2006年04月27日

# 125 Eat Heaven [赤坂]



 最寄駅――乃木坂……いや、赤坂?でもビミョーに乃木坂か……ってまたやってるよ。この辺、ホント判定が難しいのである。ま、どっちからでも近いは近いんだけどね。千代田線両駅の中間、赤坂小学校(旧・桧町小学校)の辺り。どちらか言うと近隣オフィスのお昼の空腹を満たし、午後の仕事の質を高めるお弁当屋さんといった感じの立ち位置。メインはデリバリー。イートインもあるにはあるが、休憩室の机椅子といった風のソレが申し訳程度に10席ほど並べられているだけで、「お店で食べている」と言うよりは厨房の片隅で賄いをいただいている風情の店内。壁も梁も随分単純な壁紙を巡らせて、インテリアらしい工夫というものはまるで廃されている。そしてそこら中にうずたかく組み上げられたデリバリーの箱また箱――何だろ……原状回復せずに出て行った前のテナント跡をとりあえずそのまま使って弁当屋を始めてみたところ、予想外に忙しくなって改装どころじゃなくなっちゃたまま、ズルズル……みたいな雰囲気かな?あんまり適当なことばかり書くと、いい加減お店に怒られそうだが、別に悪気があって書いてるわけでなく、とにかくエラク奇異な体験ができることを強調したかったのである。これまでにない妙な空間……。繰り返すが、メインはデリバリー。イートイン"も"できる。BGMはゴーゴー唸る換気扇の音と細木数子のTV番組。そう、義理堅く――チャンネル☆ロック!TBS


 しかしこんな作業場チックな殺風景な店内から、こんな魅せるバーガーが出て来るとは誰が想像しよう……


 チーズバーガー\900、フレンチフライandオニオンリングorサラダ付。一緒に頼むとドリンク\200。赤い厚切りトマトのテーブルの真ん中に甘いピクルス1枚載せて、マスタードで黄色く渦巻きを描いた愛嬌あるフェイス。その下は生オニ、マヨ、レタ、ケチャ、チー、パティ、下バン。とにかくヨコに大きいバーガー。バンズも幅広、表面白ゴマ、ツヤはあるが細かーく皺の入ったシャリ系の皮。裏こげ目。下バンも同様な直径で実に安定感ある見た目だ。そしてさらに驚くのは、パティがこの大ぶりなバンズにぴったり円周を合わせてきていること――これは相当なボリューム!ミンチをギュギュッとしっかりしっかり固めたこのパティ、噛み締めると心地好い歯応えがしっかりしっかりと返ってくる、安心の逸品。メインはマヨネーズとケチャップの甘い味で気持ちよくまとめ上げられた野菜陣なのだが、こうして心置きなく野菜が活躍できるのも、このしっかりとしたパティの下支えがあってこそ。軽く塩コショウを振った程度の地味目なパティながら、他の具材を引き立てることにおいて、その存在感を如何なく発揮している。野菜はどれも良質。中でもレタスは「折り畳まれた」と言うより包み込んだと表現するのがふさわしい、特殊な畳み方。付け合せのサラダもツナがゴッソリ盛られて、これだけで中々なボリューム。甘い中にも鼻梁の通った、案外と爽やかなバーガー。ウェンディーズ党なら支持間違いなし!シン=フェイン党ならどうだろう……



 Homework'sスッキリシャッキリした味に通ずるところアリ。あるいはその流れを汲んでいるかも知れない。あまり適当なことは書けないが……とか言いながら写真を比べるてみると、Homework's ともFranklin Ave. とも具材の積み方が同じなのである。ほぼ間違いなく此処に一派があるナ……と確信の色を濃くした次第(Homework's とFranklin Ave. の関係は知っているが)。バーガー12種、サンドイッチ15種(バーガーは数で必ずサンドに負ける)。と言うワケで「赤坂」と聞いて想像される、アノ界隈からは離れたところではあるのだけれど、商店会的にはコノ辺りも赤坂なようなので、最寄駅赤坂ということで決着させておいた。ちなみに冒頭の旧・桧町小学校(現・赤坂小学校)は、『ウルトラQ』第6話「育てよ!カメ」(1966年2月6日放送)のロケ地に使われたとの情報を入手。制作:円谷プロ、放送はもちろん――チャンネル☆ロック!TBS


2006.4.27 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 12:34| Comment(4) | TrackBack(1) | 東京編◆東部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月24日

# 124 MARDIGRAS [横浜・たまプラーザ]



 何事にもライバルという者は存在する。南口の住宅街に忽然と姿を現わす一軒家トルバドールと対を成すかのように北口に在るのが、このマルディグラである。

 「MARDIGRAS」とはニューオーリンズのお祭りの名前であることが、お店自身のサイトを除くWEB各所に説明されているが、コノ店の構えはトルバドールのウェストコースト調に対して、南部の香りを強く匂わす、丁度ゼストのようなコンセプトである。そう、まさにゼストに匹敵する徹底したインテリア、見事な空間演出。

 マンション1Fのテナントなのだが、その赤レンガタイルの外観が、コノ店の部分だけびっくりするくらいに世界が違っている。過去に訪ねた店ではSTOVE'SFIREHOUSEが同様な赤レンガタイルの建物に収まる条件だったが、店の前に立ったときに感じる異世界度はそれらの比ではない。きっと建物1Fの全面に亘り外装を施しているのが効果として大きいのだろう。

 中はワンフロアにして非常に広く、2店舗分の面積を使っているであろうたっぷりと贅沢な空間の取り方で、羨ましい限り。かなり頻繁にライヴが行なわれている様なのだが、この広さならステージも客席も楽々とセッティングすることができるだろう。本当に羨ましい限り。

 渋い色の木のフロアに薄い水色のテーブルクロスを掛けた丸テーブルと、よく見るとデザインのバラバラな椅子が無数に並べられている。天井を飾るギター、バドワイザー、あとボトル……(嗚呼〜!あの天井の酒瓶のバルーンは一体何という酒なのだ!酒飲みでないから判ら〜ん!!)。羽と首飾りが其処彼処に懸かる。BGM――ちょい南のちょい荒いロックが、ちょい心に染み入るちょい渋さ。

 チーズバーガー\850、付け合せにポテトどっさり。一見どら焼き状の平らなバンズ、表面何もなく不思議な皺の寄り方。裏バター、細長く切ったシュレオニ、トマ×2、緑濃いサラダ菜、どこかにソース、チー、パティ、下バン。そしてバンズ頂上にスッパ辛〜いピクルス!どら焼き状バンズは食べると豚まんの皮に近いウェットな食感。豚まんと言うかこの場合牛まんですナ。パティは極めてやわらかいハンバーグ、静かにかかるソースと薄ーく伸びて縮んだチーズでおとなし目の味付け。

 テーブルチャージが午後10時まで\315、それ以降\525。平日は午前4時まで、週末は5時までやっている。こんなゆったり広ーい店で好きな曲を好きなだけかけることが出来たらなぁ〜と、久しぶりにそんな思いに駆られた店。


※2008年12月末日をもって閉店。10年続いたお店……そして実は「ハンバーガーまた食べに来てくれ」と誘われていたのですが、ついに果たせずに終わってしまいました。東横線の綱島に「BLUE CORN CAFE(ブルーコーンカフェ)」なる姉妹店があるそうなので、お詫びのしるしに近く訪ねてみたいと思います(2009.11.23)


2006.4.24 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 18:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 横浜編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月17日

# 123 GORO'S☆DINER [外苑前]



 これほどまでの実力がありながら、どうして常にこの程度の客の入りしかないのだろう。立地の為せる業なのか、夜はいつ行っても空いている――。

●キラー通り

 外苑西通り、その一部に「キラー通り」という異名が付いている。なぜその名が付いたか、意外にもオフィシャルな見解というものが見つからず、名付けたのはデザイナーのコシノジュンコで、しかし命名の真意は不明……という、そんなスッキリしない情報しか得ることが出来なかった。

 いつも何やら不思議な活気を感じる通りである。広過ぎる青山通りと比べ、道幅が自然に感じられるというのが一番の要因かも知れない。車通りもそこそこ多いので、絶えず何かが肩口近くで動いている感じがして、それが商店街的な賑わいに置き換わって認識されるという、そんな理屈だろうか。

 通りからさらに静かな脇道に折れると、その中ほどに構える本当にちょっとしたお店がココ。席数にして10ほど、それもウンと引っ付けて並べた10席。所狭い店内からは、無用な装飾を極力排した、ある種の"機能美"のようなものが感じられる……やも知れない。自室に籠もっているかのようなトイレが秀逸

●FUNGO

 平日は夫婦2人に若きパティシェ"タカちゃん"、土日は利発そうなお子さん2人も加勢(イヤ別におべっか使っているワケでなく、事実をお伝えしている)。黒板の文字は店主の妹サン書。店主は三宿の「FUNGO」で店長を務めていた(ちなみに駒沢大学「AS CLASSICS DINER」の店主は、GORO'S店主の次の次のFUNGO店長)。なのでだろう、Sandwich & Burgerと、常にサンドイッチが先にくる。

 FUNGOのメニューと比べてみると、なるほど共通点多々。しかしこの北青山にあって、三宿の古巣の値段よりも常にちょっとずつ安い価格設定にしているというのは実に涙ぐましい心掛けで、何だかもうそれだけで応援したくなってしまう。プレスリー辺りのロックンロールが流れる中、一曲だけ8分の6拍子のイイ感じのバラードが流れたんだよネ……「SLEEPWALK」だと思うんだが。

 FUNGOは海を思わせる爽やかな青がトレードカラーになっているが、ココは強いて挙げればなどの暖色系か。ロゴデザインに統一性が無いのが難だが、オレンジのチェックのテーブルクロスなど(現在黄色)、全体にどこか憎めない可愛らしさがあって、やはり町の食堂的な、打ち解けた感じで接するのが正しいアットホームなお店。


続きを読む
posted by ハンバーガーストリート at 22:52 | TrackBack(3) | 東京編◆西部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月15日

# 122 CATOOYA [国分寺]



 よく雨の降る夜だった。冷たい湿気を帯びた息苦しい空気の中、JR中央線を国分寺駅で降りて北口に出た。徒歩2分という地図に従い飲食店街の一角に吸い込まれてみると、そこはパブにスナック、さらには黒いロングコートに身を包んだ所謂ポン引き諸兄が道を固める小歓楽街だったのである。意思に反してこんな通りに入り込んでしまったことにまず戸惑い、かつ駅歩2分の店がまるで見つからない状況に焦りを覚えながら、しかし気付けば早くもこの界隈をざっとひと回りしてしまったところだった。成果ナシ……降り止まぬ雨を避けるため、とりあえず目印にしていたコンビニの軒下に駆け込んで、夜の街をあらためて見渡してみると、粗方の店がとうにシャッターを降ろしている――これでは仮に店が見つかったとしても、きっとやっていないだろう……と半ば心の中で帰り支度を始めながら、それでももう一度地図を出して見てみると、現在地のすぐ傍に一本の筋があって、その中ほどに店の所在地を示すマークがされているのである。はて、こんな道さっきあったかな……気付かなかったことを不思議に思いつつ、これがラストチャンスとその暗い路に分け入ってみると……あたっー!ステンレス製の扉の向こうからおめでたいディスコビートが聴こえてきたときには内心ホッとしたものだ。明るく健康的なお店のイメージからは到底想像できない、飲み屋街に奥まる細路地裏のマンション1階。



 入ると奥にバーカウンター、手前はイマドキのカフェラウンジ風にダイニングテーブルとソファがくつろいで配置されている……これだけ長いことコノ企画をやっていながら、いまだにひと目見て「このインテリアは○○風」と言えないのが情けないが、しかしシンプルで機能的なこのモダンな家具のテイストは、見る人が見れば北欧の誰々の流れを汲んでいるとか、○○の何年ごろの作品を意識しているとかどうとか、きっと面白い話が止め処なく出てきて興味の尽きぬこととは思うのであるが、しかし今回はページの都合上、それらについて触れるだけの余裕がないのが誠に残念である。



 1バーガー1枚、大きなクリップで止められたカード式のバーガーメニューが手渡される。このメニューのイラストもなかなかだ……嗚呼!アフロヘアのこの上なくよく似合うこのイラストのタッチ――コレを見て私にコレのオリジナルはどこの誰と、即座に答えられるだけの知識があったなら……!!きっと然るべき人を連れて来て語らせれば、この画風を生み出したイラストレーターにまつわるエピソードやデザイン史的位置付けなどについて淀みなく説いて聞かせて、大いに盛り上がるだろうことは疑いないのだが、先を急ぐため、残念ながらそれらはまた別の機会に譲らざるを得ない。



 ベーコンチーズバーガーレギュラーサイズ\980、お相手にハウスワインの赤を。バンズはやわらかいホワイトと固いグラハムからホワイトを選択。キィニョンさんが作る、ややドライでライトな扁平バンズは表面白ゴマ、裏にバター。以下ピク×3、グリーンリーフ、熟れたトマ、生オニ、ベー、チー、パティ、下バン。野菜は最初は外に。よく焼けた皮がシャリシャリと砕けるバンズは、実にしっかりとした立派な骨格を有していて、これならどんなに重たい具材を積んでも簡単には壊れそうにない抜群の安定感。このバンズのシャリと甘味がリードする中、生オニオンもシャリシャリとした感触を歯に伝え、フルーティな甘さのピクルスがよく効いている。パン粉・玉ねぎを混ぜたパティ――これはモスの匠味を凌ぐなめらかさである。相当にキメ細かい。そしていつまでも温かい。そして確かに塩味。中ではベーコンが地味な存在だった。細やかなパティの食感が印象的なバーガー。BGM――サンプリング多用のクラブ系がときに悩ましく、ときに物憂く。



 このバーガーの最たる特徴である、がっしりと安定感のあるバンズを提供するキィニョンさんは、'02年に南口にオープンして以来、地元の熱烈な支持を得る名パン店である。そのアーティスティックな店構えといい、険しくも華々しきパン職人人生を歩むシェフが生み出す傑作パンの数々といい、取り上げればそれこそ町のパン屋の一大繁盛記として、読み応えのあるストーリーが描けることは火を見るよりも明らかなのだが、しかしそれはこの企画とはまた別のコンテンツとして上げるべき記事であって、割愛しなければならないのは甚だ残念である。ちなみに今回繰り返し登場するコノくだりは、国分寺への移動中に読んでいた筒井康隆の『富豪刑事』に繰り返し現われる意味の無い「断り」を真似たもので、読んでいてあまりにも無意味だったものだから、つい私にまで伝染ってしまった次第。>筒井センセイ、解毒剤を下さい!


2006.4.15 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 10:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京編◆西部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月10日

# 121 Forest [埼玉・中浦和]



 引き続き埼玉より。中浦和という駅で降りる――

 JRで「浦和」と付く駅はなんと7駅「浦和」「東浦和」「西浦和」「南浦和」「北浦和」「中浦和」「武蔵浦和」……わかんないヨッ! ある種の悪意をすら感じるこのネーミング、こんなことになるのはよほど浦和という名の土地が広範囲に亘っていたか、よほどその市域の中で地区・地域が細分されていなかったためか、あるいはよほど浦和の名を世に知らしめたかったか……そんなことしか思いつかない。東京近郊の鉄道路線図を見渡しても、同じ地名がこれほどまでに多用されている例は、この浦和をおいて他に無い。しかも――これだけ路線図上で幅を利かせておきながら「浦和」という市は最早存在しないのである……

 中浦和という駅で降りる。普通、駅を降りるとロータリーがあり商店街があって、それらを総称して「駅前」と呼んだりするのだけれど、コノ駅は、高架駅から地上に降りるとすぐ住宅街ののんびり静かな空気が迫ってきて――ファミレス、ボウリング場など数店が在るにも関わらずである――駅前と住宅地との"境"を極端に感じない駅だった。駅前が開発されていないとも、あるいは住宅地のド真ん中に駅が造られた――とも言えるか。

 3分も歩けば別所沼公園。そのすぐ向かいに在るお店――という話なのだが、公園と店との間には二車線道路が走っており、しかも案外と交通量が多いものだから、公園と地続きという印象でもない。一切の枝を刈り落とされて、まるで鉛筆のように直立するメタセコイアの木が、今にも降りだしそうな灰褐色の空をバックに無機質な風景を造り出している。

 背後に12階建のマンションを従えた古い4階建ビルの1F。メタセコイア同様、かつては殺風景であったろう店の入口には、カーポートの上にまさか自作……? かも知れない立派なウッドデッキが造られて、公園を眺めながらお茶のできるテラス席になっている。店内入るとまずカウンター。床はオレンジ色の焼きタイル"風"リノリウム。壁の木材をフォレストグリーンに塗り、店名が如くエコでナチュラルなイメージが広がる。BGMもアルファ波誘発系、サントラティックなオーケストラ。

 チーズバーガー¥260(安っ!)。ちょっとしたバスケットの中に傾いて登場。実にちょっとしたバーガーである。可愛らしいという形容が相応しいサイズと丸み。表面何もないツヤツヤバンズ、裏マスタード、マヨネーズ、ドミ系ソース、レタス、チーズ、パティ、下バン。裏がサックリ焼かれたバンズは見た目にも想像できる甘い味。ドミ系と言うかハッシュドビーフみたいなソースとマヨネーズの味がそこに乗り、全体にも甘めの構成。中でもソースの支配率が高い。パティは繊維質ぎっしりでしっかりした噛み応え。

 きのこバーガー¥300はソースにサウザンドレッシング、レタス、刻みオニオン、パティ、胡椒がはっきり効いたしめじ、下バン。やはりソースのハヤシな味を中心にした、甘めバーガー。いずれも、その中でかっちりとまとまった印象を受ける。小ぶりながらもこの値段――バーガー9品はすべて¥320までに収まる多分こどもからお年寄りまで、幅広くたくさんの人たちに気軽に食べてもらいたい――そんな思いから抑えた価格設定にすることを考えたのだろう。そしてその設定の中で作れるサイズはコレだった――というまず価格ありきで、後から決まったサイズであるように思われる。2つくらい平気でいけてしまう、手軽なちょっとしたおやつ感覚のバーガー……そう、値段といい雰囲気といい、世田谷の「ERIC'S HAMBURGER SHOP」を思い出す。

 ハンバーガーショップを志す人の中には、例えば「OATMAN DINER」のマスターのように本場アメリカの豪快なバーガーに惹かれて始める人と、ファストフードな業態に……と言うとチェーン展開を想像するので、この場合「形態」と呼ぶのが適当か? ――とにかくファストフード店のスタイルに強く憧れて自分でもやってみたいと思う人と、大別して2種類いるのかも知れない。コノ店は後者に当てはまる。

 まずレジで注文し、代金を払ってから席に着く。バーガーは店員が席まで運んでくれるが、帰りは客がセルフで下げる――。こんな小さなお店ながら、ファストフード店同様なゴミ箱(フタがスイング式の。しかも木製)があり、バーガーの包み紙には「チーズバーガー」「きのこバーガー」とひとつひとつラベルが貼ってある。そんなディテールまでもきっちりスタイルを踏んでいる辺り、この店は「海賊島ハンバーガー」以上にファストフードである。男子2名、厨房の奥に静かに控えている辺りは、やはりエリックスと像が重なる。と言うコトで当企画ではあえて埼玉版エリックスと呼びたい。公園を散策した後のちょっとした足休めの場にふさわしい、埼玉のエリックス


2006.4.10 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 20:20| Comment(4) | TrackBack(0) | 東国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月06日

# 120 OATMAN DINER [埼玉・川越]



 都内はいつでも行ける――という思いが働くらしい。当企画ではどうもココ最近、ドーナツ化現象が進んでいる(ハンバーガーのページなのに……)。

 関東南部に住む者にとって、埼玉の風景はものめずらしいのである。どこまでも真ーっ平ら! こんな景色は神奈川県には無いのだ。佐藤春夫が「広い武蔵野が既にその南端になって尽きるところ、それが漸くに山国の地勢に入ろうとする変化――言わば山国からの微かな余情を湛えたエピロオグであり、やがて大きな野原への波打つプロロオグででもあるこれ等の小さな丘は、目のとどくかぎり、此処にも其処にも起伏して……」(『田園の憂鬱』)と描くところの地形が神奈川県である。

 東海道線の保土ヶ谷・戸塚辺りの風景を想像してくれたらよい。此処にも其処にもある起伏のてっぺんに、零れ落ちんばかりに家を建て、傾斜地を器用に使ってマンションを造って、小さな丘という丘は建物だらけ・ハコだらけ。自転車乗るにしたって平坦な道というものが無くってホント大変なんだから! それに引きかえ埼玉は、東武伊勢崎線に乗っても埼京線に乗っても見渡す限りの平野、また平野……。ヨダレが出るくらい羨ましく思っている神奈川県人は多分私一人ではあるまい。

 川越である。小江戸として有名だが、今回そっちまでは足を延ばしていない。街の規模としては八王子まではいかないか。町田くらいでつり合うかな? クレアモールという目抜き通りを歩き、筋を一本曲がる。この通り一本入った感覚というのには、少し吉祥寺テイストがあるような……と言ったら吉祥寺の人に怒られるかな? 住宅地の中にカフェやら洋服屋やらが入り込んでいるような状態。築云十年の老店舗をトタン板で囲ったガレッジな外観の(そういう意味ではココに似てる)その真横には、瓦葺・木造平屋建のこれまた古い住宅とその木塀とその庭木が並んで在って、この同居のスタイルというものには一種独特のサブカル的情緒を感じ……なくも無い……?

 店の隣がその民家であるため窓が大きくとれず、採光に乏しくて、昼でも少し暗めの店内。床・壁半分に木を使い、所々にサインボードなど貼って、それらをちょっと汚した感じのワイルド系(←語彙が無い……)。店内に唯一あるテレビではホワイトハウスもののTVドラマ。ライティングのキレイなドラマだったけど、何てタイトルだろ(……全く疎いもので)。お隣の席は中南米系と思われる男性2名(しかも2人してキャビンとセブンスターを吸っていた)、反対側の2人連れも、うち1名はきっと南方の血を引いているであろう面立ちで、偶然か国際色を豊かに感じる客の顔ぶれ。カウンターには酒瓶がワンサカ並んで夜はお酒の店である。BGM――最近のちょっと汚くて下手ウマなロックが有線で。

 チーズバーガー、サラダとポテトが付いて¥890(安い!)。ポテトはフレンチフライとマッシュポテトからチョイス。表面白ゴマのツヤツヤ、やや重めバンズ。裏にたっぷりマヨ、薄くチー、パティ、シュレレタと言うか千切りレタ、トマ、ちょっとピク、生オニ、マスタードたーっぷり、で下バン。多分焼いていないためだろう、バンズは皮が硬く張っていないものだからサクッと抵抗無くタテに裂けて、実に食べやすい。だからこそ千切りレタスと生オニオンのシャクシャクと、パティのふんわりとが活きてくる。やさしい噛み応えのパティはやや塩味だが、細かな粗さで食べ心地良好。黒胡椒が量のわりによく効き、チーズはどろ〜っとよく溶け、マスタードの辛味もよろしくて、わりと濃い味がしっかり付いたバーガー。バーガー的パンチがはっきり感じられて食べ応え十分! カレー風味の7種の春野菜&サワークリームバーガー¥1,040なんて創作バーガーにも意欲的。

§ §

 入り口のコンクリートに手形が5つ――きっとオープン当時押したものだろう。スタッフの決意と結束の証しである――イイね! 麗しいネ! アリゾナにある田舎町の名を冠したダイナーは小江戸・川越に今年で5周年!


Halloween'12 ◆ OATMAN DINER [埼玉・川越] のハッピーハロウィンバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のベーコンチーズバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] が10周年記念パーティー開催
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のベーコンチーズバーガー EXTRA アボカド、チリ
# OATMAN DINER [埼玉・川越]、避難所でハンバーガーを焼く(後編)
# OATMAN DINER [埼玉・川越]、避難所でハンバーガーを焼く(前編)
# OATMAN DINER [埼玉・川越] でも被災地への義援金募集
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のチーズバーガー
# ロコモコ ◆ vol.2 OATMAN DINER [埼玉・川越] のヘルシーミートローフのロコモコ丼
# OATMAN DINER [池袋] のオートマンバーガー......のバリエーション
# OATMAN DINER [池袋] の夏野菜のラタトゥイユバーガー
# OATMAN DINER [池袋] のテリヤキバーガー
# 6月26日(土)、今度はOATMAN DINER [池袋]でDJ(?)イベント開催!
# OATMAN DINER [池袋] のサムライバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] が9周年記念パーティー開催
# OATMAN DINER [池袋] の新玉ねぎのグリル&チンゲン菜バーガー
# OATMAN DINER [池袋] のホワイトデー・バーガー
# OATMAN DINER [池袋] のバレンタイン・バーガー
# Christmas'09 ◆ vol.1 OATMAN DINER [池袋] の
リンゴのはちみつ煮&ゴルゴンゾーラバーガー

# OATMAN DINER [池袋] のサルサチーズバーガー
Halloween'09 ◆ vol.3 OATMAN DINER [池袋] のハッピーハロウィンバーガー
# OATMAN DINER [池袋] のオートマン・バーガー
# ガーリックバーガー ◆ OATMAN DINER [池袋] のガーリックバーガー
# OATMAN DINER [池袋] のメリークリスマスバーガー
# OATMAN DINER [池袋] の
自家製ローストターキー&スイスチーズバーガー

# OATMAN DINER [池袋] の7種類のチーズ&マッシュルームバーガー
# 本日11月2日、池袋に「OATMAN DINER IKEBUKURO」がオープンします
# Christmas'07 ◆ vol.4 OATMAN DINER [埼玉・川越] のメリークリスマスバーガー
# Halloween'07 ◆ vol.3 OATMAN DINER [埼玉・川越] のハッピーハロウィンバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] の4種類のきのことグリルドベーコンのBBQバーガー
# OATMAN DINER [埼玉・川越] のベーコンチーズバーガー

― shop data ―
所在地: 埼玉県川越市脇田町14-1 アーバンM1F
     JR・東武 川越駅東口より徒歩5分 地図
TEL: 049-222-8398
URL: http://www.oatman-diner.com/
オープン: 2001年6月4日
* 営業時間 *
平日: 11:30〜15:00, 18:00〜23:00
金曜: 11:30〜15:00, 18:00〜24:00
土曜: 11:30〜24:00
日祝: 11:30〜23:00
定休日: 年中無休(12/30、31、1/1を除く。要確認)

2006.4.6 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 00:34 | TrackBack(1) | 東国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする