2005年10月29日

# 098 Uncle Sum [神奈川・相武台前]




 しまった……! 100店目前の秒読み体勢に入り、残り3店はココとココとココ……と、全部決めていたのである。ところが……

 配達記録付きの郵便物を管轄の座間郵便局まで取りに行くことになり、無事その用を遂げた後、さてもうちょっと足を延ばして小田急電鉄相武台前駅でも撮りに行きますか……と純粋に「駅写」的興味から、未だ降りたことのない駅へと自転車を走らせた。まだ昼食をとっていなかったし、折からの小雨が少し強くなってきたところでもあったので、撮影を終えたらファミレスでもどこでも目に付いた店に入ってゆっくり休もうと思っていた。やがて目的地・相武台の駅前と思われる街に入った。と……、目に飛び込んで来たオレンジ色の看板には「Sasebo Burgers」とある……ん? サセボ? ……えっ、佐世保!? 残り3店の綿密なる計画のことが一瞬頭を過ぎったが、しかし相武台前なんて滅多に行く場所では無い。店を目の前に引き返す手も無い。これを機に行っておかねば二度手間……と計画の変更を決定、昼食はココで。

 西口駅前、降りてすぐ。変わった造りで、建物1階・長方形の店舗面積の一角にタバコ屋があって、その部分だけお店の面積としてはしっかり欠けている。つい最近までハンコ屋さんだったところで、店を閉めた後すぐの今年9月初旬にオープン。なかなかに狭く、席数は14ほど。カウンターの前に立つと内部をすべて見渡せてしまうキッチンは最近オープンした割に新しくないので、きっと中古で買い揃えたのだろう。体を入れ替えてどうにか作業できるほどの細ーくて狭ーいキッチンで、かつホールとの間に壁も仕切りも何も無いので、これではスタッフは逃げも隠れも出来ないわなぁ。ちょとカワイソ……。壁の所々にサインボードなど貼ってあるが、全体としては殺風景。逆にこの狭さといい、安い造りといい、かつタバコ屋の存在も手伝って駄菓子屋テイストでイイ感じ。小学生の女の子3人が宿題している姿がまさにぴったりハマる、これこそが佐世保テイスト

 ベーコンエッグバーガー¥360に+50円でチーズ紙に包まれて登場。なので開けるとベチャ〜っとケチャップやらマヨネーズやらが内側に付いていて、いかにも佐世保的コノ熱さとゴチャマンとした感じも佐世保的表面何もないバンズ、裏マスタード、レタス、エッグ、マヨネーズ、オニオン、トマト、ベーコン、チーズ、ケチャップ、パティ、下バンズ。黒胡椒がかかる。伊藤パンのバンズはふんにゃりと柔らか過ぎて芯がない。ちょっと力入れて持てばそのまま千切れてしまいそうなバンズだ。パティの持つ塩味が余計なのか、佐世保バーガーという意味では甘味に欠ける。パティは中が薄赤く良い焼き加減だが、しかし表面のコリコリしたコゲの感じは……やっぱりハンバーグだなぁ。本場に比べ、全体にも一つ締まりが無い……かな? でもこの価格設定と駄菓子屋的店の雰囲気に免じて(?)良しとしますか。「『らりるれろ』系の手作りバーガーです」とあるのだが、それは中野の「ZATS BURGER CAFE」が佐世保の「LOG KIT」から指導と材料の提供を受けている――というのと、同じような関係にあるということなのだろうか。その辺訊いてみたかったのだが、割りと絶え間なく客が来るものだから、結局チャンスを得られなかった。確かに「らりるれろ」もこんな方向性ではあったかな? ちなみに「アンクルサム」という店……そう言えば佐世保の街を歩いていて確かに前を通りがかった"ような"気がする。が、佐世保の方は居酒屋、相武台のコノ店との関係は不明。"見せ方"にしろ"名乗り方"にしろ、端々に何かこう、もう一つずつ思慮の足りないようなところが見え隠れするのは大変気になる("系"はどうかな)。しかしまぁ「始めて2ヶ月」と言えばそろそろ問題が浮き彫りになってくる頃でしょうから、その辺の見直しも含めて今後に期待いたしますか!

