猥雑な道玄坂を登り切ったところにあるクリーム色のフレッシュネス。コンクリ打ちっ放しの床、それをペンキで塗った壁・天井。チョイ前時代のセンスでまとめたインテリア。それはそれは広々と立派なカウンター越しのオープンキッチン。パティ焼く鉄板もまた広々。
スタッフはチョイセンス良くてカッコイイ渋谷系がキッチンの中に2人。ココはバーガー出来ても持って来てくれない。注文生産な上、パティはきちんと鉄板で焼くので出来上がるまで10分はかかるというのに、それでもキッチンの中から呼ぶだけで持って来てはくれない。だから取りに行く。しかも大声張り上げて一生懸命呼んでくれるワケではない。スピーカーからはチョイクラブ系なレゲエがかなり大きく流れており、かつ私の占めた席はキッチンとの間に壁一枚挟んだ位置なので、何か言ってるな……くらいにしか聞こえない。だからドリンク飲んでくつろぎつつも、いつバーガー出来るか……と絶えず聞き耳を立てていなくてはならない。加えて言えば、持たせた札の番号で呼び出す――などと言うような無粋なシステムをこのオシャレなカフェが取り入れよう筈がなく、よって「気配でカウンターまで行ってみたら前の人のだった……」なんて、お店と店員のカッコ良さに比べればお客はヒドクみっともない連中ばかりである。ガムシロ、砂糖はじめ諸々すべてセルフ。アイスのカフェラテ頼んだらグラスではなくプラスチックの容器で出て来たのには軽い目まいを覚えた。コーヒー然り……アレ? レギュラー店はどれもグラスにカップだったよね? 基本的に逆行くのがコンセプトらしい。まあスタバと思えば良いのだが……。
チーズバーガー¥840。白いプレートに乗って。付け合せにクルリと巻いたフレンチフライ。小さく切ったレタスもバーガーの外。あとお好みでオニオンのよく効いたマヨネーズ……なのかなぁ? バターなのかなぁ? 調べたのだがコレが何なのか、どう使うのか、結局わからず。コノ店ではそういうコトも言い添えてくれない(仕方ないのでナイフを取って来てバンズの裏に塗ってみる)。上のバンズ(crown)は斜めに傾けられて、まだバーガーの上には乗っていない状態。レタスを挟んでから閉じるワケ。しかしここまでデコレーションされたバーガーを自らテーブルまで運ぶというのも初めて。
中身――まず例の柴漬け食感のピクルス。トマト、オニオンはソテー、チーズ、パティ。基本的にはレギュラー店のチーズバーガー¥320をふた回り大きくした感じ。バンズは温かくなく常温。レギュラー店のチーズ……と同じドーム状、栗カボチャ入り。パティは柔らかく食べやすいが、レギュラーのモノと比較して歴然とした差を覚えるまでではない。レギュラー店のパティだって十分美味しいということ。どうも柴漬けピクルスがまるで……そう生姜! ガリのような、あっ……食べてはいけないものを食べたかな……みたいなピリッとスティミュラスな味を一瞬発するのにはエラク違和感を覚える。オニオンもソテーしてる割りには歯ごたえがあり過ぎて、同様に違和感。あとこのバーガー、よく崩れる。レタスもオニオンも端からポロポロ……。
型崩れしないのも"技術"とわかった以上、見過ごしにするワケにはいかない。いつになく辛口だが、これだったらレギュラー店で普通に食べてる方が数十倍美味しく、かつくつろげるだろう。「暖かみのあるアーリーアメリカン調で親しまれている通常のフレッシュネスバーガーとはイメージを変え……白と黒、アルミで店内を統一したNORTH SIDE(ニューヨーク、シカゴなど)TYPEの店づくりをしています……」と公式サイトで語られるとおり、デザインのみならずサービスにおいてまで「暖かみ」を取り去ってしまった、そんな店。
なお、道玄坂店の看板には"FRESHNESS BURGER Cafe"とあるのだが、公式サイトに倣い"FRESHNESS CAFE"と表記した。営業時間朝8時−翌朝5時。上野にもある。……まあ味もサービスも落ちたスタバがフレッシュネスの倍の値段で作り立てのバーガー出してると思えば良いのかな? ……行く?
2004.12.4 Y.M