新企画は漢字タイトルを諦め離れ、"ホテル編"。1階ロビーにつらなるラウンジのバーガーに開拓の目を向けた次第。と言うか、たまたまホテルの1階を通りがかったときにハンバーガーがメニューにあることに気付き、ほぉ……と思ったのがそもそもの発端である。
たかがハンバーガーごとき、なにもホテルで食べることはないだろう……との意見に私も賛成する――がしかしひょっとして?感が最もニオッテ来るのは案外この辺り。それに、中華料理やイタリアンでハンバーガーが出てくるシチュエーションよりは、ホテルで食べる方がナンボか自然だろう。
だがご想像のとおりなにぶんお高い。片っ端から試してたのではさすがに身が持たぬ……によって、「1.この国を代表するホテルのバーガー」「2.パンが美味しいと定評のあるホテルのバーガー」、この辺りに絞り、かつタマ〜に――所謂「自分へのご褒美」程度の頻度でもって――臨むことにしたい。……とか言って毎日通ってたりして……
ロイヤルパークホテル
コーヒーショップ シンフォニー
第一弾は近場で。こちらの地下1階ロイヤルデリカで売られるパンには定評がある。
さてビュッフェの時間である。大きな窓の外には庭の滝が青白い照明に照らされて寒々と流れ落ち、室内では豊富なビュッフェメニューが黄金色のライトに煌々と照らされて、都会人の飽くなき欲望に向かって手をこまねいている――魅惑のスイーツ!パン……!!そんな中、何を好んでか、バーガーを頼む珍客一人。
香ばしいダブルバーガー フライドポテト添え\1,680。カレーライスのような横長な皿に乗って登場。野菜は外付け――つまりバーガーはオニオンとトマトとレタスを抜いた平らな状態、それらが付け合せの丸いポテトとピクルスとともに皿に並んでいる……ウルフギャングパックのときもそうだったんだけど、コノ手の底が一段低い皿って撮影には向かないのである。バーガーの立体感が出ないから。実際に見た目にも、どうしても俯瞰してしまう目の位置になるので、ディテールをつい冷静に見てしまうと言うか、ふ〜ん……こんなもん中に挟むのか……と不必要に素に返らされるような、そんな感じはある。よってバーガー的な情熱と興奮が沸き起こらないのである。
こういうトコだとケチャップとマスタードは小鉢に入ってスプーンですくうようにして付けるのネ。さすがバンズはロイヤルデリカで売ってるパンと同じで、外皮硬め、中は気泡が大きくちょっと水気の抜けたようなパサ感があるが、でもしっかりと噛み応えのある感じ。小麦粉のいい香り。裏面にはバターが軽く塗られている。
で、案外とフツーなレタスがきて、案外と単純な輪切りのトマトがきて、単純な水っぽさがあって、でまぁ見事な断面のオニオンがくるが、こいつが生。とんでもなくニガ〜イ箇所があって、パティの味を台無しにしまってると……いや、そんなモンじゃ効かない。食後も胃がスースー、翌日まで残るような強力な逸品だ――正直このオニオンの時点で興味は既に尽きたと言ってしまってよい。
パティはさすが柔らか〜肉汁たっぷり。さらに驚くべきは、2枚のパティの間から特製ソースが出て来たことである。この辺の味付けは控え目、だがこのソースのおかげでだいぶ食べやすくなっているものと思う。見かけ以上にダブルのパティはボリュームがあって、すぐお腹に影響してくる。オニオン消しのつもりでケチャップを使ってみたが、あまり味はしなかった。
§ §
全体にしっかり詰まった感じの味が多かったか。ピクルスも派手な酸っぱさを飛ばしたしっかり目の味で、なんだか合間に漬け物つまんでる感覚だった。
何にせよパティのいいお味にその他が着いてきていない印象。パティだけホテルの技で丁寧に焼いて、ほかは"アメリカン"の名の下に不自然なラフさでつくってる感じかな。案外とホテルにこだわらない、従来どおりのバーガーだったのは企画からすれば期待ハズレ。ホテルらしいもったいぶり方を楽しみたかったのにぃ……。BGMは全館"華麗なるストリングス"で。
コーヒーショップ シンフォニー (アメリカ料理 / 水天宮前駅、人形町駅、茅場町駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0