2006年11月12日

# 158 Paraiso Brasil [横浜・鶴見]




 群馬県の大泉町で食べるブラジリアンスタイルのハンバーガーが美味しい――こんな書込みが掲示板にあって(こうたろう氏による――感謝!)、米国すらロクに調べてないのにブラジル〜? と、最初はあまり乗り気でなかったのが、調べるうち次第に興味深く思えてきたのである。

§ §

 群馬県大泉町と言えば人口の約15%が外国人(全国1位)、うち75%以上がブラジル人(つまり11.25%、約4,700人)というブラジリアンタウンとして知られる。「よく見れば……確かに!」という異国な空気の感じられる地域があって、ブラジル料理店・雑貨店などが集まっているという。全国的に見ると、ブラジル人登録者が最も多いのは愛知県の71,004人(うち豊橋市12,039人)、次いで静岡44,697人※16年(浜松市18,188人※17年)、群馬17,557人、神奈川14,630人、埼玉14,431人の順(平成17年12月末日現在。静岡県のみ16年)。出稼ぎ労働者として工場周辺に居住するケースが専らの様だ。

 で、調べるうちに「横浜の鶴見にもブラジル人が多い」との情報を得、あるいは大泉町同様のブラジル流バーガーがあるかも……とさらに調べると、神奈川県内では横浜市鶴見区が1,568人で1位、2位川崎市1,363人、3位平塚市1,332人(資料はコチラ)と、確かに鶴見は県内で最もブラジル人が多く集まっている場所であると判った――なら行ってみますか! ♪パライソの店に参ろうや〜!

 鶴見川より海側は広大な埋立地で(大正時代、浅野総一郎などによる)、道が真っ直ぐ広く、住宅地の中に至るまで区画にゆとりが感じられる。海に臨む一帯が工業地帯、戦後全国から出稼ぎ労働者が移住した時期があって沖縄料理店なども多く、玄関先にシーサーを頂く家も見られる。90年代以降外国人労働者も居住。ブラジルはじめ南米・エスニック料理店が増えた。ブラジル人が多いと言っても、見てわかるブラジル人街が形成されているわけでなく、雑貨店もレストランも町中にポツポツと点在している感じ。

 鶴見川を芦穂橋で渡るとすぐ道の両端が栄町公園、その左側公園の裏手にコノ店。通称ゴム通りから1本入った立地ながら、日本語のLEDも点滅しているので絶望的に判り難い場所ではない。プレハブ建ての様な簡易な2階建1F。骨組みだけの庇屋根に電飾が絡む入り口。仮設店舗のような引き戸を引くと中は……ポルトガル語だねぇ〜!

 店内左半分が食料品・雑貨・雑誌等の売り場、右手奥が軽食堂。時折パラパラと買い物客が訪れては何やら葡語で話し込んで帰って行く。中央に調理場があり、中にはラテン系・鼻眼鏡のお父さん。ランショネッチ(lanchonete)と呼ばれる軽食堂は、アチラの映画に出て来そうな白い壁のガランとした空間。窓が無い。席数20ほど。椅子を並べれば40は座れるか。冷蔵ケースの上にテレビが乗せてあるから、サッカーの試合でもあればきっと皆して観るのだろう……と思ったら夜は超満員! 地域の寄合い所的機能を持つ場所の様子。テレビの裏手にDVDの棚が見えるが、恐らく葡語の字幕モノだろう。ブラジル映画が充実している風でもない。BGM――無音。



 驚くべきことにバーガーメニューなる貼り紙まであって6品の品揃え。ハンバーグチーズだけの「チーズバーガー(X-BURGER)」¥298から徐々にトッピングが増して、野菜の加わった「チーズバーガーサラダ」¥452、「チーズバーガーエッグ」¥512……で最高額はチーズバーガー トゥド(X-TUDO)¥717。"X"とはチーズ、"TUDO"は全部の意で、つまり具材全部入りがX-TUDO(詳細コチラ)。本日はそのX-TUDO¥717を中ジョッキ¥390で……安っ! (※KIRINデス)

 出て来たのはコノ見た目……何? このやぶれバンズは? 正直全く期待は持てなかった。中はケチャップ、マヨネーズ、リーフレタス、トマト、ソーセージ×3or4、ベーコン、タマゴ、チーズ、パティ、またケチャップ、下バンズ。バンズはボッサリと大きいが食感・味とも悪くない。いつまでも熱をキープするタマゴを中心にケチャップ&マヨネーズが混ざってサウザンのような甘めの色付きソースを形成、カラブリア地方のピリ辛ソーセージカラブレーザの辛過ぎない旨味とカリッカリに焼いたベーコンのアクセント、脇役に回りながらも意外や及第点な質を誇るパティ、さらに細ーく糸引くモッツァレラの使い方も適確で、トマトも効果的。これだけ派手な味が並んでいながら不思議と変に偏ることなく、よくまとまっている。

 ベーコン+エッグ+チーズケチャップとマヨネーズの甘い味付け――ということで意外にも佐世保とよく似た構成なワケであるが、しかし正直ヘタな佐世保バーガーよりよほど佐世保的だった様にも思える。ベーコンとかソースとか、何か一種類の(作為的な)味だけでベターッとやられると、食べるうち単調に思えてくるものだが、しかしこうして具材のよく混ざり合った結果の味だと、飽きが来ない。考えに考えを重ねて小さくまとまったバーガーより、思うまま作ったこのバーガーの方が、見た目一切無配慮なれど素直で豪快で、ずっと魅力的に感じられる。頼んでから結構待たされたのも、これだけの中身を準備することを思えば納得である――DELICIA!

§ §

 ☆付けちゃおうかなぁ〜とも思ったんだけど、ま、とりあえず手ぬぐいで……(って☆以外無いんだけどサ)。こういうこと書くと店に失礼かも知れないが、勇気が出なくて踏み込めない日本人ビュアー諸氏のため書くと、日本語の会話は最低限通じ、日本語表記はきちんとしていて会計はじめ諸事安心です。夜は地元ブラジル人でごった返して入る余地は無いので、時間を外した方が確実かも知れない。Paraiso の"i"には本当はアキュートアクセントが付くんだけど、再現出来ず。かくして大泉町への期待はグンと高まったのである! 以下、店の人が一生懸命教えてくれたお店の情報を……。


― shop data ―
所在地: 神奈川県横浜市鶴見区栄町通3-26-4
     京急電鉄 鶴見市場駅歩13分 地図
TEL: 045-503-6466(但し日本語は不慣れな模様)
* 営業時間 *
月〜金: 12:00〜24:00
土・日: 10:00〜22:00
定休日ナシ? (要確認)


2006.11.12 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 12:51 | TrackBack(0) | ブラジル編(日本の) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月03日

# 157 FELLOWS [駒沢大学]



●ジャンクフード交差点

 駅至近の駒沢大学駅前交差点ではなく、もひとつ先の「駒沢」の交差点そば。246走ってると縦書きで「駒澤大学」と看板が見える、あの辺り。この交差点付近、ジャンクな飲食店が実に多い。十歩歩けばラーメン屋、また十歩と行かぬうちに別のラーメン、お好み焼き、鉄板焼き……しかもどこもワンサカ客入ってんだよねぇ。特にFELLOWS(フェローズ)。と同じ建物で「真裏」の関係に当るギョウザ屋など、イスの上に胡坐かいてジョッキ傾けるオッサン連の姿など外からよく見えて、コノ客ごっそりバーガーに移動しないかなぁ、なんてつい……。

●日曜大工


 かなりシブイ立地である。交差点に面したビルの裏側壁面にへばり付くようにして在る。しかも直角三角形の鋭角を切り落としたような狭隘・変形な敷地(それを台形と言います)。しかしこの悪立地をキャンバスに見事な世界観が構築されている。

 店内カウンター4席、テーブル4席。席を詰めていないため、かえって広く見える。基本的にはスケルトンの店内に木のベンチ、木のカウンターなどをおもむろに造り付けたカフェな造り(こういうの何て言うの?)。

 特に目を引くのは、炭火焼きの煙を屋外に逃がすブリキ製ダクトの見事な空中配管。白い壁にはバーガーに当たり矢の図……そば屋じゃないんだから。外は8人は掛けられるかな? 大きなベンチを中心に立派なウッドデッキ(※その後屋根付きのテラスに変身)。店内外ともDOG OK――なので奥に座るお客さんの膝の上をよ〜く見るとワンコが一匹、こちらに向かって確かに舌を出している。これら内外装とも粗方マスターが独りで手がけた。デザインも無論マスター。

●THE BURGER STAND

 ブラジルに在住中、港町のカフェというか朝のスタンドの光景に強く惹かれたという。


 買い求めた朝食の包みを手に職場に向かう者、或いはスタンドにもたれてミックスジュースと揚げパンで思い思いの朝食をとる者――あらゆる労働者がひとつ止まり木に隣り合わせ、相交ざり、カウンターの奥では太っちょの店主が次々入る注文に悠然と応じている。気忙しさのない、しかし生きる力に溢れたブラジルのスローな朝の風景――と聞くだけで光景が目に浮かんでくるようだ。「THE BURGER STAND」というサブタイトルには、そんなブラジルのスタンドへの憧れが注入されている。

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posted by ハンバーガーストリート at 12:22 | TrackBack(2) | 帝都編◆都西 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする