スポーツバーという分野はいつごろ確立し、広まったのだろう? なんとなく2度のワールドカップ(もちろんフランスと日韓、およびその予選)を通じて次第に定着していったように思えるのだが、大画面プラズマスクリーンに映し出される試合の経過に手に汗握りつ、ときに歓声ときに嘆声、そして涙! 涙! その場に居合わせた見ず知らずの人たちと強い一体感を共有しつつワイワイガヤガヤ盛り上がる――こんな感じで新聞朝刊一面下のトップ記者のオッサンが書く文章とは差別化図れてる?
もちろん国内外のサッカーのみならずNFL、NBA、MLB……あらゆるスポーツ中継が流れる。初めて行ったときはMLB・ワールドシリーズ第4戦、レッドソックスが優勝を決めた試合のダイジェストを、元日に行ったらサッカー天皇杯の決勝を生でやっていた。
コノ店のサブタイトルはカナディアン・スポーツバー&グリル――カナダから取り寄せた木材をふんだんに使った、暖かみのあるウッディな店内。壁にはホッケーチームのユニフォーム、スティック、スノボ。窓には真っ赤なカエデの国旗と日の丸。店に一歩足を踏み入れると、そこは国外。初めて来たときはちょっとだけビビッたものだ……店員含めほとんど外国人。周囲で交わされる会話は基本的に英語98%と思ってよい。白人男が下あご突き出し、瓶だけクイと傾けてビールをラッパ呑みしてる(わかる?)――でもアンタ、そのラベル一番搾りだぜ!
とにかく辺り一面サラウンドで英語! しかし!! オーダー取りに来る坊主頭の兄ちゃんはその辺の居酒屋チェーンのバイト張りに流暢な日本語で注文聞いてくれるから大丈夫。あと日本人の女性スタッフも一人居るし、キッチンを守っているのもどうやら日本人の模様。しかしそもそものコンセプトとして半ば外国人に向けられた店らしく、「フライデーズ」や「ハードロックカフェ」以上に外国人遭遇率は高い。
実は過去3度行って3度とも全く同じオーダー……ギネスのハーフパイントに炭火焼チェダーバーガー¥1,100しか頼んだことがない。ココの特長はなにしろプレートの充実ぶりにある。まあ見てのとおりプレートの半分はオープンフェイススタイルのバーガー上下、4分の1はフレンチフライ、残る4分の1がサラダなのだが、そのサラダときたら! ブロッコリーにグリーンアスパラ、パプリカ、オリーブ……まぁ豪華、充実! 昨年来「不要に思えてならない」と言っていた付け合わせだが、こんなサラダ付きなら大歓迎! ボリュームもたーっぷりで、このバーガーの1,100円ははっきり言ってお得! ギネスとあわせてたったの1,600円! おまけにスポーツ中継まで観れちゃう!!
中身はまずレタスが来て輪切りのオニオン、ピクルス×2、トマト、程好くとろけたチェダーチーズ、そしてパティ――スポーツ中継中は実況音声が、中継のないときは音声なしの録画映像に有象無象のイマドキBGMがけっこうな大音量で流れる店なので、これまで一度も気付かなかったのだが、元日に行った折、曲間の静寂にペタペタいう音がキッチンから聞こえてくるではないか……ココもパティは手でこねてる!
ただこのパティ、さほど柔らかくはない――と言うか、私の好みでゆくとちょい焼き過ぎかな? (もっとも外国人の舌を優先させている――という説も有り得るが)……初めて食べたときはそれなりに柔らかく感じ、好印象を持ったものだが、2度3度と行くに連れ、だんだん焼き方が強くなっていってるように感じられる。今度頼むときは焼き加減をオーダーしてみようか。甘酸っぱいピクルスはいいアクセント。ケチャップ&マスタードは必要かな。バンズはあまりに普通。派手な中身に比べるとやや物足りないか。
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まぁそんなこんなで、文章の長さが物語るとおり、まったく嫌いな店じゃない(←ニホンゴムズカシイネ……)。パティがふたたび柔らかさを取り戻すことを切に願いつつ――。とは言えVAIO相手に独りぼっちでホームページの文章打ってる……てぇのは正しい使い方ではないやネ。自分より英語堪能なお友達連れて、イザイザ!!
※こちらも気付いたら閉店。う〜ん……ポール・サイモン以上に時の流れを感じる今日この頃……(2007.7.7)
2005.1.5 Y.M