいところにある。スゴイな、本店のメニューには「パテ(30個詰め)2,100円 」が。営業12:00PM〜翌3:00AM。
実はこの週2度、ららぽーとまで足を運んでいる。1度目は連休最後の春分の日。この日入場までに30分、そしてBigMan はなんと! 180分待ち?!! なのでバーガーはあっさり諦め、他のパンをおおいに楽しんで帰還。また落ち着いた頃にでも行コ……落ち着いた頃にでも……落ち着……あー! どーにも気になる! でふと再挑戦したのが金曜日。平日のこの日(でも学校は春休み)、入場待ち0分、BigMan はそれでも40分待ち。
店前に列つくってボーッと何十分も待ってれば、興味は自然とキッチンの中の様子に向けられる。中は完全分業制――ここまで徹底しないと180分の列はさばけない。説明のためわかりやすく言うと、まずカウンターで注文を受ける1名。キッチン奥にレタス係、トマト係、オニオン係各1名。鉄板の前にチーフと思しき体格の良い男性1名、その後ろで出来上がったバーガーを包む係1名。そして渡し口に2名――で合計8名――いや、多分奥にもう1人(なぜなら目玉焼き係が登場していないので)で9名(違ってたらゴメンよ!)。オニオン係なんかキツイだろうな、見た限りではまずひたすらスライスし、終わったら次に輪切りのトマトとひたすら合わせ……という作業に徹していた。全員トレーナーにキャップ。女の子はまるでキャップから髪の毛がはみ出すのを計算して採用したかのような顔ぶれ。みんな髪を後ろで1本に結わえている。ほぉーと思ったのは身の丈くらい高く積み上げられたヤマザキのパン箱。パンのテーマパークなのにバンズはヤマザキ? いやいやそれだけがすべてではないのだヨ。「らりるれろ」はフジパンだったしね。
レジ上に「ベーコンエッグバーガー」「海老チリバーガー」「ステーキバーガー」と3つ大きく掲げられているから、てっきりコレしかないものと思ってたら実は全部で13品。いちばんシンプルなハンバーガーからトッピングが増えてゆく一般的体系。興味を惹くのは季節限定モノ――九十九島のカキバーガー¥450、桜色めんたいバーガー¥450。カキバーガーは相当地味に貼り出されているので、注意しないと気付くのさえ難しい。
佐世保基本のベーコンエッグバーガーはこのBigMan が発祥という。待ち続けること40分、やっと手にしたその基本のベーコンエッグバーガー¥440と"当企画基本"のチーズバーガー¥380(いずれも単品)をトレーに乗せて、次は席探し……この辺がテーマパークのシンドサ。どうにか照明の明るい席を確保、まずは基本のベーコンエッグから包みを開ける。包んであるからには紙にいろいろと付着して、正直見た目は良くない。口に運ぶ。すると……おぉー思い出した! この味だ! かぶりついたとたん幸せになるコノ味! 店こそ違え、佐世保で食べたアノ感覚と一緒。食べながら思わず笑みが込み上げるこの充足感!!
第一印象はとにかく「桜の原木を使い、3日以上かけて仕込む自家製」ベーコンの深〜い深〜い旨味!! このベーコンこそがこのバーガーのすべてという風にも思えるのだが、そこは、ベーコンの深い旨味を他の食材が外側からさらにやさしく包み込んでこのバーガーは完成している――ととった方が正しいかも知れない。とにかくベーコンの花道、マヨネーズもケチャップもベーコンを味の中心に据えた中にあって、そこに適度な広がりを添える役割へと回り、間違っても邪魔などしない。
ヤマザキのバンズはきっと世の多くの人が最も見慣れているであろう姿。表面ツヤなし。裏バターなし、コゲもなし。レタス、"輪切りな"玉子焼き、ベーコンとの相性抜群の薄いオニオンスライス、マヨネーズ、主役のベーコン、ベーコンと比べてすっかり存在感の薄いパティ、ケチャップ、下バンズ(heel)。チーズバーガーにもベーコンが入っていたが(入れ間違い?)、チーズはきわめて普通な白いプロセスチーズのようだった……。個々にみればバンズだってレタスだって際立って良いモノであるようには思えないんだけど、合わせると……コノ味! 絶品!!
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見た目飾らず・気取らず、食材も必要以上に良いモノ・高価なモノを使っているワケでは無い。でもこのバーガーにはイキオイがある。緻密な計算のもと絶妙なバランスに収まるバーガー……といった向きとは異なる、この1個にはパワーが、食べた人を幸せにするパワーがギューッと凝縮されているような、そんなイキオイを内に秘めたバーガー。
そして永年佐世保市民の間で愛され育まれてきた強味か、生活密着型と言うか、すごく実際的で合理的・現実的な、ウソのないバーガーである。ともかくも正しいものが正しく伝えられている気がして、なんだか安心した。観光の名のもと"食いモノ"にされることなく、本場佐世保の味と心意気をしっかりと守って私たちをハッピーにしてくれる佐世保バーガー……すばらしい!!
パーク内BGM――RPG風(もちろん中世ヨーロッパね)のテーマ曲が、並んで待ってる間中3分単位くらいで延々とループ……こりゃ気が狂うぜ! 客はどうせ一日キリだからまだいいが、毎日働くスタッフのことも考えてやれよ!
2005.3.28 Y.M