こと21世紀に入ってからの日本のハンバーガーは、今までなかった、まったく「新しい食べ物」と言ってよいでしょう。だからまったく新しいモノをイチから紹介するつもりで、食べ方や楽しみ方、醍醐味などをもっと積極的に紹介し、アピールしてゆく必要があるのかな――というのが私の意見です。そしてそのアピールは現状まだまだ足りないのかなと……。
2007年03月30日
2007年03月27日
【最新情報】 帝国ホテル [日比谷] ユリーカ跡にパークサイドダイナーがオープンしました
本年1月4日、惜しまれつつも閉店した帝国ホテルの人気レストラン「ユリーカ」に代わり、アメリカンダイナースタイルの新しいレストラン「パークサイドダイナー」が本日3月27日にオープンしました――ぬさもとりあえず祝開店!
ユリーカ閉店に伴い「大好きなあのメニューはいったい……」ということをきっと誰もが気にされたのではないかと思います。私の場合「あのチーズハンバーガーサンドの運命やいかに……?!」ということで、ずいぶんと気を揉んでいた次第。
結果から言うと、バーガー健在! しかも一気に6品に!! メニューの中でずいぶんと幅を利かせているのは、昨今の世の流れを意識してのことでしょうか。「アメリカン」ということでパンケーキも生き残っていますが、一方でグラタン、コキールなどの洋食メニューは残念ながら姿を消しています。
バーガー躍進! ――但し、待望のチーズバーガー¥2,625は、チーズがグリュイエールからチェダーに変わり、あの水鉄砲のような勢いで飛び出した肉汁も、今ではミョウに分別がよくなって、おとなしくなってしまっています。バンズもパティもおいしいことに変わりはないのですが、しかし身の危険を感じるほどのあのスリルは、ユリーカとともに去ってしまったようです。「世のホテル並みになった」と評するべきでしょうか。
下の写真が在りし日のチーズハンバーガーサンド¥2,100――って、コッチの方が安かったのか……これはしたり! (←渡辺謙の声で読んでね)
― shop data ―
所在地: 東京都千代田区内幸町1-1-1
東京メトロ日比谷線・千代田線 日比谷駅歩2分 地図
TEL: 03-3504-1111
オープン: 2007年3月27日
営業時間: 6:00〜23:00
2007年03月25日
【最新情報】 ハンバーガー リサ [札幌・二十四軒] が営業を再開しました
と言っても私も全く知らなかったのですが、しばらく所用で店を開けられずにいたのが、この3月17日(土)より約一ヶ月の冬眠期間を経て、晴れて営業再開できるようになったとのことです――ぬさもとりあえず祝再開!
再開に伴い、メニューの一部に変更が……。
と言ってもバーガーメニューはそもそもハンバーガー プレート¥800しかなかったのですが、そのプレートをやめて、ハンバーガー単品¥500での販売になりました。
ケチャップ・マヨネーズなし。チーズもなし。パティとバンズの味をバーンと前面に押し出した駆け引きなしの直球勝負は、松坂大輔もビックリのジャイロな味わい炸裂なるか?! メジャーリーグ開幕を前に華麗なるワンコインゲームということで……スイマセン。今夜はミョウにハイテンションです……。
― shop data ―
所在地: 北海道札幌市西区二十四軒二条3-2-34
地下鉄東西線 二十四軒駅歩8分 地図
TEL: 011-614-1243
オープン: 2005年10月
営業時間: 11:00〜20:00(売切れ次第close有り)
定休日: 水曜日・木曜日(要確認)
【ハンバーガーショップ、ダイナー他各店のみなさま】
2007年03月21日
# 168 Hi-5 BURGERS [茨城・つくば]
つくば駅目がけて矢の如く疾駆するTXの車窓に青く霞む筑波山が見えたとき、思わず「やったー!」と声を上げそうになったものだ。二峰が鋭く並立するその山容――『日本百名山』を予習して来た甲斐があった。ちなみにコチラ――お国は甲斐でなく、もちろん常陸。常陸の国のバーガー店は初。取手市戸頭の「BIG SMILE」は、県は同じ茨城なれど国は下総と。
●テクノパーク桜のスーパーマルモ隣
最寄駅はTXつくば――と言っても徒歩圏に在るわけでは全くもってなく、クルマで行く場所である。近隣の人向けに説明するならテクノパーク桜のスーパーマルモ隣。つくばセンター(つくば駅)からコミュニティバスが辛うじて出ているのに加え、関鉄・JR2社の路線バスがコノ付近を経路にしているので、徒歩(かち)組もどうにかなるっちゃなるが、しかしココ――路線図を見る限りではむしろ土浦圏である。
つくばテクノパーク桜は鉄道駅からバス30分、郊外の丘陵地に突如出現するニュータウン、工業団地。その生活の中心であるスーパーや外食店の集まる一帯にHi-5 BURGERS(ハイファイブ・バーガーズ)も軒を連ねている。ナゼこんな不便な土地に、しかも個人経営のハンバーガーショップなんて、都内でさえまだめずらしいモノが在るのか――そこにはこんなバックストーリーが隠されていた――。
●ファイヤーハウスとオートマンダイナー
オーナー片平アツシさんは、この辺りが地元。車やバイクを通してアメリカが好きになり、ハンバーガーに興味を持って「ファイヤーハウス」か「ホームワークス」、どちらかの店で働いてみようと、まずファイヤーハウスに食べに行ったところがコレが凄まじくおいしくて、求人に即応募→即採用――コレまだ20世紀中の話。
ファイヤーハウスには約2年。仕事のかたわら「やはり基礎を学ばねば」と調理師学校に通ううち、そこで知り合ったのが「オートマンダイナー」の"大将"こと五十嵐さんとシュウさん。3人は意気投合して'01年6月、埼玉県川越市にオートマンダイナーをオープンさせた。なのでオートマンの店の入り口にある5つの手形のうちの1つは、アツシさんのものである――ちょっと横溝正史チック("奉納手形"の話は『犬神家の一族』です)。
●苦節
オープンから3年、オートマンの"アツシ"は店を離れ、念願の自分の店のオープンに取り掛かる。ところが物件探しの半ばにして突如病に倒れ、以後1年余りもの間、長く辛い闘病生活を余儀なくされた。
回復後もしばらくは飲食の仕事に就くことが出来ないでいたが、体が元通りに動くようになるにつれ「昔の夢をもう一度追ってみたくなって」、昨年'06年12月、ついに念願の自身のバーガーショップを地元つくばにオープンさせた。オートマンを離れてから実に3年越しの夢の実現である。
2007年03月17日
【二ッ目!】 OATMAN DINER [埼玉・川越] のベーコンチーズバーガー
この日の夕暮れ、川越の街には寒風がピュウピュウと吹き荒れていた。寒さに急き立てられるようにして、1年ぶりにOATMAN DINER(オートマンダイナー)のウッドデッキを踏みしめた。
お店イチ押しのベーコンチーズバーガーレギュラー¥970。顔を寄せればバンズの好い香り。アチラ風にカリッと硬めに焼き上げたベーコンに肉の旨味が滲み出す噛み応えよいパティ、そして豊かなコクをじんわり効かせたスイスチーズ(グリュイエール)。それらの上にトマトの酸味がうまくかぶさって、小気味の良い、軽快な味わいに。見るからにワイルドな店の造りに比して、きっちりと均整のとれた、端正なバーガーの印象。
木に囲まれた感じが心身ともにグッと落ち着くコノ店内――スタッフみんなして本気で手造りしたんだねぇ。そりゃあ愛着も湧きましょうて。ランチもいいけど、やっぱり夜だ! 「河越夜戦」って言うぐらいですから。以上蛇足でした……スイマセン。
― shop data ―
所在地: 埼玉県川越市脇田町14-1 アーバンM1F
JR・東武 川越駅東口より徒歩5分 地図
TEL: 049-222-8398
URL: http://www.oatman-diner.com/
オープン: 2001年6月4日
* 営業時間 *
平日: 11:30〜15:00, 18:00〜23:00
金曜: 11:30〜15:00, 18:00〜24:00
土曜: 11:30〜24:00
日祝: 11:30〜23:00
定休日: 年中無休(12/30、31、1/1を除く。要確認)
2007年03月15日
【二ッ目!】 Authentic [赤坂] のブロッコリーチーズバーガー
ソフトな味わいがトレードマークのAuthentic(オーセンティック)のバーガーに、ボイルしたブロッコリーをトッピングして食感にアクセントを持たせたのが、このブロッコリーチーズバーガー¥1,200。
硬過ぎず、柔らか過ぎず、絶妙なタイミングで茹で上がったブロッコリーは、レタスの「シャリ」と比べると「ポクッ」とした噛み応えで、何だかミョウに落ち着く、誠実な味わい。酸味抑えたオーロラソースは、和風ドレッシング風味をかすかにまとったブロッコリーとの相性抜群! チーズはモントレージャック。味わいに広がりを加える隠し味的に。締めはパティのまろやかな余韻。期待を裏切らぬブロッコリーの食感がミョウにいとおしい、愛と信頼のバーガー。
§ §
【二ッ目!】では、そのお店で2回目"以降"にいただいたハンバーガーを取り上げます。なので3回目に食べたバーガーも【二ッ目!】ネ――堅いこと言わない。
― shop data ―
所在地: 東京都港区赤坂2-18-19 赤坂シャレー1F
東京メトロ千代田線 赤坂駅5a/b 出口より徒歩5分 地図
TEL: 03-3505-8584
オープン: 2006年11月
* 営業時間 *
平日: 11:00〜22:30(LO22:00)
ランチ: 11:00〜16:00
日曜: 11:00〜20:00(LO19:30)
定休日: 不定休(要確認)
2007年03月10日
# 167 Cadillac Burger's [荻窪]
荻窪といえばラーメンの町――
●でもあるんです! バーガーショップ
キャデラックバーガーズと聞けば、白黒チェッカーズのフロアに、ともすればピンクキャデラックまるごと1台ドンと置いてあるような、ズドンと大きなダイナーを思い浮かべるじゃぁないですか。ところがどうした、鳴るときゃ鐘鳴る教会通りを入ってギアを2速に入れかけてスグくらい(←例えです。あくまで"徒歩"ですから)。上記のような頭でもって行くと、確実に行き過ぎます。お向かいは洋品店と煎餅屋さんですから。
勇気を奮ってあえて申し上げるなら――やきとり屋? 小料理屋でも居酒屋でもいい。狭いのに店の半分が厨房。残り半分にカウンター4+3席とテーブル約6席。言うなれば"半屋台"的風情を湛えた米国風一杯飲み屋。
●中央線の怪
入るとあらためて狭い! 入るなり柱ですし。店内50's、60's辺のアメリカントイやら置物やら使途不明物体(世にガ○○タと呼ぶ)がゴチャンゴチャン。「ちゃんと片しなさい!」と、のび太がママに叱られるレベル。とにかく狭いヨ〜、狭い! 狭い! この「自分の部屋」的雑然の中、隣り合わせた客同士酌み交わす一献がまたヨロシ。BGM――オイオイ、小島麻由美だよ〜!! その深さたるや……
こういうお店見るとつい「中央線カルチャー」という言葉を思い浮かべてしまうのだけど、生まれも育ちも"コノ辺"という店主・千種さん&副店長両氏によれば、ぬぁんと! ひと駅ごとに文化も住む人もまったく違うというのですね――そんなこと言われたってヨソモノである私から見りゃぁ、沿線ひっくるめて「中央線」なのであって、どの駅も同じようにしか映らないワケですよ。だのに……この夜最大の驚きはコノ衝撃の事実だったかも知れない(沿線住人のみなさん! このヨソモノをどうか温かい目で見てやって下さ〜い!)。各駅異なるカルチャーの中にあって、荻窪は色の無い、文化の「空白地帯」であると2人して言うモンだから、ま、そうなんでしょう。
●帰ってきたロープライス
50's&60's、そしてプレスリーをこよなく愛する千種さんは、ミスタードーナツに11年、フレッシュネスバーガーに6年身を置いた、ファストフード業界一筋のベテラン中のベテラン。
でもアウトロー。両店を離れるきっかけとなった出来事が共通していて、要はそれまで手間ひまかけてお店でイチから作っていたものが、ある日、既に出来上がったものが運ばれてくるようになって、で、ちょっとツマラナクなったと――。だからこのキャデラックバーガーズは、手作りをコンセプトにした店なのである。
ところ変われば考え方もずい分と変わるもの。手作りを売りにする場合、普通そこに付加価値が生まれて、ヨリ高い値段で売り買いがされるものだが、しかしコノ店では材料・ソースなどを手をかけて自前で作ることによって、逆に安い値段で提供しようという、近頃ついぞ考えてもみなかった、ハッとさせられるようなその思考が新鮮だ。
「商店街価格」というのも効いているようだが、それにしてもハンバーガー¥350、チーズバーガー¥400は、私がすっかり慣れ切ってしまった昨今のバーガーの価格帯を思えば、久々の衝撃だった(コノ日のセカンドインパクト)。気軽さ、手軽さ、そして生命力(? ――ヨリ生活に密着した、活きた感じネ)といった、失われてはならないバーガーの根源がそこに宿っているように思う。
2007年03月04日
# 166 CoCochi [横浜・藤が丘]
アメリカ北西部、マウントフッド――カスケード山脈の中ほどに位置する標高3,426mのこの山は、ソノ道の人なら知らぬ者なきスノーボードのメッカである。長野五輪出場を目指す後藤麻里さんは、このマウントフッドで毎夏トレーニングに励んでいた。
●標高3,000mで食べるサンドイッチ
長野オリンピックで初めて公式種目となったスノーボード ハーフパイプは、当時まだできたばかりの新しいスポーツで(詳しくはWiki参照のこと)、とにかく国内に「いいパイプが全然無かった」ことから、その"いいパイプ"求めて、マウントフッド(Mount Hood)の麓、オレゴン州ガバメントキャンプ(Government Camp, Oregon)に文字通り「キャンプイン」するのが、後藤さんの毎年6月の恒例だった。
「北半球で夏でも滑れる」数少ない山の一つであるマウントフッドには、この時期、世界中のトッププロが大挙集結して綺羅星の如き輝きに満ち溢れる。ガバメントキャンプは、そうした世界のボーダーたちの一大トレーニング拠点として機能する小村落である。
後藤さんの定宿はハックルベリーイン(Huckleberry Inn)。ココのレストランで食べたハンバーガーの味(ユニークな名前のオムレツも6品)、そして毎朝、食パンの間に適当に具材を挟んで携え、マウントフッドの山腹で、まるで鏡のように空を映す湖面を眼下に見ながら、温かい飲み物とともに食べた標高3,000mのサンドイッチ――コレが美味しくないワケないでしょ!
究極に美味しいシチュエーションとともに記憶された料理の味は、ときにレシピを越える宝物になる。庭先のバーベキューで作るハンバーガー、家庭の朝食に登場するパンケーキ――"本場"アメリカで後藤さんが体験したものは、作り方ではなく、美味しい食べ方。カタチでなく、ニオイ。こうしたアメリカの活きた体験が、CoCochiのメニューの原点になっている。
●常に雪の上
雪のなくなる8月半ばまでマウントフッドで過ごし、日本への帰途、ニュージーランドに寄って10月まで1ヶ月ほどまた練習。帰国後は旭川などを拠点に、国内の大会を4月まで転戦し、そして6月にはまたオレゴン……と「ほぼ1年中雪の上」の生活を4〜5年の間繰り返した。ほとんど「明け暮れ」というレベル。
ある年、後藤さんは長野県・白馬のロッジにひと冬住込みでトレーニングしたことがあった。一日の大半をゲレンデで過ごすかたわら、ロッジの食堂を手伝い、夜中には翌日の仕込みをこなす――以来後藤さんは、こうした宿所や飲食店での仕事を続けてゆくのだが、中でもこのとき白馬のロッジで覚えたことが、いま大いに役立っているという。ココチ開店への伏線は既にこのとき敷かれていた。