ホテルニューオータニ
コーヒーショップ SATSUKI
前回「TRADER VIC'S 」に行った際には、このカフェラウンジの存在をまだよく把握できていなかった。ニューオータニのザ・メイン(本館)ロビィ階、正面玄関を入ってすぐ右手にある。スイーツが人気。今風、シックなと言うか硬質なデザインに、日本食料理店に続く通路との仕切に使われる笹竹の緑がミスマッチなジャポニズム。奥の壁には大きな錦絵風の絵が描かれている――藤棚に菖蒲、ツツジ……あぁ、店の名"SATSUKI"をイメージした絵なのネ? 女性スタッフの花柄上下・ひざ上丈スカートの出で立ちにジェームズ・ボンド的強い時代錯誤を覚える。BGMはあまりに当たり障りなくジャズ。
帝国よりも客層が国際色豊かで、柱越しにフランス人老夫婦(←推定。食後、二人でカビ臭〜い匂いを放つ葉巻を吸っていた)のディナーを見やりながら、私はハンバーガーをば。ビーフ100%バーガー、with Cheeseで¥2,205にアイスのカフェオレ¥840。もちろんイイお値段。
実はココ、土曜夜の定番、TBS『チューボーですよ!』に、ハンバーガーの回の街の巨匠として登場したことがある――残る二人は本郷の「F」、横浜元町の「S」(現在休業中とか)。そんな期待も抱きつつ待つことしばし、現われたバーガーは……ん? なんだ?? 金色のフィルムに包まれている。
純然たる飾りか……とも思ったのだが、しかし包んでいた方が何かと食べやすいので、このフィルムのまま持って食べる。違ってたらドーシヨ……でもバーガー食べてるのは自分だけなので、間違っていようがまるで分かりゃしない! 問題無し! 平たいバンズは特製全粒粉カイザーロール(←推定)。表面はライトグレーのケシの実だらけ。裏バター(基本)。で、その向こうにキャベツ?? が横になっている。
挟むのか――と最初思ったが、上のバン(crown)の側にはレタスが既に居るし、どう見てもサンドするにはゴツ過ぎる。尋ねてみると「キャベツには脂肪を分解する効果がありまして……」とのことから付け合せにしていると。味付け一切ナシの生キャベツだが、噛むと甘い。他に付け合せはポテトとタテに2つに切ったガーキンス? コーニッション?
バーガーに戻る。レタスとトマトの間にマヨネーズドレッシング。焼き目の縞模様が鮮やかなオニオンは焼き加減絶妙、甘くてジューシー。チーズはチェダー、こいつはなかなかの存在感。ビーフ100%パティは挽肉ではない。一片の肉をよく叩いて柔らかくしたモノで、ゆえにミンチとはまた違う、繊維質のしっかりとした噛み応え。
「ベーカーバウンス」のパティを連想させる。軽く胡椒程度の落ち着いた味付けで、味の勢力図としてはレタ×トマ×オニの野菜トライアングルにやや押されているようにも思える。良い意味でむしろ野菜サンドと言って過言でない。しかしそれはみずみずしい感じではなく――きっとパティの肉感やカイザーロールの食感もあるだろう――やや潤いに欠ける印象。付け合せのキャベツも同様で、ウソでも霧吹きでシズルをつけるといった演出もなく、絵的に見て、皿全体からデザインは感じるが、しかし"食べ物"の生々しい迫力はない――といったところか。
けっこう食べ応えがあり、最後は手で持つのに疲れて生まれて初めてハンバーガーにナイフとフォークを使った。帝国のバーガーと比べると若々しく、今様。イヤ、下手するとウェンディーズ辺りよりもトレンドを感じられるバーガーかも知れない。
§ §
ケチャップはデルモンテ、マスタードはFrenche's が瓶ごと出て来る――お気軽・カジュアルな線を意識してのことかも知れないが、しかし食器ひとつ見てもいまひとつ御三家的風格が感じられないのは残念。
あと私のした質問に答えられないという失態を二度までもしてしまったのは大きい(キャベツの質問は除く)。1. チーズの種類は何? (食前)と2. パティはミンチじゃないんですネ……(食後)というのと。そんなに難しい質問? チーズの種類についてはこのトコ尋ねればどこでも即答だったモンだから、ついそんなノリで確認したんだけど……。
おかげでパティに関してこれ以上詳しい情報を入手し損ねた、う〜む……。一応ピンでテレビで紹介されたメニューなんだからねぇ〜。なんとなく2,000円の元の取り方が解ってきはじめた今日この頃……。