2006年06月23日

# 135 BIG SMILE [茨城・取手]



 利根川を渡ると茨城県である。常磐線で茨城県内最初の駅は取手(とりで)である。その取手から関東鉄道常総線という私鉄が走っている。その関東鉄道に乗って5駅目、戸頭(とがしら)という駅がある。

●戸頭

 戸頭は取手に次いで常総線第2位の乗降客数を誇るベッドタウンである。戸頭からさらに2駅乗ると守谷駅があり、此処は昨年開通したつくばエクスプレスと接続している。本気でぶっ飛ばすTXのおかげで、戸頭から都心へのアクセスは飛躍的に良くなり、上手くすれば47分で秋葉原まで行くことができる(駅探調べ)。


 諸々入れて1時間。常磐線周りでも1時間10分。戸頭はじゅうぶん都内への通勤圏なのである。私の今の通勤時間が1時間30分である。渋谷までならば乗車時間は1時間弱だろうか。つまり私の現住所、神奈川県相模原市と茨城の取手市は、都内へのアクセスにおいてほぼ等距離ということになる。ともあれあのスピード狂の威力は絶大。

●黄色いキッチンカー

 改札を出て南に歩くとまず公団戸頭団地。間の遊歩道を抜けると住宅街に出る。戸頭駅開業が'75年、団地の竣工は'77年。ちょうど木内監督率いる取手二高が甲子園に出場し始めた頃だ。なので30年を経た街である。落ち着きがある。静かである。のどかである。さすがに郊外だけあり、家が大きい。


 車道に出て、さらに南。と、前方に昼間からエライ混み様のベーカリー……帰りに寄ってみようと思いながら、寄りそびれた! もう少し歩くと、1階に店舗が3店ほど連なり2階は貸室が3部屋で1棟という、こうした住宅街の外れ(オワリとも言う)に必ず見かける建物の、一番向こうの店の前に目にも鮮やかな黄色いキッチンカーが停まって見える――ハイ、本日のお目当てはコチラ。

 このキッチンカーでハンバーガーを焼いている。ハンバーガー¥650にホットドッグ¥500、あとはトッピングという考え方の様で、テイクアウト用のメニューは至ってシンプル。トッピングチーズは¥100なのでチーズバーガーは¥750。本日はさらにパイナップル¥50をトッピング、締めて¥800。ソースは4種類から選べる――バーベキュー/テリヤキ/レッドホットチリ/スイートチリ……ってコレ、人形町のアノ店と一緒じゃん!! そう、実はコノ店、かつて「BROZERS'」で働いていた倉持さんが昨年1月より始めた店なのである。

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2006年06月18日

# 134 TOM・BOY [中央大学・明星大学]


中央大学生活協同組合多摩店食堂
TOM・BOY



 言いたいこと多数につき、今回飛ばし気味で――。

 中央大学の学食はなにしろ有名だった。その辺りの様子が手に取るようによくわかるページを見つけたので(無断で)紹介しておきます(教授、有難うございます)。PDFですが、是非是非ご一読を。

 生協はその会員の生活をサポートするのが目的なので、部外者があまり積極的に利用すべき場でもなかろう。どういう機会なら利用が叶うかと考えていたところ、中大OBである友人が大学近くに住んでいることに思い至った。待ち合わせの場に多摩キャンパスを指定し、友人宅を訪ねる前に彼を案内手にして初・学内、足・踏み入れ。よっ! 多摩丘陵っ! と掛け声が飛びそうな見事な傾斜地を大胆に使ったスケールの大きなキャンパス。辺り一面豊かな緑、其処彼処に憩いのベンチが設けられている。こんなところで筑紫哲也と対談でもしたら、さぞや話の弾むことだろう。

 以下さらに飛ばし気味で――。生協の入る建物は「ヒルトップ」という。サイトの案内図ではヒルトップ'78。Gメン'75、カルメン'77、エアポート'77……この時代こんなネーミングが流行りだったのか。地図をよく見ると、ヒルトップの背後にヒルトップトンネルなるトンネルの記載……ヒルトップなのにトンネル……ハンバーガー隧道並みに変な名前だ。ちょっと聞いた話では、このトムボーイは「初めからあった」らしい。「初めから」とは多摩キャンパスが開校した'78年からととれるが、「ファーストキッチン」が創業したのが'77年9月なので、それに比肩するファストフード界の隠れた古参ということになるか。仮に初めからでないにしても、少なくとも20年続いているのは確からしい。中央大学は法曹界のみならずバーガー界においても重鎮だったのである。

 注文は現金。トレー無し、すべて紙袋に入れて渡される。その紙袋とバーガーの包み紙には驚くべきことにショップのキャラクターが印刷されている……本式、いやソレ以上。ひょっとすると「今や著名なデザイナー」の「かつて手がけた仕事」だったり……。ちょうどソフトクリームのNISSEIの、男の子と女の子のキャラ(ニックン・セイチャンって言うんだヨ)を掛け合わせたような感じで……って、頭上のお下げみたいなのはどう解釈すればよいのだろう……BOYじゃないの?

 バーガー類6品、うちホンモノのバーガーは2品。他にチリチーズドックにソフトクリームにジェラート。トムチーズバーガーは単品¥170、ポテトとドリンクのセットで¥280って安ぅ〜!! 生協の本領炸裂。まぁ要は購買でラップに包んで売ってる惣菜パンのノリなのだが、違うところはまず温かい保温ケースの扉の中にチーズバーガーずら〜り壮観! 包み紙開けると裏向きにバーガーが出て来るのはマック式? バンズは伊藤パン(って別に食べて判るワケじゃないのヨ)、白ゴマの載った毎度お馴染みの〜。裏マスタード、レタス数枚、その下にピクルス、偏った位置にケチャップ、チーズ、パティ、下バンズ。

 パティはのっぺり茫洋とした感じのハンバーグだが(タマネギ入り)、厚みがあり、コゲもあり、それこそ学食のハンバーグ定食に出て来そうな隆々として逞しいモノで、なかなかどうして及第点。この面子でゆくとツンとしたマスタードの辛味と同じくツンとしたピクルスの酸味が幅を利かすことになるのだが、溶けないチーズもかえってしっかり存在感を醸しているし、食べても減らないポテトとドリンク合わせて¥280でしょ? 280円なりのモノとして十二分に満足のゆく内容に思えた。

 結局のところ、払った金額に見合うバーガーかどうか――というところが最も重要なのであって、単純な高い/安いの問題では片付かないのが今のバーガーブームの良い方の本質である。……エッ? 悪い方は? そりゃあ、今後ますます発生するであろう、ブームの名を借りただけの、高いばかりで質の伴わぬバーガーたちのコトですヨ。

§ §

 午後3時の学食は現役学生諸君で賑わっている。彼らの止め処ないお喋りが高い天井にすべて跳ね返り、食堂内は実体以上に騒がしく、ざわざわと揺れていた。遠くで男子学生が格闘するそばの盛りの量のまた多いこと! これぞ学食! 結局1階より上には上がらなかったが、どうもスエヒロとマックは今は無くなっている様だ。教授も書くとおり、よほど経営が厳しかったのか。

 そんな中でも多摩キャンパス伝統のハンバーガーショップの味は不変。世のバーガーブームなど何処吹く風、今日も明日も、きっと20年後も同じ場所で同じ味を変わらず続けていることだろう――かくして、「TOM・BOY」を知らない中大生はも○りということでOB・OG各位、よろしいでしょうか?

2006.6.18 Y.M

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2006年06月07日

# 133 BREAD & COMPANY [表参道]



 デンマーク産サムソーチーズを載せたチーズハンバーガー……デンマークとくれば……そう!コノお店はアンデルセンが昨年12月に始めた、パンが主役のレストラン



 パンが主役というのが画期的。と言うか、そういうことはやはりアンデルセン辺りがやらないと説得力が出ないのでしょうね。お料理におけるパンは常に脇役なワケでして――例の「セットにはパンかライスが付きますが……」ってヤツです――それがココでは主客がひっくり返って「パンに合わせておいしい料理」を考えるという、つまり「何をのせれば美味しくパンがいただけるか」「何をぬればパンが美味しく引き立つか」――そんな常とは180度転換した発想からつくられたお店なワケで、もぉパン党には全く以ってたまりません!最高っ!――ハイ、わたくしパン党ですから、もぉ〜最高っ!!しかも「全てのお料理に、窯から出したばかりのバゲットをご用意」ですよ!焼きたてですよ!焼きたて言うても、ただヌクめてんのと違いますよ。成形したパン生地を窯に入れて焼く――その焼きたてですから(解るて)。そこまで聞けば頼むものは絶対にバゲット赤ワインでしょ?ネ?絶対そっちだな……と思いつつ、次は絶対バゲットと赤ワインにしたる思いながら、今日はお決まりのチーズハンバーガー\1,100(WEEKDAYはTEA TIMEのみの様な)。お供にアイスハイビスカスティー\650。



 名前が付いてないのがホントに不思議なこの通り(←ずい分調べたんですゼ)。和風らーめんのだるまやにインド料理のゴングル、欧風菓子のクドウ(南林間が本店)など老舗が軒を連ねるコノ細路地へ、青山通りから曲がり込んですぐの所に在る「ココ……むかし中華だったっけ?」な建物が、そっくりコノお店に変わっている。コノ辺の数軒の店はエントランスと言うか、前庭のような空間を細路地に面して持っていて、ソコを使ってテラスにし、窓を開け放ってオープンエアにしている。外壁はタイルを引っぺがしたままの様な状態、中は所謂スケルトンの状態に壁・天井を白く塗ったり、ボード張ったり、モダンなダイニングテーブル並べたり照明落としたり。色の選び方がどれも落ち着いていて、好みなセンス。んで1Fど真ん中にオーブンがドンと。スタッフは黒いシャツに黒とグレーのチェック柄のソムリエエプロン姿で、なかなかピシッと決まってます。



 で、バーガー。付け合せはライトなドレッシングのかかったサラダと、クア・アイナの様な衣の着いた細身のフレンチフライ。明らかに食事なお皿。バンズは表面ツヤなし、例えるならフランスあんぱんの様な見た目と皮の硬さが特徴的。身はパンオノアのような……例えが難しいが薄小豆色?な色した生地で、非砂糖の微かな甘味と心無しかの酸味があって、やはり特徴的。表裏とも網目に焼跡が付いていて、特に裏はよく焼かれている。中はトマ、ソテードオニ、チー、パティ、下バン。サイズは一見小ぶりなれど、バンズがふかふかしていないので密度が高く、かなり食べ応えがある。カリッとコゲ目の香ばしいパティもバンズに合わせたようにギュッと高密度で、バーガー全体としてもズシリと重量があり、結果的に密閉率が増すのか内部の熱が保たれて、最後のひと口まで温かくいただけた。トマトがぬるくないのがポイント。ソテーしたオニオンがまた甘くてねぇ〜



 あぁ、こういうバーガーね……と決めて掛かるのが難しいバーガーだった。味付けは極めて自然で淡白。でも味が無いのではなく、その一見何も無い様に見える空間は、実は特別強い味を持たない"見えない何か"によって埋め尽くされている……というクセぶり。その"何か"こそバンズの味であり、チーズの味なのです!サムソーチーズがネ、また物凄〜く表現に困るんだけど、オモテ立った味は殆どしないんだが、でもジワジワ地味ぃ〜に効いてくるコク?滋味?ウチ帰ってバゲットに載せて食べたら美味しかった〜!バンズやオニオンのチョイ気になる酸味や甘味がチョイチョイ顔を覗かせて、アイスハイビスカスティーも正体不明の酸味を放ち、終始気を引く酸味に囲まれながらのお食事でした。バゲットとエピは店のオーブンで焼いてるんだけど唯一バンズのみ、アンデルセンの店舗で焼いていて、しかも……売られてません。非売品!アンデルセンバーガーと同じかな……と見てみるとまるで別物。私は今回のヘヴィ級のバンズの方が好きです。BGM――ジャズ/クロスオーバー系。これは絶っっ対、誰かと赤ワイン空けたいお店。誰か行かないかなぁ〜


2006.6.7 Y.M

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2006年06月02日

# 132 Windjammer [横浜・石川町]



 今日は横浜のJazz Cocktail Loungeに来ています――イイネ、この導入。

 中華街、石川町の駅へと至る西門通りのちょうど中ほどに位置。各所で紹介されているので基本説明は引用で――「大型帆船を象ったBARです。JAZZの生ライブを平日5回、日・祭日4回演奏しております」「ウィンドジャマーとは帆船という意味。カウンターの板や、オブジェとして飾ってあるオールや舵輪は、実際に使用していた船を解体して再利用したもの。渋〜いムードで聞くジャズはまた格別……」とまぁそんなお店。

 大型帆船の甲板や舳先でなく、船内に籠もってジャズを聴いているイメージで、上下四方を完膚無きまで"木"で囲まれたこのカプセル感が……たまんないんだなぁ〜!現在地を忘れること請け合い。

 渋〜いジャズと聞いて、何か眉間に皺寄ったものを想像する向きもあろうが、そこまでシリアスな感じはコノ店にはなく、中華街という場所柄か、何かちょっとキラキラとした遊び心も覗かせつつ、意外と重くない打ち解けた空気の中で、みんなしてわいわい楽しくやってる感じ。ちょうど季節柄オモテの扉が開け放たれて、通りの賑わいまで店の中に入り込んでくる。ふらり迷い込む客の着こなしも華やかだ。

 冬場は冬場で締め切った感じの暖かさがまた堪らなく良い雰囲気に違いない。何だか吸い寄せられる魅力が在りますナ。独りでグラスを傾けるもよし、大勢で来て盛り上がるもよし、どちらもいける便利なお店。2Fはウィンドジャマーワーフになっている。こちらもJazz Cocktail Lounge

 店奥のカウンターに囲まれた一角が一段上がってステージに。演奏のないときはヴォーカルものがゆったり流れて、お酒な雰囲気たっぷり。炭焼きキャンプテンズバーガー\1,350、キューバリブレも普段飲んでいるのより数等美味しくて、ひと口目からクラクラ来てしまった。とにかく……久々に大きさで驚いたバーガー。

 ご覧の通り網跡鮮やかな炭焼きビッグパティが、帆船の渡る大海原よろしく、ダダっ広ーくビヨーンと伸びている。厚味はさほどでも。バンズはツヤなしオモテ何もなし、平たーくて、これまた果てしない。裏マヨネーズ、フリルレタスが来て、トマトと白い輪切りオニオンが2組ずつ――きっと酒の肴に何人かで取り分けたりもするのだろう。あぁ、トレーダーヴィックスも×2の作りだったな(あとMOS's-Cも)。酒場のバーガーには何かこうした鉄則でもあるのだろうか。

 パティの下にはケチャップ、下バンズ。味は分かりやすい足し算で、炭焼きの香ばしい匂いを感じながら、ひと口またひと口と大海を制してゆく感じ。そうそ、季節も良いのでタマネギが甘く、口当たりは悪くない。目指す大陸は何処(いずこ)……というくらい、このバーガーの量はとにかく果てしない(ま、今回チーズ載せなかったしネ)。航海の途中……と言うか、港を離れてすぐ、手はドロドロにまみれ、アレアレ……と思っていたところに、折しもピアノトリオの1stステージ……繰り出す軽快なスウィングビートに、もぉノリノリッ〜!食べるピッチもズンズン加速。コルコヴァード聴きながらユラユラとバーガーの海を平らげた。

 ヤー、結局のところ演奏にヤられたね。音楽こそ最高の食事の供。チャージ\300でこんなにリッチでグルーヴィーな気分に浸れてしまうんですから。付け合せもポテトサラダにピクルスの盛り合わせと、なかなかお得。

 聞けば"キャプテン"の上にさらに"司令官"なるバーガーがあるそうで、もうそうなりゃ3〜4人前なんでしょうネ。'72年のオープン当初からハンバーガーを置いていたのかどうかは聴きそびれたが、名物的位置付けで今も大活躍している。2,000種類に及ぶカクテルとゴキゲンなジャズ、そして何よりこの息を呑む船内の空気の中で過ごす横浜の夜は堪らなく贅沢だ(帰りたくないヨォ〜)。クセになるネ。通りの喧騒から店の中に一歩足を踏み入れた、アノ瞬間が一番ドキドキする。

 オォ……!今日6月2日は横浜開港記念日

2006.6.2 Y.M

ウィンドジャマー ダイニングバー / 石川町駅日本大通り駅関内駅
夜総合点★★★★ 4.0


posted by ハンバーガーストリート at 16:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 横浜編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする