久しぶりの新聞です。しかもご報告が少々遅くなりました……2023年7月27日付の『東京新聞』ならびに『中日新聞』の朝刊"生活面"に「食問」というコーナーがあります。読者から寄せられた"食に関する質問"に記者が回答するコーナーですが、それにご協力しております。どんな質問かと言うと……↓。
こんな素朴な質問でした。歴史とトレンドについて私が答え、「上手な食べ方」については、かの東京・五反田「7025 Franklin Ave.」の松本幸三オーナー"御大"がお答えになっておられます。まさか紙面でご一緒出来るとは……光栄至極!
それで、大手新聞の紙面を使った回答なので、いい加減なこと・根拠のないことは答えられません。ですから憶測や仮説めいたことは排されて、結果、ごくごく"無難な"お答えになっております。それについての"補足"として私から申し上げられるのは、
●米国におけるハンバーガーの正確な誕生時期・発祥地はわからない
→各地それぞれに「ウチが最初!」と主張し合っているので
しかし、
●米国西部が発祥で"ない"のは明らか
つまり、
●ハンバーガーは東海岸=ヨーロッパ大陸から渡ってきた食べ物・文化が源であることは間違いない
さらに、
●Hamburg(ハンブルグ)という具体的な"地名"が名称に含まれていることもポイント
といった辺りでしょうか。
日本にも地名・国名が付いた食べ物はいっぱいあります。「トルコライス」「ナポリタンスパゲッティ」「ウィンナーソーセージ」「アメリカンドッグ」「神戸コロッケ」「信州そば」「静岡おでん」「長崎ちゃんぽん」「宇都宮餃子」等々……枚挙に暇がありませんが、ハンバーガーもこの「地名+食品名」のパターンに当てはまります。と言うのも「Hamburger」のあとに「Steak Sandwich」なる言葉が省略されていると考えられるからです。長いので縮めて呼んでいるワケですね。
正式名は「Hamburger Steak Sandwich」。スコットランド産のウィスキーを「スコッチ」と呼んでいるのと同じ理屈です。訳せば「ハンブルグ風ステーキのサンドイッチ」といった意味になります。
ここで問題は「ハンブルグ風ステーキなるものが存在するのか」。それに相当するものは実在します。「フリカデレ」と言います。但し、ハンブルグだけの専売特許的な名物料理でもなくて、広くドイツ・北欧諸国・ポーランド一帯で食される食べ物のようです。つまり、「静岡おでん」や「博多ラーメン」のような「その地域独特のスタイルを持つ食べ物」というパターン"ではなく"、むしろ「トルコライス」や「ナポリタン」「天津飯」のような「異国の地のイメージに肖(あやか)って」付けられた程度のネーミングなのかな……という気もチラと。
ですが、18世紀ごろの米国の移民の割合を見ると、北欧やポーランドからの移民よりも"圧倒的に"ドイツ系移民の方が数が多いので、そうなると「ドイツの食べ物なのかな」という空気にはなりますよね。
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そう、「つばめグリル」に「ハンブルグステーキ」なんてメニューがありますしね。そいつを挟んだのがハンバー「ガー」と。1920年代にはチェーン店が誕生。やがて全米レベルのビジネスに急成長し、さらに全世界に市場を広げ、ついに1971年に日本にやって来たのが「マクドナルド」と――。ここでひとつ確かなのは、もしもマクドナルドが日本に上陸していなければ、今日このような状況にはなって「いない」ということですね。あるいはもっとマイナーな食べ物になっていたかも……という。
そんな感じです。あとは皆さんぜひ新聞をご覧になって下さい!
→ # 読売新聞 2022年9月14日「月見のお供にバーガーを」にコメント
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【最新情報】 東京新聞 3月30日朝刊「日本発バーガー」にコメント
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