当企画は、毎度決まった店で食べ慣れてしまったお手軽・安易な食べ物=ハンバーガーを、もっと視野を広げ身近に目を向けて、街のそこかしこに探してみよう――というのがそもそものコンセプトである。ファミリーレストランは身近を見つめ直す意味においてコンセプトによく合っており、当初の期待も大きかったワケなのだが、ところがこれがまったくの空振り……ハンバーガーを扱う大手チェーンは皆無だったのである。
それがココに来て耳寄りな情報――Yo氏の黙示により、さっそく家から一番近いロイホへと向かってみた。
実は表参道のアペティート(APETITO)という系列ベーカリーの味に魅了されて以来のロイヤルのファンである。そのアペティートも今はすっかり昔の味を失い、興味の対象でなくなってしまっているのだが、そんな中、久々のロイホ。
BGMはフュージョン系やラウンジ系など。涼しげで悪くない。各卓に呼出しのボタンはないのだけれど、時折ポーン……と鍵盤打楽器のイキオイのよい音が響く。もともとが空港や機内食のサービスを出発点としているグループ。ファミレス業態にもどこかターミナル的ゴージャスさの片鱗が窺えるように思われ……気のせい?
スープ&カジュアル料理のメニューのひとつ。「お好きなスープと料理の組合せでお得な¥1,250」。ビーフ100%ハンバーガーは単品¥880、相方に選んだブロッコリーのクリームスープ¥450。なのでそんなにお得? スープ・料理とも全4種。企画モノ感が強いのでスープの季節の終わりとともにメニュー終了の日が訪れるだろう――と見る。以前紹介の「シズラー」もロイヤルグループ。なのでシズラーとよく似た感じかなぁ……と予想を立て臨む。
出て来たバーガーはシズラーより平面的。白いバンズに白ゴマ。裏はバター色。そして……カリッカリの焼き加減はシズラー作戦をそのまま取り入れている……いつ食べてもどこを食べてもカリッカリ!
パティの上にピクルス2枚。トマトも2枚。そしてオニオンにレタス。運ばれてきた当初からピクルスの紅生姜のような、私にとっては一種警戒心を抱かせる鋭いニオイが漂い続けている。撮影中もそして食べている間もずっと鼻を突く。
ビーフ100とは断ってあるもののパティのパサ付き感は予想以上。そこに紅生姜テイストの水気の少ないピクルスと、同じく水気の飛んだオニオンとレタスがくるので、全体にパッサリ(not"サッパリ")したバーガーになっている。唯一水分をもたらすことが期待されるトマトも弱々しく、全体の潤滑油としては量が足りない。ココに適宜サウザンアイランドクリームを塗って食べるのはシズラーと一緒。
しかしこのクリーム、随分とおとなしい味でピクルスとオニオンのキツイ味の間に混ざっては主張の場もない。結局手元に調味料はクリームのみ(あと食卓塩もあるか)、ケチャップ&マスタードの登場はなかった。つまりこのクリームの味で勝負! と言っているようなもの。しかし試みの割りには味が弱過ぎる。
§ §
で¥880。当企画としては同価格でもっと食べ甲斐のあるバーガーを紹介できる――のだが、問題はソコではない。ファミレスのメニューとしてどうか――そっちが重要。
メニューとしてアリやナシや……まぁ定着はしないだろうネ、贔屓目に見ても。よく考えたらコノ値段で付け合せナシだし。払った¥880分の価値をしっかり実感できるような内容でないと顧客満足は得られないだろうから、つまり「普段食べてるバーガーはマックの¥84だけど、¥880だと……ふ〜ん、こんなバーガーもあるんだ〜」くらいな感想はせめて持って帰ってもらわねばならないワケで。
ソレを思えば今のままでは残念ながらプラスの感想には傾かないように思う。むしろ奇手を狙って自慢のカレーソースと絡めるとかした方が良かったのかも。でもそこをストレートに真っ向勝負する辺りがロイヤルの伝統なのだろう。冒頭書いたようにすごくちゃんとした感じのするレストランなので、まぁ正統勝負のハンバーガーで正解なのかも知れない。