§ §

 さて店から300mも行けば、そこは外国=キャンプ座間なのである。確かに駅前には米国人の姿が少なくない。駅からベースまでの途中にある店ということで、米兵とそのファミリーたちを意識している部分もきっとあるだろう。と言うかコノ立地、それ以外の理由は考えられないあるいは「基地編」に加えても良かったのだが、しかし「基地編」は米軍からハンバーガーの作り方を教わった跡や、米国文化が周辺地域へ及ぼした影響の様子などを窺う企画であって、キャンプ座間の入口に佐世保バーガーを輸入してきたような状況ではコノ場合、むしろ話は逆である。また佐世保の○○の支店――ということなら当然「佐世保編」も考えたが、どちらでもなかったので結局「地方編」と。


2005.10.29 Y.M

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2005年10月25日

# 097 ブルースカイ [長崎・佐世保]




 さていよいよ今回最後のお店と相成り……。

 時刻は土曜・晩の7時半――必ず電話で確かめて……の案内のとおりに、真っ暗な店の前で電話をかけると、我が耳元で鳴る携帯の呼び出し音に呼応して、店の中からリーン……リーン……とベルの音が延々(営業時間は一応19:30頃〜とはなっている。でも「電話してネ」とも)。早過ぎたか……と、商店街をぶらりひと回りし、頃合を計って再度かけ直すと今度はつながった。「今からやります」と。返して曰く「今食べに行きます」――。

 時刻は8時過ぎ――食べてる前後に5、6組は来たカナ? そのうち、中で食べたのは1組のみで、あとはすべて持ち帰りだった。どこで食べんだろ? 家まで持って帰って温めてかな? その辺が「習慣化している」と書いた所以。宇都宮のギョーザ状態。カウンター席のみ8席ばかりの小さなお店。そうね……のんべ横丁に無数にならぶ、間口の狭い飲み屋みたいなのを想像していただけたら。狭い店ながら、しかし食べたらすぐ出てって……という空気はない。「ビーフステーキ」¥1,900、「ハンバーグステーキ」¥900がそれを裏付けているだろうか。ハンバーガー以外にもこうした"焼肉系"洋食メニューがいくつか。

 その肉焼き用鉄板は細いカウンターの先端部にあって、上に排気口、周囲を透明なガラス板(多分)で囲み、しかも低い位置にあるようで客から手元は見えない。どれくらいの大きさか判らないが、次から次に入る注文をすべてこの鉄板の上でこなしてゆく。焼くのは"お母さん"……と言うより、小料理屋をひとりで切り盛る女将の風格。もうひとり、娘と思われる女の子が手伝いしているが、鉄板前は飽くまで女将の定位置。カウンターの後ろの壁には白タイル、質素なこげ茶の食器棚。見渡しても特にこれといった飾りもない、ある種殺風景な店内。なので「国内でも古いハンバーガーショップ」の証拠となるような写真も記録も店内には何もなくて、かつ忙しく働く女将に声をかけるのも忍ばれて、結局確たることは判らなかった。

 チーズバーガー¥370にコーラ¥240。カウンターの上には塩、コショウ、ケチャップ、マヨネーズなどが置かれているが、しかしこれらはお客さんが使うのではなく、女将が調理するためのもの。ハンバーガーは何故か(と言うか、明らかに場所の問題だろう)カウンターの上で、つまりお客さんの目の前で組み立てられる。焼かれたバンズの上にチーズ、パティ、トマト、レタス……と順に乗せ、塩コショウをサササッと振りかけ、マヨネーズとケチャップを塗って出来上がりと。「合理性を考えて、逆さに出されるのが特徴」とのフレコミどおり、今こうして写真で見返すと確かに上下逆さまである。上記組み立ての説明も順序逆さま。が……その場で言われない限りは気付かぬワナ。逆さ向いてるとは。夢にも。

 なので上下反転のまま口に入れる。バンズ表面何もナシ、裏サクサクたまねぎのシャキッ! と強力にシンクロ。アクセントは強烈だが、逆に肉の印象は薄かったやも。チーズとパティの間に振られた塩がエラクきつかったのは、やはり飲んだ後の味覚を想定してのことなのだろうか(営業時間は一応〜深夜2:00頃)。ピリッと締まったバーガー。後味に重たいところなく、さっぱり。食べたらおウチに帰ろかなーって味。BGM――はテレビ。そして鉄板の焼き音。

§ §

 それにしても上下逆さまにするとなぜ合理的かその意味がよく解らない。包みを開けると逆さに出て来て、そいつを持って口まで運ぶとちょうどてっぺん向く――という合理性? でも表になっていても、親指をいちばん上にして残り4本の指をバーガーの下に差し入れるか、親指を差し入れて残り4本でてっぺんを押さえるか程度の動作の違いであって、なにかそのために「空中で一度持ち替えねばならない」とか、「逆手になる」とか、特にそういう不具合も生じないわけである。

 ひょっとしてソノ親指の向きを差して合理的と言ってるの? あるいはバーガーを包みの外側から持って食べる場合を考えた方が関係があるかな? 包みを開いて、その包みごとバーガーを持ち、口に運ぶ。この場合、開けたとき裏向いてた方が、確かに包みを開ける手間が少しだけ省けるかも。


2005.10.25 Y.M

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2005年10月23日

# 096 MISA・ROSSO [長崎・佐世保]




 みさこママのミサロッソ「Pizza & Hamburger Cafe」ということでピザを手作りしてるお店。「ピザ」だけに店内は明るいオレンジ色の壁紙を張り巡らせた南欧・イタリア風……をかつて目指した痕跡が窺がえる? 入ると手前に8人掛け・半円形・奥行きの深〜い・図書室風の、大きなカウンター席。奥はマンガ喫茶壁にずらーりマンガ本が。ヨコの棚には確かスターウォーズのボトルキャップがコンプリされていたような。まぁフツーの喫茶店ですな。学校帰りの溜まり場。たこ焼きやクレープが佐世保ではハンバーガーに代わったと思えば良いかな? 「好きに使ってね」と、やさしいみさこママが開放してくれた肩の凝らない空間で、各自銘銘、宿題するもよし、マンガ読むもよし、おしゃべりするもよし、思い思いの時間を過ごす。「LUCKY'S」と並びゆっくりとハンバーガーを食せるお店のひとつ。広い店でもないのに卓上にはご丁寧にも呼び出しのブザーボタンが。

 きっと古くからある道なのだろう、クルマどおりは少ないが幅の広い、昔の街道風の通りに面した立地。街中ではあるが周りに店は少なく、少し寂しい所に在る。ピザ10品、ホットドック6品。食べ歩きという旅の性質上仕方の無いことだが、どんなに美味しそうなメニューがあってもなかなか手が付けられない。ハンバーガーを食べ終わって思ったことは……ピザも食べてみたかったー!

 ベーコンエッグチーズバーガー¥420。フカ系バンズ、マスタード、チーズ、立体的なレタス、ケチャップ? 、たまご、ベーコン、オニオン、トマト、パティ、もう1回マスタード? 下バンズ。手作りのバンズはフカ系なれどしっかり締まった感じ。佐世保をあちこち周った限りでは唯一無二の小麦の香りがプンと漂う逸品。佐世保標準・薄手のパティは確かに薄いのだが、しかし不思議なことにその薄さの中でふわっと柔らかいんだなぁ! ホント不思議……。同じく佐世保標準・ジューシーなベーコンも実に柔らか。全体の味付けは特製のソースか何かでしてるんだろうと、食べ終わるまでずっと信じて疑わなかったんだが、食後聞いてみたところ、ケチャップとマヨと黒胡椒がバーガーの中で融合した結果、生み出された味であることが判った。とても別々に挟まっていたものとは思えない、びっくりするぐらいの溶け合い方! バンズやパティやベーコンの丸みを引き出すことに卓抜したマイルドタッチな味でありながら、一方でマスタードとペッパーの刺激がクドからず効いていて、程好いメリハリアクセントを与えている。

 「ヒカリ」を仮に力でグイグイ押すタイプのバーガーとしたなら、ミサロッソは非常にキメ細やかな設計の為された、堪らなく繊細なバーガー。そうネ、見かけによらずよーく考えられてるよネ。でもパンチも効きまくり。ヒカリを食べると「元気」になるとしたら、ミサロッソは「豊か」になる感じかな?

§ §

 「ヒカリ」や「ログキット」の混雑ぶりを思えば、それこそウソのように空いていて極楽! こういう場所こそ"穴場"と呼ぶのだろう。つくづく行って良かったー! と思えるお店。BGMは「らしく」J-POP。

― shop data ―
所在地: 長崎県佐世保市万徳町2-15
     松浦鉄道 北佐世保駅歩10分 地図
TEL: 0956-24-6737
URL: http://www.misarosso.com/
オープン: 1998年11月
営業時間: 10:00〜20:00
定休日: 月曜日(要確認)

2005.10.23 Y.M

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2005年10月19日

# 095 LUCKY'S [長崎・佐世保]




 佐世保の二大観光名所のひとつ、九十九島に遊覧船を繰り出す西海パールシーリゾート九十九島クルーズをはじめ、水族館、船の展示館、マリーナなど、海をテーマにした……まぁリゾート施設? と言っておこうか。無理のない規模でソツなくコンパクトにまとめてある感じ。「ヒカリ」最寄の元町停留所から佐世保駅発着のシャトルバスに途中乗車し、米軍基地と巨大ドックのヨコを走ることしばし、緑が明るく開放的なアメリカ的公園の間を抜けると、広大な駐車場には驚くほどクルマが停まっている。遊覧船の乗船口にはバスツアーの団体さんが列をなし……へぇー、けっこう集客力あんのネ

 マリーナに面したログデッキに出ると、すぐそこの海面でシーカヤックの体験講習が、爽やかなインストラクターによる爽やかな指導の下、パドル捌きも爽やかにおこなわれていて、見ているこっちまで何だか爽やかな気分になってくる。

 このデッキに並行して続くショップの一角にある佐世保☆地バーガーののぼりがラッキーズ。ハンバーガーマップの写真でお馴染みラッキーおじさんがトレーを持って、入口のガラスにはマスコットキャラのバニー(あなた……ラッキーくん?)がウインクしてお出迎え。店内は前回今回と佐世保を巡った中では唯一ファストフード店の店構え

 カウンターの向こうにはカラシ色のユニフォームを着た女の子数名、その頭上には裏から蛍光灯で照らしたメニュー。マリーナに向いた大きな窓から注ぎ込む海の光で店内もさわやかな明るさ。バスツアーの参加客はノーマーク(あるいはコース外)、バーガーめぐりの客がひしめくこともなく、店内は隅の席で本を読み耽る人、きっと何時間も話し込んでいるであろう小母さまたち……と、パールシーリゾートにふさわしいゆったりとした時間の流れが大勢を占めている。BGM――こう来なくっちゃ! ってくらいお店の空気にマッチしたJ-POP。

 ベーコンチーズバーガー¥410、お供はジンジャーエール¥210。まず――それはそれは熱くて持てないホント包みを開ける間さえも手にしていることが耐えられない熱さ! てっぺん平たいバンズ、裏マスタード、レタス、マヨネーズ、トマト、オニオン、チーズ、ベーコンがなんと3重、ケチャップ、パティ、下バンズ。ひと言――からい!

 ヒカリも味は濃かったが、ラッキーズの味の濃さはパンチというよりも塩辛さかな? 濃厚というより塩分量の多さ。マヨネーズが濃く、オニオンがカラく、ケチャップもかなりグイグイ攻めて来て、全体にかなり塩辛い。おかげでパティの味が負けてしまっているかな? レタスは新鮮、ベーコンも(多分パティも)佐世保レベルに上質なのだが、とにかく控え目なところの一切無い、キャラのハッキリ濃ユ〜イ、暴れ回る感じの熱々バーガー。甘さが先に立つ店が多い中、コノ店はやや変わった毛色にあるような。なにしろロケーションは最高!


2005.10.19 Y.M

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2005年10月18日

# 094 ヒカリ [長崎・佐世保]




 前回40分待ちが旅程に響いて断念したヒカリに1年置いての再挑戦。今回は土曜日午後12時半に訪ねて待ち時間15分

 前回と変わったところは……隣のバイク屋との間にタバコの自販機が置かれたかな? あと店の前にあった安全地帯のような三角形のスペースがガードで囲われて、車を乗り入れることが出来なくなった。ココの店は店内にイートインスペースが無い(と言うか、そもそも"店内"というもの自体ほとんど無い)ので、バーガーを買い求める人は持ち帰るか、店の周りに場所を見つけて思い思いに食べるかしか選ぶ手がない。つまりヒカリは街中からはやや外れた道路端にあり、そこにフラッとクルマで乗り付けて、カウンター越しに外から注文し、バーガーの包みを受け取って、フラッとクルマで去って行く――基本的にはそんな店である。

 客層は前回に同じくほとんどが休日を利用して近隣よりわざわざ食べに来た人か旅の者。前回と違うのは今回は10月=2学期中なので、すぐ隣にある九州文化学園高校より女子高生が坂を下りてきては包みを手に手に、元来た坂を上ってゆく……そんな姿(制服デザインは森英恵)が多く見られたこと(学校の案内地図が秀逸)。カウンターから見る内部は女性ばかり5人? 10人? バーガーはフィルムに包装されて渡される。そうね……パン屋の惣菜パン状態。

 スペシャルバーガー¥460。バンズはフカ系だが案外の薄身、縁がコゲて美味しい。中は甘味の濃いマヨネーズ、レタス、輪切りオニオン、トマト、ベーコン、チーズ、玉子焼き、バンズ同様薄身のパティ、ケチャップ、下バン。パティは薄身ながら絶妙な粗さ。チーズはスライスではなくて塊を分厚く切ったモノがそのままゴン! と挟んである。その塊りがそのままゴン! と体内に入り込む感じ。口の中でやや"モタる"んだけど、ソノ"溜め"がたまらない。このチーズ塊をとして、マヨネーズとケチャップの混ざった濃い甘い味がやはりゴン! とリードする中、味は薄いが水分補給係=トマトが働き、ハムのように柔らかなベーコンが重たい塩味をキュッと効かせ、オニオンの軽快な辛さが心地好く作用。

 パティとバンズは強烈な特長こそないが、それでもこの濃い味の構成の中にあって不思議なくらい存在感がある。ゴン! と押しの効いた濃い目の味付けにはとにかく勢いがあって、食べる者を魅惑の世界に引き込むだけの力を十分に持っているようだ。本当に何か活きのよいモノを塊りのまま口から体内にググッと押し込んだ感じ。一口食べればあとはオートマティック!

§ §

 毎日歩いて食べに行ける機会に恵まれた九州文化学園の女子生徒たちがどういう感想を持っているのかはわからないけれど、私的には旅の一発目、予想外に短い待ち時間に、まだ心の準備の整わぬうち口にして、ある種出遭い頭にゴン! っとやられて目から火花の飛び散るようなそんな強いインパクトを受けたバーガー。味わいたくても"アッ"という間になくなっちゃうんだなぁ〜


2005.10.18 Y.M

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# 続・佐世保


―― 続・佐世保 ――



再び佐世保へ行って来た。

 去年8月初めて訪れたときには佐世保バーガーについて、正直私はまだ多少眉唾に思っているところがあって、そもそも"ホンモノ"なのか、ご当地ラーメンのように観光の目玉として無理矢理に急造されたモノではないのか――という辺りを確かめる程度で体験学習としては精いっぱいだったわけである。今回あらためて佐世保を訪ねたのは、この伝来「裏ルート」の佐世保バーガーが、いかに独自の進化を遂げたかという点について、もう少し知りたかったからである。

 1971年、マクドナルド日本1号店のオープンより遡ること20年前に佐世保駐留の米海軍によって伝えられた。しかし佐世保から長崎県→九州→日本全国……というような波及を見せることもなく、近年、市の観光の施策として取り上げられるまでそれこそ50年近くもの間、全国的な知名度の無いまま佐世保の街と限りなくその周辺地域にのみだけ潜み続ける存在であった(……らしい)。

 だが広まらなかったのが幸いしてか、ごく狭い範囲の中で特長あるスタイルが確立され、濃い血のまま純粋培養を続けることが出来た。さてではそこで――その佐世保独自のスタイルとは、一体どういうものなのか? という話に次になる。結論から先に言うと、

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2005年10月07日

# 093 VILLAGE VANGUARD DINER [阿佐ヶ谷]




 ヴィレッジヴァンガードと聞くと私の場合ジョン・コルトレーンが思い浮かぶ。

 本社は愛知県愛知郡長久手町。以下、先日掲示板に書き込み頂いたエケコ様の言葉を(勝手に)お借りすると"名古屋といえば、「味噌+カツ=味噌カツ」、「漫画+喫茶店=漫画喫茶」、「本屋+雑貨屋=ヴィレッジヴァンガード」などの未知の組み合わせで新しい市場を切り開くドッキング商法が有名だが……"という公式に例外なく則ったお店である(……らしい)。それにしても不思議な現象である。ヴィレッジヴァンガードは現在、全国に173の店舗を持っている。そういう規模の企業というのは普通、広くその名を知られているものである。特別その店に用や興味のない人でも名前だけは聞き及びがある――というレベルが全国チェーンの規模と知名度ではないかと考える。少なくともひと昔前まではそれが普通だった。ところがヴィレッジヴァンガードはそうではない。店は遍く全国に増え続けているのだが、しかしその名を誰でも知っているかと言えば……今やそんな時代である(――らしい)。イヤ正直私も、バーガー筋の情報としてその名を認知したまでであって、実際に街中でヴィレッジヴァンガードに遭遇したことは一度もないのである……。

 本業は小売業(「遊べる本屋」をキーワードに、書籍、SPICE(雑貨類)、ニューメディア(CD・DVD類)を複合的に陳列して販売する小売業)。ダイナーは、東京は阿佐ヶ谷が一店目(……の筈)、吉祥寺、続いて今春下北沢店が出来て現在3店舗。中央線阿佐ヶ谷駅の北口ロータリーからビックリするくらいすぐに在る、細路地の別世界。ガレッジ風、白塗りの天井屋根。椅子は古家具屋できっとバラバラに買い集めたのだろう、チューリップチェアやらシェルチェアやらがざっくばらんに。細長い店内、奥はやや広くなり、片側の壁伝いに座り心地の良いベンチ。照明は箇所々々にレフランプのスポットが光るだけでウンと暗め←撮影泣かせ……。板張りの床はずいぶん使い古しているように見えるが、壁は最近塗ったように見えた(けど、なにぶん暗がりなんでネ……)。客層は見事なくらいに若者ぞろい。みなさん好みに一癖も二癖もある中央線沿線住人たちなんだろうか。バーガー15品。中にはテックスメックスバーガー¥820やニューヨークバッファローバーガー¥820といった興味を引く名前のメニューも。チーズバーガー¥820。付け合せはフレンチフライと、そのヨコにややションボリとピクルス×2。お相手は冷たいメープルティー¥470。

 ツヤのあるバンズは表面何もナシ。皮の張りが強く、言うなればブリオッシュに近いか。中はよく伸びるゴーダチーズ、その下にピクルス――この味は残る。パティが来て、オニオン、タルタルソース、トマト、たんまりフリルレタス、フレンチマスタード、下バンズ。ソースはマヨネーズでなくてタルタルそもそもそれほど好きなソースではないのだが、コチラのは例の鼻につく"ひしゃげたニオイ"がなくて好印象。トマトがやや酸っぱめで異次元だったが、パティはコリッとした噛み応えキュッと締まった肉質でイイ仕事。控え目ながらも肉の主張をしっかりと忘れておらず、この地味な安定感は堪らない。フリルレタスは通常のレタスに比べ弾力に欠けるか。焼いていないバンズのしなっとした表皮の食感と重なると、跳躍する力にやや不足を覚えるが、その分「内」にイイ旨味を溜め込んでいるであろうバーガー。

 BGMは「ジョニー・B・グッド」みたいなロックンロールから、ニッキー・ホプキンスみたいな"強いタッチの"ピアノへと。いいアルバムだったー! ついつい欲しくなった。で帰りがけ、どうしても気になるもんで、癪だったがついにスタッフに聞くと、見せてくれたCDには"B. Bumble & The Stingers"と。ふぅ〜ん……知らないなぁ、最近の人たちかな……などと見当を付けつつ帰宅後調べてみると、ナント60年代英国のグループとわかった。ほぉ、ニッキー・ホプキンスも遠からじ――ですかな?

 もひとつ重要なおまけ――。

 オモテの細路地から2階に上がる木の階段――ココこそコノ店で最も注目すべき空間であることに帰り際、ハタと気付いたのである。擦り減って年季の入った(ように見える)木の階段――見上げると右手にはペンキの剥げかけた板壁。この壁が2階までずっと続いていて、辿ってゆくと真上にはキッチンが在る。キッチンには階段に向いて不思議な窓が付いていて……と言いつつどんな窓だったか思い出せないのだが、とにかく変わった開き方をするのである。で、季節柄その変わった窓は開け放たれていて、中からジュージュー肉を焼く活気ある音が間近によく聴こえて来る。バーガー作りながら昇降するお客さんにこんにちはー! ありがとうございましたー! ……なんと素敵な窓だろう! と言うワケでこの立体的な階段のスペースが、コノ店の特等席


2005.10.7 Y.M

posted by ハンバーガーストリート at 12:30 | TrackBack(0) | 東京編◆西部 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする